インタビュー
» 2008年07月28日 12時19分 UPDATE

RIAがモバイル広告を変える:ケータイWebのリッチ化で広告はこう変わる――RIAプラットフォーム「Colors」の挑戦(後編)

ケータイWebをもっとリッチに使いやすく――。こんな思いから開発されたのが、携帯向けRIAプラットフォーム「Colors」。ネイキッドテクノロジー 代表取締役の菅野龍彦氏は、ケータイWebのリッチ化で広告モデルも変わるとし、Colors上の独自広告を開発中だ。

[後藤祥子,ITmedia]
Photo ネイキッドテクノロジー代表取締役の菅野龍彦氏

 “ケータイWebのUIや見せ方を変えたい”という思いから、ケータイ向けRIAプラットフォーム「Colors」の提供を開始したネイキッドテクノロジー。代表取締役の菅野龍彦氏は、「見せ方が変われば広告も変わる」とし、行動ターゲティングやソーシャルグラフを採り入れた自社オリジナルの広告を開発する計画だ。

“テレビ的”に広告を見せるアプローチも

ITmedia Colorsプラットフォーム上ではケータイWebの見せ方が大きく変わります。そうなると、広告も従来とは異なる見せ方が求められるのではないでしょうか。

管野氏 “せっかく見かけがきれいなのに、広告がゴテゴテ入ったのではユーザー経験を損なう”という点は課題として認識しています。

Photo Colorsプラットフォーム上では、サイトのコンテンツや機能に最適化した見せ方やUIを適用できる

 現状、ケータイWeb向けの広告はバナーかテキストが大半ですが、Colors上では新たな広告表現を提案する余地はたくさんあります。また、従来の広告料金体系の基礎となっている“ページビューやクリック”といった単位のものとは異なる提案ができないかとも考えています。

 見せ方でいうと例えば、“単位時間あたりで広告表示の総量をコントロールする”というやり方があります。これは、民放のテレビ番組をイメージすると分かりやすいでしょう。

 民放のドラマは、コンテンツと広告の比率が9対1という形で成立しており、モバイルインターネットの世界でも、こうした比率の最適なものがあるのではないかと思うわけです。これをColorsクライアント上の見せ方に置き換えると、例えばサイトを見ているユーザーの操作が停滞したときに、(広告を表示する)イベントを設定するような方法が考えられます。これから具体化するところですが、このあたりは広告会社からの関心も高いですね。

 こうした広告手法に関心が集まる背景には、従来型のモバイル広告の単価が、PCのそれに比べて早く値崩れしたことがあります。この状況では、PC向けの広告モデルで成功しているプレーヤーをモバイルに持ってくるだけの収益機会を提示できず、それが広告企業側の課題になっているわけです。

 Colorsはクライアントアプリで“窓の部分”を提供できるので、広告表現も柔軟に対応できます。表示するコンテンツの中に広告を差しはさむ、窓枠そのものに広告を入れるなど、いくつかのアプローチがある中で、テストしながら最適な見せ方の広告を開発したいと考えています。

Colorsの広告、ポイントは“行動履歴”と“ソーシャルグラフ”

ITmedia ケータイは、時間や場所に応じたアプローチが可能な点がPCと大きく異なります。こうした“ケータイならではの特性”を生かした広告商品を開発する計画はありますか。

菅野氏 大きく2つのアプローチができると考えています。1つは履歴に応じて最適な広告を出す「行動ターゲティング」。Colorsではクライアント側にアプリをインストールする形を採用していることから、ユーザーの行動履歴を完全に補足できます。当然、それは匿名情報に紐付いたものですが、マーケティング利用の面ではとても高い可能性を持っています。

 履歴情報自体はURLの羅列なので、カギになるのは私たちがURLに対する意味づけを持つかどうか。これはファイルに記述されている内容をタグで整理して持つことで解決できます。

 その情報をベースにすれば、“この端末からアクセスした人は、どんな意味づけのサイトを見る傾向があるのか”が分かります。これは、アプリとゲートウェイサーバをセットで提供するプラットフォームだからこそできることです。

 もう1つはソーシャルグラフです。これは人間同士のつながりを図式化したもので、「学校の友達や同級生」「仕事上の同僚」「取引先」などの異なる要素から関係性を把握できます。

 これをベースに、(人間関係のネットワークの)中心にいる人が関心を示した「A」という事象に対して、“距離が近い人はAに関心を示しがちなのではないか”ということを類推して、例えば広告とコンテンツをマッチングしたり、ネットワークの中での広告の反応可能性を探ったり、ネットワークのキャラクタライズを行えます。また、関係性の違いによって、おそらく人間関係の強度が異なることもポイントです。

 現状、Colorsプラットフォーム上にソーシャルグラフ機能は含まれていませんが、ネイキッドテクノロジーとしてこの技術を持っているので、ニーズに合わせて導入することは可能です。

 モバイルインターネットの表現がリッチになれば、人がより使うようになり、利用者が増えればプラットフォーム上に残る行動履歴も増えます。そして私たちは、それに意味合いを付ける手段を持っており、サービスの中でソーシャルなネットワーキングができるサービスを1つ実現できれば、ターゲティング技術を実地でシミュレーションできるでしょう。

ITmedia より多くの人にColorsを使ってもらうためには、まず、クライアントアプリをダウンロードしてもらう必要があります。このハードルが高い“最初の一歩”についてどんな方法を考えていますか。

管野氏 すでにあるケータイサイト内に「リッチコンテンツで見る」といったリンクを張って、ダウンロードしてもらう方法を考えています。

 技術的には、リンクをクリックしたときに、アプリが端末内にあればそれを起動させ、アプリが端末内にないときにはダウンロードページに誘導するといったことが可能です。ケータイで電子書籍を読むのと同じような感覚ですね。PCサイト上では、QRコードや空メールを使うことになるでしょう。

ITmedia このタイミングでColorsプラットフォームをリリースしたのは、携帯電話市場がオープン化に向かっていることと関係がありますか。

管野氏 この業界に参入しようと思ったのは、まさにそこです。従来はキャリアとコンテンツサービスのバンドルモデルが主流でしたが、Googleのモバイルへの進出や、Symbian OSのオープンソース化などといった動きを見ていると、今後はデバイスとソフトウェアのアンバンドルが進むと思うわけです。

 また、Colorsプラットフォームのパートナー候補の企業と話していると、キャリアの課金代行を利用したコンテンツ販売のビジネスから、無料でコンテンツを配信し、広告で収益を回収する構造に転換したいと考えるところも増えています。Colorsは、こうしたビジネスモデルの変化に対応できるプラットフォームを提供する計画で、前述のとおり、広告もクライアント側のリッチな表現に合ったものを自社で開発しています。

 Colorsは、メディアやコンテンツプロバイダ側のニーズに応じて自由にカスタマイズできる仕様になっており、その意味では“ミドルウェア”の領域に近いものともいえるでしょう。

 ケータイWebのUIを改善するとともに、次のマネタイズの主戦場である広告のところで具体的なアプリケーションの提案ができるのがColorsプラットフォームの強みです。これに私たちのパートナー企業が提供したいと考える、マッチングやソーシャルグラフを使ったリコメンドなどの高度なサービスを徐々に付け加えていく予定です。

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