超ITオンチな妻に最新iPhoneを渡して、奮闘する様をつぶさに観察する連載「彼女はiPhoneを使いこなせない」。フリック入力を身につけつつ、スーパー方向音痴にもかかわらず地図アプリまで使い始め、スマホマスターへの階段を一歩一歩、着実に登っている。
iPhone 6sの購入直後から、アプリのアップデートやAppleからの通知が届くのだが、妻はいちいち「これってなに?」と尋ねてくる。先日は「OSをアップデート云々って指示してくるんだけど、オーエスってなに?」と聞かれたので、無茶だとは思いつつも「スターウォーズ」にたとえて説明してみたところ、何とか彼女なりに腹落ちしてくれたようだ。
アプリのアップデートについては、「新しく更新されたから、素直にYESって押して更新していいよ」と伝えて一件落着。しかし、OSについては何の略称かはもちろん、意味もチンプンカンプンだそうな。まずはノーヒントで予測させてみた。
妻 綱引きで「オーエス! オーエス!」って掛け声出すけど、何か関係ある?
僕 1ミリもないよ。
妻 OとSか……何かの略称だよね、きっと。
僕 オペレーティングシステムの略称なんだけど、ヒントになるかな。
妻 余計に分からなくなったわ……ゴメン、ギブアップ。想像がつかない。
僕 えっと、Wikipediaにはこう書いてある。“OSとはコンピュータにおいて、ハードウェアを機能毎に抽象化したインタフェースを利用者またはアプリケーションソフトウェアに提供するコンピュータプログラムである。主に、与えられたハードウェアリソースを無駄なく簡易に利用可能にすることに重点が置かれている”……と。
妻 待て待て待てぃ! ハードウェア、ソフトウェア、インタフェース、アプリケーション、リソースとか、よく分からない言葉をよく分からない言葉で説明されてもさっぱりだよ。
僕 だよね……。
妻 ちゃんと、素人にも分かりやすく説明してよ。
iPhoneを買い与える前から、「カタカナ用語をいちいち解説することになるだろうなぁ」とは気付いていたのだが、とうとうそのタイミングが来たようだ。機械そのものの操作は、一度覚えればそれまでだ。でも、形のない概念とか抽象的な事象を腹落ちするように説明するのはカンタンではない。
僕 これまで、OSアップデートのお知らせが来たときはどうしてたの?
妻 ぜんぶ無視だよ。
僕 でもさ、とても大切なお知らせだった可能性だってあるじゃない? スルーしちゃうのはまずいかもしれないよ。
妻 うん。でもいきなりOSをアップデートうんぬんっていわれても、意味が分からないし、従うことで得られるメリットに触れてこない。iPhoneって、こちらが用語を全て知っている前提で話しかけてくるよね。
僕 確かにそれは否めないね。
妻 ソフトウェアとハードウェアって単語は、iPhoneを使う前からよく耳にしたんだけど。
僕 ハードウェアは想像できる?
妻 たぶん、機械そのものじゃない? “ハード=硬い”だし。
僕 ……ざっくり合ってる。じゃあソフトウェアは?
妻 機械の中に入っているデータ。例えば、住所録の電話番号とかメールアドレスがソフトウェアだと思う。
僕 むむむ……。
このあたりから、「これは話が長くなるぞ」と予感し始めた。
とは言え、Wikipediaや用語集に書いてあるように、辞書的な説明をするだけでは難解すぎる。ここは思い切って、スターウォーズにたとえて説明してみることにした。
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