NTTドコモの2012年秋モデルとして発売されたLGエレクトロニクス製の「Optimus G L-01E」は、米Qualcomm製の最新クアッドコアプロセッサーを搭載したハイスペックなグローバルモデル。海外メーカー製ながら、ワンセグ&NOTTV、おサイフケータイ(FeliCa)、赤外線通信、防水ボディなど、日本市場向けの機能やサービスにもほとんど対応している同社の意欲作だ。
加えて、L-01Eの発表からほぼ同じタイミングで韓国など海外モデルも登場し、9月に販売を開始した。日本市場ではL-01Eが10月19日に発売されたのに続き、11月2日にはKDDI(au)からほぼ同じ仕様の「Optimus G LGL21」も発売される。
そのスペックの高さから国内外で高い評価を受けているLG肝いりのOptimus Gについて、LGエレクトロニクス・ジャパン コーポレートコミュニケーション・デジタルマーケティングパート長のキム・ドンゴン氏に話を聞いた。
――(聞き手:太田百合子) 今回の「Optimus G」はグローバルモデルの横展開ではなく、完全に日本仕様にカスタマイズされたものになっています。これにはどのような狙いがあるのでしょうか?
キム・ドンゴン氏(以下、キム氏) 我々はグローバルメーカーの中ではいち早く、自社のスマートフォンに日本仕様の機能を搭載してきました。例えば防水仕様などですね。それは日本のユーザーが、フィーチャーフォンからスマートフォンに乗り換える際に、ギャップを感じないようにしたかったからです。ハイスペックだけど、今まで使ったこともないような外国製の端末ではなく、これまでフィーチャーフォンでできていたことが、そのままできる。スマートフォンに初めて触れる人にも、違和感のない端末にしたかった。
例えば日本向けのOptimus Gは防水仕様であるだけでなく、ワンセグもおサイフケータイも赤外線も使えるし、ドコモ向けではNOTTVも見られる。ここまでその国に即した全部入りの仕様になっているのは、グローバルを見渡しても日本だけです。
“ジョジョスマホ”「JOJO L-06D」のようなコラボレーションモデルもそうですが、我々には日本のユーザーやキャリアの要望に柔軟に対応できる体制があり、それが強味であると思っています。
―― それは単にグローバルモデルのローカライズが速いということでしょうか。それともグローバルモデルをベースにしながらも、かなり深いレベルで日本向けに開発しているということですか?
キム氏 どちらかというと後者です。まず日本向けのOptimus Gは、グローバルモデルとは異なるデザインやパーツを採用しています。我々のグループ内には、LGディスプレイ、LG化学をはじめ、さまざまな分野の技術を持った会社がありますが、今回の日本向けの端末ではあえてグループ内の製品ではなく、日本メーカーのパーツを採用しています。
具体的にいうとカメラのCMOSはソニー製ですし、ディスプレイは日立のIPS液晶、メモリーは東芝製、バッテリーはパナソニック製です。それぞれを採用した理由は個々にいろいろありますが、全体としては、日本のユーザーにより浸透しているものを使おうというコンセプトです。特にカメラは撮影したときのフィーリングが大切なので、日本のユーザーがより慣れ親しんでいるソニー製の裏面照射型CMOSセンサーを採用しています。画素数は約1320万画素でシャッタースピードも速く、快適に撮影できますよ。
―― チップセットにはクアルコム製の最新クアッドコアプロセッサー「Snapdragon S4 Pro」が採用されています。これをいち早く搭載できた理由を教えてください。
キム氏 こういう場面ではグローバル展開をしているバイイングパワー(調達力)が生きてくるのだと思います。日本国内で年間取引されている携帯電話は、3000万台とか3500万台というように言われていますが、我々がグローバルで出荷している端末は年間で1億台規模。Qualcommとは長く友好な関係にありますが、それだけでなく、グローバルなバイイングパワーがあったからこそ、いち早く“S4 Pro”を搭載できたのだと思います。
Snapdragon S4 Proは本当に素晴らしいチップセットです。特にすごいのは4つのコアが動いて処理能力が高いだけではなく、必要に応じて動くコア数を調整するので、省電力性に優れているということ。私もOptimus Gを使っていますが、丸1日は十分にバッテリーが持つという印象です。
バッテリーが長持ちするようになった要因は、もちろんプロセッサーだけではありません。LTEの使えるエリアが広がって安定して通信できるようになったこともありますし、バッテリーの容量も前モデルの「Optimus LTE L-01D」が1800mAhだったのに対し、今回は2210mAhと大きくなった。プロセッサー、エリア、バッテリー容量という条件がそろって、端末のパフォーマンスが発揮できる環境が整ってきたということですね。
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