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» 2013年01月25日 08時00分 UPDATE

「あんこ/もなか」から「ようかん」に――深澤氏らが「INFOBAR A02」に込めたもの

ソフトウェアとハードウェアのデザインを高いレベルで融合させる――auの「INFOBAR」シリーズ新モデル「INFOBAR A02」は、そんな狙いの下で開発されている。発表会ではKDDI田中社長やデザイナーの深澤直人氏らキーマンが、新モデルに込めた思いを語った。

[山田祐介,ITmedia]
photo 「INFOBAR A02」

 「情報との向き合い方も、デザインしないといけないんじゃないか」

 KDDIは1月24日、Androidスマートフォンの新モデル「INFOBAR A02」を2月中旬以降に発売すると発表した。同モデルは、デザインにこだわった「INFOBAR」シリーズの最新作。深澤直人氏が手がけるユニークな配色のボディや、中村勇吾氏によるオリジナルUI(ユーザーインタフェース)である「iida UI 2.0」、さらにコーネリアス(小山田圭吾氏)が監修した効果音などが大きな特長だ。都内で行われた発表会で、KDDIの田中孝司社長やINFOBAR A02開発のキーマンが登壇し、新モデルに込めた思いを語った。


新生auの“次の雰囲気”を先取りするINFOBAR A02

photo KDDI 田中孝司社長。新しいロゴもすっかり見慣れてきた

 「今年目指したい雰囲気を、ティーザーで」――INFOBAR A02の発表会に登壇したKDDIの田中社長は、プレゼンテーションをこうを切り出した。

 2012年1月、同社は「あたらしい自由。」というスローガンとともにブランドロゴを刷新し、auの生まれ変わりを演出した。そして、新スローガンの下で取り組んだ施策の1つが、“選べる自由”の強化だ。iPhoneを導入するなどして端末のラインアップを拡充に努め、選べる自由のベースは作れたと考える田中氏だが、2013年は「次の私の欲しいもの」の提案も必要だと話す。その第1弾として投入するのが、今回のINFOBAR A02。「情報があふれるクラウド時代のスマートフォンは、情報との向き合い方もデザインしないといけないんじゃないか」(田中氏)という発想で、外観だけでなく画面内のUIにもこだわった。具体的には、「クラウドに触れる感覚」や「情報の見え方や触れ方が自分らしく自由になる」といったコンセプトを取り込んでいるという。

より“スマートフォン志向”になったINFOBAR

photo KDDI プロダクト企画本部プロダクト企画1部の砂原哲氏

 INFOBAR A02は、「INFOBAR A01」「INFOBAR C01」に続く3弾目のスマートフォン版INDOBARとなるが、これまでのモデルとは少し雰囲気が異なる。KDDI プロダクト企画本部プロダクト企画1部の砂原哲氏によれば、従来は「スマートフォンとフィーチャーフォン(ケータイ)のいいとこどり」のような製品だったのに対し、新モデルはスマートフォンの魅力である写真や動画やSNSといった各種機能を「普通の人にも使いやすく」提供することを目指したという。

 4.7インチのディスプレイを搭載し、ボディは従来モデルよりも大型化。また、INFOBARの個性をよく表していたフロントキーが、Android端末のトレンドにそってなくなった。一方で、他のモデルにはあまり見られないキーが、ボディ側面の音量キーの下に備わっている。砂原氏が「ファンクションキー」と呼ぶそのキーを押すと、スマートフォン版INFOBARではおなじみのパネル状のメニュー画面が、リスト状のものへと切り替わる。「写真」「音楽」「ウェブ」といった風に大まかなジャンルを選択して機能へとアクセスしていくUIとなっていて、片手でも操作がしやすくなっているという。


photophoto 音量キーの隣にあるファンクションキーを押すと、おなじみのパネル状のメニュー画面からシンプルなリスト画面に切り替わる

photo 「iida UI 2.0」と名付けられたINFOBAR A02のUI

 こうしたシンプルなメニューも用意した上で、パネル状のメニュー画面では写真や楽曲のジャケット、アドレス帳の情報などをユーザーが自由に貼り付けられるようにした。ジャケットをタップして音楽をすぐに鳴らしたり、友人の顔をタップして電話をすぐにかけたりと、思い思いのパネルを貼り付けることで好きなコンテンツに素早くアクセスできる。

