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» 2013年10月04日 12時00分 UPDATE

石川温のスマホ業界新聞:パナソニックがキャリア向けスマホの開発休止を発表――キャリア向け以外スマホでの復活はあり得るか

パナソニックは9月26日、個人向けスマホ開発を休止すると発表した。休止の理由や、これからのパナソニックの方向性について考えた。

[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 9月26日、パナソニックがプレスリリースを出した。

携帯電話端末事業の経営資源を新規・成長分野に戦略的再配置

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 かなり前から言われていたが、スマホにおいてはキャリア向けの新製品開発は休止し、その経営資源をBtoB市場向けスマホの新規事業開発・推進やAVC社内の共通技術開発を中心に戦略的に再配置するという。フィーチャーフォンの生産・販売、既発売の製品のサポートは引き続き行う。

 実際のところ、ここ最近、以前、取材でお世話になったパナソニックモバイルの人から、異動のお知らせメールをいくつももらうようになっていた。多くの人がテレビ関連の仕事に変わるようだった。

 パナソニックモバイルとしては、確かにスマホへの取り組みが遅れ、またスマホブランドを早期に決められなかったこともあり、「ELUGA」を立ち上げてみたものの、時既に遅しといった感はあった。しかし、ケータイユーザーを徹底的に意識した「ELUGA P」など実に良くできており、充分に差別化されていただけに、このタイミングでのスマホ開発休止は残念でならない。

 パナソニックがスマホ開発休止を迫られたのはいろんな理由があるだろう。当然、NTTドコモとがっつり手を握っていたこともあり、ケータイからスマホのシフトに遅れたという事実もある。特にLimo FoundationなどNTTドコモにお付き合いする形で始めたプラットフォームを手がけたことで、Androidへの開発リソースの切り替えに遅れたことも原因としてあるだろう。

 ただ、パナソニックとして、キャリアの言うことばかり聞いてしまっていた点は反省すべきだろうし、さらにパナソニック本体が、パナソニックモバイルをメーカーの中心として位置づけるセンスが経営陣になかったという点が一番、大きなミスのような気がしてならない。

 その点、ソニーにおいては、平井一夫CEO体制となり、モバイル中心の製品作りが一気に「One Sony」を具現化する原動力になっている。最近、お目見えしたレンズ型デジカメなどは、まさにXperiaが中心となり、その周辺を彩る機器として存在感を出すという点では、総合家電メーカーにしかできない商品ラインナップと言えるだろう。

 本来であれば、パナソニックだって、スマホをソニーに対抗できる位置づけにできたはずだ。パナソニックにはデジカメ、カムコーダー、テレビ、レコーダー、カーナビなど、スマホと連携したら面白そうな家電は山のようにある。スマホを中心に据え、それらの機器と連携する商品群を投入できれば、総合家電メーカーとして充分、世界で戦えたはずだ。

 もちろん、それには海外においてキャリアに頼らない販売チャネルを構築し、独自にプロモーションを展開し、ブランド力を高めるという努力も必要だ。その一方で、海外キャリアと手を組み、インセンティブモデルで売ってもらうルートも欠かせない。

 パナソニックは、もっと早くPMCを本体に取り込み、Androidの技術をすべての家電機器に応用し、グループ全体でスマホの魅力を高めれば良かったものの、あっさりと、ほかのどの家電よりも先にスマホの撤退を決めてしまった。本当に残念でならない。

 しかし、パナソニックに対して、悲観しているかと言えば、必ずしもそうではない。実は、パナソニック内部には、細々ではあるが、復活に向けて準備を進めている部隊がある。その精鋭部隊が、BtoC向けスマホ開発休止報道後、どうなったかの確認はまだできていないが、きっとパナソニックスマホが世界に飛びだせるよう、水面下で頑張っているはずだ。

 確かにリリースを読むと、キャリア向けのスマホは休止するが「BtoB市場向けスマホの新規事業の開発、推進は行う」と書いてある。「キャリア向けではないスマホ」の開発が何を意味しているのか。まだ時間はかかるだろうが、期待しておきたいと思う。

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