欧米各国3ユーロ/500Mバイトで使えるSIMを購入――海外プリペイドSIM導入マニュアル「イタリア・ミラノ2015年」編中央駅でSIMとスマホが買える(1/2 ページ)

» 2015年04月27日 14時40分 公開
[山根康宏ITmedia]

 イタリアを最後に訪問してから3年。2015年春の再訪時には、LTEも開始され高速なデータ通信環境が手軽に使えるようになっていた。またこの間にVodafoneが他国でもお得に使えるローミング料金を提供開始。今回は、他の欧州諸国を訪問するにも便利な同社のプリペイドSIMを購入してみた。

国際博覧会準備に忙しいミラノ市内

 ミラノでは5月1日から10月31日までの半年間、ミラノ国際博覧会が開催される。それに合わせて街中のいたるところで工事が行われている。ミラノの鉄道の中心ともいえるミラノ中央駅でも、地下鉄駅との連絡通路に案内所を設置したりと土日も突貫で工事が進められており、訪問した4月中旬は地下から地上に出ようとしたら通路が途中で行き止まりだった……なんてケースにも遭遇。博覧会が始まればスムースな移動が可能になっていることだろう。

 ミラノはこの中央駅の他に、都市間を結ぶNTVの高速鉄道「イタロ」(Italo)が発着するガリバルディ駅も外国人がよく利用する駅だ。両駅の間は地下鉄で数駅なので移動に手間動ことはない。なおミラノ市内は近郊鉄道、地下鉄、トラム、バスをATMが運営しており、同社の切符は共通して利用できる。1回券は1.5ユーロだが、1日(24時間)券4.5ユーロ、2日(48時間)券8.25ユーロを買うのがお得だ。切符は地下鉄自販機などで販売されている。なお4月時点の為替レートは1ユーロが約129.5円。先ほどの切符は1日券が約580円、2日券が約1070円になる。

photo 旅情あふれるミラノ中央駅
photo 市内交通は切符が均一。地下鉄駅などで1日券を買うと移動も楽だ

 なお中央駅の切符自販機周辺には頼みもしないのにボタンを押して強引に手伝いをしてくる連中が多数たむろしている。勝手に案内をして切符を買ったあとでチップをせがむ魂胆だ。切符を買うとして横から何か言って来たら「No」とも何も言わず、徹底的に無視しよう。Noと言った瞬間、相手を認識していることになる。欧州にはモノ売りやら募金を装ったスリなどが多いが、それらへの対応は断るのではなく「無視」に限る。

photo 地下鉄切符自販機の画面(左)。「Urban ticket」を押すと1日券、2日券の画面になる(右)。戸惑っていると横から強引に手伝おうとする連中がやってくるので注意
photo ミラノの地下鉄は駅も走行中の車内も電波が入る

 さて3年前のミラノでは観光地としても有名なドゥオーモ広場付近の各通信事業者の店舗でプリペイドSIMを購入したが、実はもっと簡単に買える場所がある。それがこのミラノ中央駅だ。欧州によくある行き止まり式のホームがずらりと並ぶ旅情あふれるこの駅には、ホームと同じフロアにVodafoneとWindが、そして下のフロアにはTIM(Telecom Itaria Mobile)やHutchison 3G Italia(3IT)の店が並ぶ。なお駅ビルには家電量販店のMedia Worldも入っており、そちらでも各社のSIMやSIMロックフリースマートフォンなどを販売している。ミラノ中央駅だけで通信関係の買物はすべて済ますことができるのだ。

photo ホームの端にあるVodafone。英語もスムースに通じるが時間によっては混雑しているのが難点
photo 対面にあるWind。なお上のSky TVのラウンジは一般的なカフェ。電源が自由に使える穴場だ。なお無料Wi-Fiもあるが訪問時は電波は飛んでいなかった
photo TIMの店舗は駅構内2カ所ある
photo 3ITは地階に店を構える
photo 家電量販店のMedia Worldの案内。店内には各事業者の店もある
photo Media Worldの郊外店。ミラノ中央駅店を含め市内数カ所に店舗を構える