 スマートフォンのメニュー画面の多くが「箱を開けて中身を取り出す」感覚なのに対し、INFOBARのパネル状のメニュー画面は「コンテンツが表に出ている」感覚だと砂原氏。自分らしいコンテンツを貼り付けることで画面が自己表現の場になり、カスタマイズするほどに愛着が沸くようになると話す。

 また、パネルUIにネット上のコンテンツを貼りつけられるのも新しい特長という。ローカルに保存した写真だけでなく、FacebookやFlickrやau Cloudにある写真をランダムに表示できたり、FacebookのニュースフィードやTwitterのタイムラインを表示することも可能だ。田中氏が言う「クラウドに触れる感覚」が、これにあたるといえる。

目指したのは「あんこ/もなか」とは違う「ようかん」

photo 深澤直人氏(左)と中村勇吾氏(右)

 こうした特長を持つINFOBAR A02のデザインコンセプトは「ようかん」だと、デザイナーの深澤氏は説明する。その意味するところは、これまで「あんこともなか」のように別々に作られていたハードウェアとソフトウェア、あるいはプロダクトとユーザーインタフェースを高い次元で同調させ、一体化することだという。プロダクトデザインの深澤氏とUIデザインの中村氏がタッグを組み、「外見と中身というより、中身だけ。しかもその中身の味や感触まで一体にデザイン」したのが、今回のモデルだという。

 ハードとソフトの同調の1例が先述のファンクションキーだ。このキーはINFOBARのUIがあるからこそ搭載されたもの。また、こうした物理キーの横幅とパネルUIのアイコンの横幅がピッタリと同じにデザインされていることも、中身と外見の同調例の1つだ。

 また、UIのデザインに関しては、これまでにない「感触や質感を立ち上がらせたかった」と中村氏は話す。パネルUIのアイコンは、スクロールの速度に応じて形が変化し、ゼリーのような“ぷにぷに”とした動きを見せる。表面的なグラフィックやテクスチャーではなくアルゴリズムによる「物質的な挙動」で、その製品ならではの佇まいを表現したかったという。


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 また、こうしたアルゴリズムによる佇まいの表現というアプローチは、端末の“音”でも表現されている。INFOBAR A02では、パネルUIのアイコンを移動させる際に、他のアイコンと重なりあうごとに鈴のような音がなる。これは、深澤さんがバリ島の伝統楽器「ガムランボール」に感銘を受けたことをきっかけに組み込まれたもの。深澤氏が「奥行きのある多層な音」と感じたガムランボールをイメージしたサウンドが、アイコンを移動させる際にランダムに鳴ることで、INFOBARならではの佇まいが演出されている。

 そして、こうした効果音の1つ1つを監修したのが、ミュージシャンのコーネリアスこと小山田氏だ。「小山田さんにはUIの動きの音だけでなく、電話の着信音や目覚まし時計の音などトータルにデザインしてもらった」と中村氏は振り返る。「『新しいスマートフォンの姿を音で見せてください』と球を投げたら、見事に良い感じに返ってきた」(中村氏)。

 「五感の全部で吸収できる」――INFOBAR A02の個性を深澤さんはそう語る。「こんなに完成度が高い物ができるというのは、長年夢見てきたこと。まずはINFOBARという記号が立っているから、お客さんも(世界に)入りやすいと思う。次に、使ってみたら『うわぁ!』という驚きがあるはず。そこからさらに自分らしくクリエイトできる。段階的に飛び込んでもらえるといいなと思います」(深澤氏)

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