「みまもりGPS」をGPSロガーとして利用してみた旅のお供に

» 2013年09月19日 21時00分 公開
[布施繁樹(K-MAX),ITmedia]

 ソフトバンクモバイルが4月26日に発売した「みまもりGPS 201Z」は、ZTE製のGPS通信モジュールの一種だ。

 GPSで測位した情報を記録するだけでなく、3G回線を通じて“親機”関連付けたPCやスマートフォンなどに、現在地を伝えることができる。子供やお年寄りの迷子対策、車などの盗難対策といったシーンでの利用を想定した製品だ。

photo 非常にコンパクトかつシンプルな本体

 同社の「みまもりケータイ」シリーズと似ているが、みまもりGPSは通話機能を搭載せず、あくまでGPSを利用した位置情報送信に特化しているのが特徴。そういった意味では非常に独特な端末であることは間違いない。なお、GPSといっても、携帯電話の基地局情報を利用した補助システムである「A-GPS」にも対応しているため、測位も高速化され精度も向上しているという。

photophoto 約48グラムのコンパクトな本体。製品には、3色のシリコンカバーと、電源をオン/オフするためのスティック、リングストラップが付属する(写真=左)。ボタン下部のランプで各種状態を確認できるが、やや分かりにくい(写真=右)
photo ランプ状態のパターンが多めで覚えるのがやや面倒だと感じてしまう

 コンパクトな本体は防水仕様で、女性の手にも持ちやすいたまご型。重さも約48グラムと軽量である。本体には位置情報計測用のボタンが付いているだけで、ほかに操作部はない。バッテリー状態や通信状態はボタン下部のランプで判断する。例えば、電波マーク下部が赤く点滅していると“圏外”ということである。

 しかしながら、この方法ではランプの光り方が何を意味しているのか、いまいち分からない。できればモノクロ1行程度の液晶を搭載して、GPSと携帯電話としてのアンテナ本数(電波強度)、バッテリーの残り容量くらいは常時把握できるようにして欲しかった。

photo 電源のオン/オフがちょっと特殊。付属のピンを使って奥まっているスイッチを押す。セキュリティ用途を考慮してか、簡単には電源をオン/オフできない

 また、電源のオン/オフの仕方も特徴的である。通常の通信機器であれば電源ボタンの長押しでオン――という感覚があるが、このみまもりGPSは充電部分のフタを開け、Micro USBスロットの横にある小さな穴に付属のピンの先を差し込んで行なう。基本的に電源を入れっぱなしで使う製品であり、セキュリティ上のこともあるので、このようなやや特殊な操作になっているのだろう。誤操作を防ぐ意味でも、この方法はアリだと思う。

実際にGPSロガーとして使ってみる

 みまもりGPSをGPSロガーとして利用する場合には、対になる“親機”が必要だ。親機はPCもしくはスマートフォンを最大20台(オーナー1台、メンバー19台)まで登録できる。オーナーとメンバーは端末にリクエストできる操作や機能に違いがある。今回は親機としてオーナー登録をした「AQUOS PHONE Xx 203SH」を利用した。

photo みまもりGPSの親機となるスマートフォン。SoftBank以外のスマートフォンでも登録できる

 注意しなければならないのは、スマートフォンを親機とした場合には一部の機能に制限が出てしまうことだ。例えば、他のメンバーを設定することはできないほか、特定のエリアに入った場合にメールでお知らせをする「エリア測位」機能も利用できない。

 しかしながら、スマホ側から位置情報の測位要求をする「遠隔測位」や、一定時間ごとに測位をした連続したデータとして提供する「連続測位」機能は利用できるので、一般的な利用には問題ないだろう。

目指せツインリンクもてぎ!

 今回はこのみまもりGPSを、8月上旬に栃木県茂木町の「ツインリンクもてぎ」で開催されたモーターレース「スーパーフォーミュラ」の観戦に持ち出してみた。自宅からツインリンクもてぎまでのドライブは長時間になり、GPSロガーとしての連続測位機能を試すにはもってこいである。

 ということで、専用アプリを入れたスマホから連続測位の開始をリクエストしてみたが、端末はうんともすんとも言わない(正確にはランプが点かない)。どうしてだろうと、確認したところみまもりGPSに電源が入っていなかった。単純ミスと言えばそれまでだが、やはりひと目で端末の状態が把握できるディスプレイが欲しいところ。次期モデルではぜひ改善してほしい。

photophoto みまもりGPSに電源が入っていないなど、親機からの操作でエラーがあるとメールで通知がある(写真=左)。連続測位の間隔は5分とした。そこそこ正確な場所を表示しているようだ(写真=右)

 気を取り直して電源を入れ、スマートフォンから連続測位の指示を送った。連続測位は最短で1分より測位をしてくれるのだが、バッテリーの持ちが心配なので今回は5分にした。5分単位で測位した場合、およそ20時間バッテリーが持つという。これだけ持てば日帰り旅行程度であれば問題ないだろう。

 自動車に乗って埼玉県から栃木県へ移動する。もちろん、道中もきちんと表示してくれる。しかしながら注意しなければならないのは、スマートフォンのアプリ上にリアルタイム位置情報を追加してくれるというよりは、集計期間を決めてその期間中に計測データを表示するという方法が取られている点だ。

 リアルタイムで位置情報を表示させる場合には、GPSを搭載しているスマートフォンのみで完結してしまう上、スマートフォンのバッテリー消費が激しくなってしまう。それでこのような方法が取られているのではないだろうか。

photophoto 決して徒歩だけではないのだが、全て徒歩として移動したことになってしまっている(写真=左)。選べる項目は徒歩、ジョギング、サイクリングで、スポーツ用途としてなら活用できそうだが……(写真=右)

 ツインリンクもてぎに到着し、レース観戦中もみまもりGPSをそのまま持ち歩いていたのだが、夕方までしっかり測位を続けてくれた。1日使って気になったのは、移動していないのに現在地がわずかに移動したことになってしまう点。測位環境による誤差だと思うが、ちょっとすっきりしない。

 もう1つが、レース場到着後は徒歩で移動していたのだが、データ上では全て徒歩で移動したいたことになる点。さすがに徒歩で1日100キロメートル以上の移動と記録するのは不自然だ。

 このGPSロガー機能はもともとジョギングやサイクリングでのスポーツ用で考えられたものなのだろう、連続測位の結果をFacebookなどのSNSへ投稿できるのだが、その中の「移動手段」の項目が徒歩/ジョギング/サイクリングの3種類しか選べなかった。自動車やそのほかの交通機関を使う項目があっても良かったのではないだろうか。

さまざまな使い方が考えられる端末

 GPS測位に特化したみまもりGPS。防水の小型軽量ボディに通信機能を備え(通話はできないが)、かつスマホと連携できるGPS端末は珍しい存在だ。盗難対策や迷子対策などの実用目的はもちろん、PCの操作は必要とはなるが、撮影した写真とGPSデータ(ジオタグ)を関連付けられるなど、旅やカメラを趣味とする人にも使いでがある。またスポーツでジョギングやサイクリングをする場合でも、GPSロガーとして活躍するだろう。

 これまでにない種類の端末だけに、気になる面もある。繰り返しになるが、まずは端末ステータスのわかりにくさが挙げられる。連続測位結果の移動手段もスポーツへ限定してしまっているのも惜しい。そして、PCでの操作とスマートフォンアプリで操作でできることが違っているのも気になるポイントだ。

 非常に面白いコンセプトで気に入ってしまっただけに、細かい部分の完成度が気になってしまう。ぜひとも次期モデルで改善されることに期待したい。

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