コラム
» 2007年12月30日 23時55分 UPDATE

2007年の携帯業界を振り返る(3):勝ち負けがはっきり分かれた端末メーカー──iPhoneショック、共通プラットフォームの動向 (1/4)

ジャーナリストの神尾寿氏と石川温氏を迎え、2007年の携帯業界を振り返る、年末の特別対談企画。第3回目は2007年の「端末」がテーマ。躍進したメーカーと元気のなかったメーカー、iPhoneショック、そして共通プラットフォームについて、両氏が忌憚のない発言を繰り出す。

[房野麻子,ITmedia]

別格のシャープ、NECとパナモバの復活、影の実力派富士通

ITmedia それでは今年、すごかった、がんばった、また、動きが気になったという端末メーカーはどこですか?

photo 石川温氏

石川温氏(以下敬称略) NECとパナソニック モバイルコミュニケーションズは復活しつつあるのかな、という気がしますね。パナソニック モバイルは“VIERAケータイ”が出せてよかったし、NECもなかなか個性的な端末を出してきて、やっと2社が盛り上がってきたように見えます。去年まではシャープが一人勝ち状態でしたけれど、三つ巴の戦いになってくれると非常に面白くなってくると思います。

神尾寿氏(以下神尾) 今年は勝ち組と負け組みがしっかり分かれましたね。さらに言えば、1〜2周くらいの差を付けてシャープが先頭を走っている。その後に、NECとパナソニックモバイルがすがりついているような感じでしょうか。一方で、我が道を行っている富士通がいる。まあ、富士通あたりまではいい方なのかなと思います。それ以外のところは、かなり脱落しつつある印象。特に感じたのが、au専業メーカーの勢いのなさですね。

石川 厳しいですね。

神尾 今年の夏くらいから、どーんと来ましたよね。カシオなんて、すごくいい端末を作れるポテンシャルがあるはずなのに、今年はなんなんだ? と思いましたよ。カシオ日立モバイルコミュニケーションズに関しては、「君たちはもっとできるだろ」と思いますね。

石川 憶測なんですが、カシオはW-CDMAの準備段階で、そっちに力を入れているのかなと。W-CDMAの追い風が吹いているような気がしますね。個人的には、富士通が頑張ったと思います。

ITmedia “らくらくホン”以外の富士通製端末、つまり90xiシリーズなどの主流端末ですが、これが今年初めてITmedia +D Mobile販売ランキングのトップに立ちました。「F904i」は人気が高かったですね。

石川 おお!

神尾 “AQUOSケータイ”の代わりに買ってもらえた、というのもあると思うんですよ。904iシリーズの商戦期にワンセグ対応端末はF904iしかなくて、しかも横向き液晶だった。“iTV”シリーズは1世代前の903iシリーズしかなかったし、“BRAVIAケータイ”は鳴かず飛ばずだったし。結局、消去法でF904iが選ばれたということがあると思いますが、それでもFシリーズは全般的に作り込みがうまくなった感じはしますよね。

石川 そうですね。らくらくホンがあって、主流モデルが売れて、「キッズケータイ(F801i)」が出てくると、“ゆりかごから墓場まで”じゃないですが、富士通侮れんな、という感じになってきますよね。

神尾 端末ビジネスの安定感という意味では、NECやパナソニック モバイルよりいいんじゃないかという気がします。

石川 そうですね。AQUOS、BRAVIA、VIERAと、家電ブランドが盛り上がっていますが、あれも飛び道具に近いような気もします。そう考えると、富士通のあの安定したブランドというのは、いけるかな、という気がしますね。

ITmedia 富士通は2007年に躍進したという印象ですか?

石川 うん、そうですね。

Photo 神尾寿氏

神尾 個人的には、パナソニック モバイルよりも評価したいですね。

石川 NECやパナソニック モバイルは、できる子ががんばった感じですが、富士通はそういったイメージがない中で伸びてきた感じがします。

神尾 いや、でも“影の実力派”なんですよ。目立たないけど、浮き沈みなく安定している。

石川 そうそう。

ITmedia 昔から一定の評価はありますね。

神尾 いいものを作っているんですよ。最初のiモード端末を作ったのも富士通ですし。

石川 昔のドコモ向け端末での富士通のポジションは、メディアの人間が買う、という感じでした。シリーズが登場すると最初に富士通の端末が発売されていたからです。でもユーザーはNECやパナソニックの発売を待って買っていたような。

神尾 UIや中身は昔から良かったですよね。でも、華がないのが残念だった。

石川 垢抜けないデザインのものばかりだった。でもそう考えると、やっとユーザー寄りのものを作れるようになってきたのかな、という気がしますね。

神尾 NEC製端末はHSDPAになって結構安定してきたし、「N905i」ではタブブラウザに対応したりして実力を伴ってきた。一方、今期は上位にいるわけですが、「P905i」はまだ勢いっぽい部分を若干感じるんですよ。確かにいい端末なんですが、細部の作り込みに粗さも感じる。もう一世代頑張ると、いい形になりそうですね。

石川 そうなんですよ。みんな“Wオープンスタイル”に飛び付いているだけかもしれない。じっくり触るとワンセグの機能としてはもの足りない部分もあって、もうちょっとかな、という気がしますね。

神尾 シャープは別格でトップにいるとして、2位を選ぶとしたら、ドコモ(のラインアップ)だったら私はNECを選びます。彼らは苦境期によく頑張りました。実力が上がっていると思います。一方、パナソニック モバイルは実力以上に売れている感じ。これが彼らにとってプラスに出るかマイナスに出るか、ですよ。さらに実力を付けて頑張れば、Pは正真正銘、復活できるんですけど、ここで油断したらキツイですよ。

石川 そうですね。ブランドを持っているけど機能的にはもうひと頑張りが欲しいPか、ブランドはないけれど中身のあるNか、みたいな感じかなと思いますね。

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