ドコモの「VoLTE(HD+)」とは何か? 通話音質を高める意義

» 2016年05月12日 18時24分 公開
[平賀洋一ITmedia]

 NTTドコモは5月19日、既存の「VoLTE」より音質を高めた通話サービス「VoLTE(HD+)」を開始する。同日発売の「Galaxy S7 edge SC-02H」、6月中旬発売の「Xperia X Performance SO-04H」、6月上旬発売の「AQUOS ZETA SH-04H」で利用でき、今後発表する機種も対応して行く。

ドコモの「VoLTE(HD+)」 ドコモが「VoLTE(HD+)」を開始
ドコモの「VoLTE(HD+)」 対応する「Xperia X Performance SO-04H」「Galaxy S7 edge SC-02H」「AQUOS ZETA SH-04H」(発表時点)

 VoLTE(HD+)は伝えることができる声の周波数帯域がVoLTEより広く、特に高い音が今までより聞こえるようになる。ドコモの加藤薫社長は音質の違いについて、「FOMA(3G)が固定電話、VoLTEがAMラジオとすると、VoLTE(HD+)はFMラジオ並み」と説明した。

 VoLTEと同じように、VoLTE(HD+)も対応機種同士でなければ有効にならない。相手がドコモのVoLTE端末であればVoLTEで、それ以外であれば従来の3G方式での通話になる。現状ではキャリアを超えたVoLTE通話ができず、これはVoLTE(HD+)でも同様だ。もちろん料金は今までと変わらない。

ドコモの「VoLTE(HD+)」 VoLTE(HD+)通話だと「HD+」の表示
ドコモの「VoLTE(HD+)」 VoLTEでは「HD」
ドコモの「VoLTE(HD+)」 それ以外は特になにも出ない

 VoLTE(HD+)は業界団体3GPPで標準規格された「EVS」(Enhanced Voice Services)という音声符号方式(コーデック)を使ったもので、国内キャリアでEVSを採用したのはドコモが初。EVSの標準化にはドコモも関わっている。

ドコモの「VoLTE(HD+)」 VoLTEとEVSの違いなど

 EVSがカバーする声の周波数帯域は50Hz〜14.4kHzと、ドコモのVoLTEで使われているコーデック「AMR-WB」(Adaptive Multi-Rate WideBand)の50Hz〜7kHzから高周波帯側に広がった。サンプリング周波数もAMR-WBが16kHzだったのに対しEVSは32kHzと、より高い音を伝えることができる。ドコモのVoLTE(HD+)対応スマホはEVSに対応したチップセットを搭載するほか、機種によってはより高い音が出せるようスピーカーの部品も見直したという。ドコモは音質の高さを通話以外でも生かすため、呼出音を音楽に変更できる「メロディーコール」の高音質版を2016年度中に開始する予定だ。

 なお、ドコモ回線を使ったMVNOのSIMでもVoLTE(HD+)が使えるかは「現時点でノーコメント」(担当者)とのことだった。ただVoLTEはMVNOの通話サービスでも利用できるため、端末同士であれば可能と思われる。

高周波成分を含む音声ほどリアルな感情を伝えられる

 5月11日に行われたドコモの発表会には、青山学院大学の重野純教授(教育人間学部)がゲストとして登壇。「音声によるコミュニケーションと感情の認知」と題したミニ講義が行われた。

ドコモの「VoLTE(HD+)」 青山学院大学の重野純教授

 重野教授は円滑なコミュニケーションには言葉の意味だけでなく、声の高さや調子、強さといった伝え方による感情も欠かせないと説明。特に日常会話では感情などの非言語情報が重要になることがあり、同じ「おめでとう」という言葉でも悲しそうに話すことで、意味と感情が不一致になるという実験結果を紹介した。こうした傾向は母音を多く使う日本語で強い傾向があるという。

ドコモの「VoLTE(HD+)」
ドコモの「VoLTE(HD+)」
ドコモの「VoLTE(HD+)」
ドコモの「VoLTE(HD+)」

 また声に限らず音は倍音が多いほど豊かな音色になるといわれる。声の場合は高周波成分の聞こえ方で話し方の印象、つまり感情が伝わり、高周波成分を含む音声ほど相手のリアルな感情を知ることができるとの考えを示した。

ドコモの「VoLTE(HD+)」 ドコモ加藤社長

 加藤社長は「コミュニケーションとは感情の伝達。テレコミニケーションはそれを音声だけで行うもので、(携帯電話キャリアの)われわれがやるべきことはたくさんある。特に日本人は感情に細やか。VoLTE(HD+)の導入はそれをフォローするステップとして大きな意義がある」と説明した。

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