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» 2015年03月03日 14時46分 UPDATE

Mobile World Congress 2015:ザッカーバーグ氏が今年もMWCで講演 「Internet.org」への協力をオペレーターに呼びかけ

MWC 2015の基調講演にFacebookのザッカーバーグCEOが2年連続で登壇。今年は「Internet.org」への協力をオペレーターに強く訴えかけた。

[末岡洋子,ITmedia]

 スペイン・バルセロナで開幕した「Mobile World Congress 2015」。初日の3月2日夕方(現地時間)に行われた基調講演には、米Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOが登場。聴衆のオペレーター(通信事業者)に気を使いながら、途上国にネットアクセスを広げる「Internet.org」の取り組みについて協力を呼びかけ、同社が買収した無料メッセージアプリ「WhatsApp」への懸念に応えた。

photo 右からWiredのジェシ・ヘンペル氏、Facebookのマーク・ザッカーバーグ氏

 ザッカーバーグ氏がMWCの基調講演に登壇するのは2年連続。初登場の2014年は対談形式だったのに対し、今年は1時間弱の講演時間を前半と後半に分け、まず米Wired誌のジェシ・ヘンペル氏と対談、その後オペレーター3社を招いての対談という形式をとった。メインのテーマは昨年に引き続き、Facebookが中心となって進めるInternet.orgだ。

 Internet.orgは、2013年にFacebookがEricsson、Qualcommらと開始したプロジェクトで、途上国などインターネット環境が普及していない地域で無線を利用したネット利用を促進する――というもの。価格、効率のよいデータネットワーク技術、オペレーターなど業界との協業によるビジネスモデル確立、の3つにフォーカスしている。

 MWC2014でザッカーバーグ氏は、無線技術をエンドユーザーに提供するオペレーターに向かって協業を呼びかけた。それから1年、ザッカーバーグ氏は成果として、アフリカ4カ国、コロンビア、インドの合計6カ国で「Internet.org」アプリの提供にこぎつけた、と報告した。Internet.orgアプリは、Facebook、ニュース、健康、ローカル情報などの「基本的なサービス」を提供するもので、アクセスに必要なデータ通信は基本的に無料。インターネットの世界を知ってもらうことで、ネット利用に料金を払う価値があることを実感してもらうというのが最大の目的だ。

 米Googleも気球を利用してネットアクセスを提供する「Project Loon」など、インターネット人口を増やす取り組みを進めている。「(Googleと)協力する可能性は?」との問いに対しザッカーバーグ氏は、ザンビアではInternet.orgアプリでGoogle検索が使えることを紹介し「もっと協力したい」と述べた。だが、「報道は、(無線通信インフラを提供する)気球や衛星などについて書きたがるが、これらはほんの脇役にすぎない」と続けた。「実際には人口の90%が無線ネットワークでカバーされている」とザッカーバーグ氏。カバーエリアの拡大よりも、カバーエリア内にいる人にどのようにデータ通信を利用してもらうかが課題だとする見解を示して、Googleとの立場の違いを暗に示した。またザッカーバーグ氏は「(ネットアクセスを)推進している企業は実は、オペレーターだ」と述べて、会場のオペレーターをねぎらった。

 だが、そのオペレーターはFacebookに複雑な思いを抱いている。Facebookが2014年に買収したWhatsAppは、オペレーターにとって大切な収益源であるSMSを置き換えるものだ。これについて聞かれると、ザッカーバーグ氏は「アプリはデータの利用を増やすもので、将来のビジネスはデータだ」と回答。だが、オペレーターはインフラに巨額の投資を行っており、これをどう回収するかのビジネスモデルについては、「何に課金するのかが問題だろう」としながらも、「自分たちは規制当局ではないし、オペレーターのビジネスであって、自分たちには分からない」と述べるにとどめた。

 「分かっていることは、Facebookはデータの利用を増やす効果があるということだ」とザッカーバーグ氏。インターネットに接続して最初にすることの1つがソーシャルメディアであり、「ソーシャルメディアを原動力として活用することを支援できる」「良きパートナーになりたい」とアピールした。

「Internet.org」に参加したオペレーターの声は?

 講演の後半は、ミャンマー、バングラデシュなどアジアでも展開するノルウェーTelenorのジョン・フレデリック・バクサス氏、アフリカAirtel Africaのクリスチャン・デ・ファリア氏、南米で展開するMillicomのマリオ・ザノッティ氏のオペレーター3社のトップが加わり、Internet.orgを中心に議論した。MillicomはTigoブランドで展開するコロンビアで、Airtelはザンビア、ケニア、ガーナでそれぞれInternet.orgに参加してアプリ提供を開始しているが、Telenorは参加していない。

photo 右からFacebookのザッカーバーグ氏、Telenorのジョン・フレデリック・バクサス氏、Airtel Africaのクリスチャン・デ・ファリアCEO、Millicomのマリオ・ザノッティ氏

 AirtelとMillicomは、Internet.orgの効果を感じているようだ。Airtelのデ・ファリア氏は、「Facebookは人気のアプリであり、顧客の獲得に貢献している」と述べた。Millicomのザノッティ氏も同じ意見で、データの利用が30%増加したと報告する。同社の場合、Internet.orgアプリは期間限定で無料だが、その後は有料となる。「(無料期間の後は)加入者として料金を払っている」と満足している様子だ。

 Telenorのバクサス氏は、Internet.orgについて「自分たちが持ち寄るもの、Facebookが持ち寄るものを見て、Win-Winの関係を構築できるか、新しい顧客獲得につながるのかを見極めようとしている」と語った。バクサス氏はMWCを主催するGSMAのチェアマンを務める立場からか、会場のオペレーターを代表するかのように、WhatsAppに対する敵意も見せた。

 バクサス氏は、WhatsAppがSMSによる収益を奪っているだけでなく、「顧客とオペレーターとの関係も変えている」と指摘。ザッカーバーグ氏はこれに対し、Facebook MessengerとWhatsAppはInternet.orgの一部ではないこと、Internet.orgでどのサービスを提供するのかは、現地オペレーターと協議の上で決めていることを強調した。そして、「Internet.orgの“顔”は、光ファイバーを敷き、世界中を結びつけるインフラを構築するという、実際の仕事をしている企業(=オペレーター)であるべきだ」と持ち上げた。

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