女性に人気の“フリマアプリ”がeコマースを大きく変える?佐野正弘のスマホビジネス文化論(1/2 ページ)

» 2014年01月20日 17時00分 公開
[佐野正弘ITmedia]

 2013年、若い女性にヒットしたアプリの1つがいわゆる「フリマアプリ」。なぜ彼女達はネットオークションではなく、フリマアプリを支持しているのだろうか。そしてフリマアプリの人気からは、どのような可能性が見えてくるだろうか。

若い女性にヒット 注目を集めるフリマアプリ

 App StoreとGoogle Playは毎年末、その年のベストアプリを決める恒例のイベントを実施している。当然ながらそれぞれのマーケットで提供されているアプリは異なっているし、選定基準も違っていることから、選ばれるアプリにも違いがあるのだが、中には共通してピックアップされたアプリもいくつかある。

 そうした人気アプリの1つに「メルカリ」がある。いわゆる“フリマアプリ”の1つで、かつてウノウ(後にジンガジャパン)を立ち上げたことで知られる山田進太郎氏らが設立した同名企業が提供している。メルカリはGoogle Playの「ベストアプリ2013」では“ベストショッピングアプリ”として選定されているほか、iTunesの「BEST OF 2013」のiPhone向けアプリ部門では“トレンド”の1つとして選ばれており、アプリマーケット側から高い評価を得ていることが分かる。

photo フリマアプリの1つ「メルカリ」。2013年のGoogle Playのベストアプリにも選出されている

 そのメルカリに代表されるフリマアプリは、文字通り“フリマ”、つまりフリーマーケットのようにネット上で個人間取引(CtoC)を実現するアプリだ。スマートフォンで商品の写真を撮影してから値付けや商品説明を加えて出品し、ほかのユーザーに落札してもらう。

 ネット上のCtoCといえばヤフーの「ヤフオク」に代表されるネットオークションサービスがよく知られているが、フリマアプリは出品した商品の価格が固定されているため、入札しても価格が上昇することなく、すぐ落札できる点がネットオークションと大きく異なっている。

 フリマアプリは、モバイル向けのWebサービスとして展開されているものも含めれば「ショッピーズ」(Stardust Communications)のように2009年頃から提供されているものもある。だがメルカリや「Fril」(Fablic)など多くのアプリは、ここ1〜2年の間に登場したもの。にもかかわらず、10〜20代の若い女性から高い人気を獲得し、商品の出品数が急速に伸びるなど大きな注目を集めている。

フリマアプリの主要顧客は地方が中心か

 先にも触れた通り、フリマアプリの主な利用者は若い女性だ。それゆえ出品されているアイテムも、服や小物などファッション関連のものが多くを占めている。またマタニティファッションや子供服なども多く出品されており、「マムズフリマ」(サイバーエージェント)など子育て層に特化したフリマアプリもいくつか存在することから、若い母親の利用も多いとみられる。

 フリマアプリを見ていてもう1つ特徴的に感じるのが、出品者の地域属性だ。いくつかのサービスで出品されている商品をランダムに確認してみたのだが、出品者の地域属性は首都圏など大都市に偏っておらず、むしろ地方の方が多い傾向が見られた。落札者の地域属性までは確認できないが、傾向はおおむね共通していると考えられる。

 こうした属性や傾向から見えてくるのは、フリマアプリは地方の若い女性の、古着やリサイクルを主体としたファッションに対するニーズを満たす存在となっているということ。これはフィーチャーフォン時代よりモバイルのコマースサービスではよく見られた傾向であり、雑誌などで人気のファッションアイテムを購入したいが、近くにショップがなく購入できない地方の若年層が、モバイルコマースの主要顧客となっていた側面が強い。

 フリマアプリも同様に、ショップや商品が少ない地方における古着ファッションやリサイクルを、共通した趣向を持つ同じ世代同士でやり取りしたいというニーズを満たしているとみられる。モバイルならではのニーズをうまく拾い上げたことが、急成長につながったといえそうだ。

なぜ、若い女性はフリマアプリを選ぶのか?

 しかしここで疑問なのは、モバイルでもフィーチャーフォンの時代より、「モバオク」(ディー・エヌ・エー)などのネットオークションが人気を博していたことだ。多くの人がネットオークションの存在を知っているにも関わらず、彼女達には今、フリマアプリが選ばれているのである。

 では一体、なぜスマートフォンでは、若い女性にフリマアプリが人気となったのだろうか。その大きな要因の1つが“手軽さ”だ。

 多くのフリマアプリが、ネットオークションとの違いとして打ち出している要素の1つが“手軽さ”である。スマートフォンでは、最初に“使うのが難しい”と感じさせてしまうと、それより先に進まずアプリを使わなくなってしまうケースが多い。そのため多くのフリマアプリは、TwitterやFacebookといったソーシャルメディアのアカウントで登録できるようにするなどして、登録のハードルを下げている。さらに手間のかかる出品に関しても、商品の写真を撮影してから簡単なコメントと、価格や送料などいくつか必要な項目を登録するだけで可能にするなど、難しさを感じさせない仕組みを整えている。

photophoto 「Fril」の出品画面。商品を撮影してから簡単な説明を入力し、価格、送料などを指定するだけで手軽に出品できる

 フリマアプリは出品だけでなく、落札も手軽だ。ネットオークションは商品に入札しても、落札終了時間まで購入が確定しないし、他に入札者がいれば価格はつり上がってしまい、必ずしも落札できるとは限らない。だがフリマアプリであれば、欲しい商品を思い立った時に落札して購入できる。オークションならではの仕組みが、実は“面倒”で“欲しいものが手に入らない”というストレスになっており、そのことがより確実に商品を入手できる、フリマアプリへとユーザーを向かわせているといえそうだ。

 さらにもう1つ、フリマアプリが人気となっている要因には“安心感”も挙げられる。ネットオークションでは当事者同士で直接金銭のやり取りをするのが一般的であるのに対し、フリマアプリの多くは落札者が支払った料金を一度運営側が預かり、落札者に商品が届いた後に出品者へ支払われるシステム(エスクローサービス)をとっている。それゆえ当事者同士のやり取りでトラブルが発生したり、悪質業者や詐欺などに遭ったりするリスクが、ネットオークションより少なくなっているのだ。

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