Vodafoneイタリアは欧州各国で使える最強SIM

 今回購入するVodafoneイタリアのプリペイドSIMは、欧州を旅行する人の間でひそかに人気の高い製品だ。最近の欧州各社のプリペイドSIMには、他の国でも比較的安価な料金でデータ通信を利用できるものが増えている。以前、VodafoneアイルランドのプリペイドSIMを紹介したことがあるが、英国やドイツなど各国のプリペイドSIMがローミング用の低価格データ料金を提供しているのである。

 中でもVodafoneイタリアが提供する「Smart Passport」オプションは、欧州や米国各国で1日3ユーロ(約390円)で500Mバイトのデータ通信が利用できるのだ。ミラノのあとパリに2日、ロンドンに3日、なんて旅行をする場合、パリとロンドンでプリペイドSIMを買い替えなくても、VodafoneイタリアのプリペイドSIMが1枚あれば5日間2000円弱で済んでしまう。1日500Mバイトの上限も一般的な使い方なら問題ないだろう。

 ところでEUはネットの中立性の新ルールとして、欧州内のローミング料金の撤廃を2015年末に行う予定だったが、3月の会議で2018年末までに延期された。そのためしばらくは、このVodafoneイタリアのプリペイドSIMが欧州各国で利用できる最強のSIMとなりそうだ。ちなみに4月現在、4G/LTEもスペイン、ポルトガル、ギリシャ、オランダ、ルーマニア、ドイツ、英国で利用可能。4Gは他に、オーストリア(A1)、リヒテンシュタイン、ノルウェー、スイスでもりようできる。今後対応国は拡大される予定だ。

photo Smart Passport対応国(イタリア語)。旧東欧など現地SIMの入手情報が少ない国も対応する。米国やカナダでも使えるのはうれしい
photo 購入したSIMカード。実は筆者は最近、スライド式のMicro SIMスロット端末にそのままNano SIMを入れている。SIMアダプタは引っかかるので利用しない。位置調整も慣れればすぐにできる。もちろんこの利用方法は自己責任だ

 ミラノ中央駅のVodafoneショップには、列車を降り立った旅行者が次々に訪れている。プリペイドSIM購入と伝えれば後の対応もスムース。なお購入にはパスポートの提示が必要だ。プランは何も言わなければ「Vodafone15」という従量料金プランになる。今回はミラノに1週間滞在するためデータ通信2Gバイトもつけてもらった。そして「他の国でも使うので、Smart Passportもつけてほしい」としっかりとお願いをした。

 なお特に料金内容は気にしなかったが、後でオンラインで登録内容を確認したところ「Scegil Voice」という500分通話と100Mバイトのオプション(月間10ユーロ)、「Extra 2GB 4G」という4Gの2Gバイトデータオプション(月間10ユーロ)が付与されていた。あらかじめ分かっていればExtra 2GB 4Gの10ユーロだけでもよかったかもしれない。SIM代金は無料で支払額は20ユーロ。SIMの登録作業にかかった時間は10分弱。登録終了後料金を支払うと「開通は約1時間」と言われたので、向かいのWindの店の上にあるSky TVが経営するカフェで休憩がてら待つことにした。

 プリペイドSIMにはあらかじめPIN番号が設定されているので、電源投入直後に4ケタの数字を求められる。3回間違うと面倒なことになるので入力は慎重に行いたい。その後アンテナマークが立ち、通信オプションがオンになるとSMSが届くので、それまではスマートフォンのデータ通信はオフにしておいたほうがいいかもしれない。なおAPN設定は以下の通り。

  • APN:mobile.vodafone.it
  • ユーザー名:なし
  • パスワード:なし
photo 契約書には電話番号やプラン(青線)が記載されている。納税者番号(赤線後述)も記載
photo 開通後に届いたSMS。500分+100Mバイト、2Gバイトそれぞれのオプションが付与されている
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