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» 2016年05月28日 06時00分 UPDATE

石野純也のMobile Eye(5月16日〜27日):FREETELもY!mobileに真っ向勝負――MVNOは「格安」と「中価格」の二極化へ (1/2)

格安SIM/スマホは、まだ一般ユーザーには行き渡っていない。一方で、2016年は、その普及が加速するとの見方もある。今回は、新端末・サービスを発表したFREETELを軸に、MVNOの今後を占っていきたい。

[石野純也,ITmedia]

 「知る人ぞ知る存在だったSIMフリースマホが、一般に広まりつつある」――こう語るのは、プラスワン・マーケティングの増田薫社長だ。同社の展開するFREETELは、新たに「FREETEL 2.0」を掲げ、より市場の大きな一般層への拡大に注力していく方針。これに合わせ、新端末の「REI(麗)」や、容量別の新料金プランに加え、端末とSIMカードを月額払いでセット販売する「REIプレミアムバリュープラン」も発表した。

FREETEL
FREETEL 端末だけでなく、通信サービスやアプリも発表したFREETEL

 「格安スマホ」や「格安SIM」として一躍メジャーな存在になったSIMロックフリー端末やMVNOだが、まだメディアなどの情報が先行している段階で、販売台数や契約者数を見ても、いわゆる“マス”には行き渡っていない。一方で、2016年は、その普及が加速するとの見方もある。総務省が策定したガイドラインの影響もあり、大手キャリアの端末販売台数が減少する見通し。電気通信事業法の改正もあり、MVNOの活躍する範囲も増えようとしている。今回の連載では、FREETELの発表を軸にしながら、MVNOの今後を占っていきたい。

FREETEL 「FREETEL 2.0」と銘打ち、一般ユーザーを取り込んでいく

マスに向けて舵を切ったFREETEL、CMも開始して幅広いユーザーに訴求

 まずは、FREETELの新たな発表内容を見ていこう。端末からネットワーク、サービスまでを一手に手掛ける同社だけに、今回も、その内容はさながら大手キャリアのような幅の広さとなった。端末としては、SIMロックフリースマートフォンのREIを投入する。REIは、2月にスペイン・バルセロナで開催された「Mobile World Congress 2016」に出展されていた試作機がベースになっており、アルミをふんだんに使った金属ボディーを採用した端末。「ソフトウェアをカスタマイズする力もついてきた」(増田氏)と言うように、ホームアプリやホームキー、カメラアプリなども、同社のオリジナルだ。

FREETEL
FREETEL アルミボディーを採用したSAMURAIシリーズの「REI(麗)」

 Androidスマートフォンとして珍しいホームキーは、「FREETELボタン」と名付けられており、「5つの操作を1つのボタンで行える」(増田氏)。具体的には、ボタンにタッチセンサーと指紋センサーも合わせて搭載されており、タッチするだけで、Androidの「戻る」キーと同じ動作をする。短押しでホーム画面に移動したり、長押しでGoogle検索が表示されたりするのは、ホームボタンを搭載している他のAndroidスマートフォンと同じだ。また、iPhoneやGalaxyシリーズ同様、このボタンが指紋センサーも兼ねている。

FREETEL 「FREETELボタン」という名のホームボタンを搭載する

 スペックは、同社がこれまで発売してきた「KIWAMI(極)」と「MIYABI(雅)」の中間といったところだ。チップセットにはMediaTek製の「MT6753」を採用。メインメモリは2GB、ストレージは32GBで、5.2型のフルHDディスプレイを搭載する。ミッドレンジの中ではやや上位寄りのモデルになるが、価格は2万9900円(税別、以下同)。FREETELの得意とする、競合より一段安い価格は、ここでも健在。増田氏が「ど真ん中のモデル」と述べていたように、まさにボリュームゾーンの端末だ。

FREETEL 同価格帯の製品より、一段高い性能を持つ

 ネットワークサービスに関しては、料金プランを充実させる方向に進んだ。これまでのFREETEL SIMは、主力が段階制の「使った分だけ安心プラン」だった。これは、料金は299円から始まり、最終的に8GBで2470円になり、10GBまで高速通信が利用できるというものだ(音声通話対応の場合は、700円高くなる)。使ったデータ量に応じて自動的に料金が決まる上に、「節約モード」にしておけば、容量を消費せずに利用できる。この料金プランは、「詳しい方には好評だった」(取締役 藤田聡敏氏)。

FREETEL 容量別に料金を分けた「定額プラン」を開始

 一方で、「従来のキャリアと同じように、あらかじめ容量を選び、支払う額が分かっていた方が安心だという人も多かった」(藤田氏)という。大手キャリアが容量別のプランを提供しており、ユーザーがある程度慣れていることもある。単価はそれより安いが、MVNOも容量別プランを採用しているところの方が多い。ユーザーの幅を広げ、よりマスと呼ばれる層を狙いに行くためには、新たな料金プランが必要だったのだ。

 端末、通信料金ともに、“マス向け”を明確化したFREETEL。これに加えて、マーケティングキャンペーンも大々的に展開する。テレビCMのキャラクターに、女優の佐々木希さんを起用。299円から始まる使った分だけ安心プランにかけ、「ニクキュー」というキャッチコピーを打ち出した。REIのCMも作成される。このCMで、佐々木希さんが、猫のようにも見えるチーターの格好をしているのは、Y!mobileを強く意識してのことだろう。

FREETEL 同社初となるテレビCMには、女優の佐々木希さんを起用
FREETEL
FREETEL REIのCMのほか、「ニクキュー」といういろいろな意味で挑発的なコピーも登場

 増田氏は「ライバルだと思っていたら、(家電量販店のY!mobileコーナーなどで)端末を販売してもらったりしない」と述べていたが、CMの内容や後述する販売施策を見ると、むしろY!mobileに真正面から切り込んでいる印象すら受ける。ある関係者も「やはりそこの市場が大きい」と、口をそろえる。

ワイモバ対抗の「プレミアムバリュープラン」で勝負に出る

 販売施策の中にも、Y!mobileを意識したと思われるものがある。それが、「プレミアムバリュープラン」だ。プレミアムバリュープランは、端末と通信料金、補償サービスがセットになったもの。先に紹介したREIに合わせてリリースされており、MIYABIやKIWAMI、MUSASHIといった、他のFREETEL端末にも拡大した。

FREETEL端末代と毎月の通信料がセットになった、プレミアムバリュープラン
FREETEL MIYABIなど、他のSAMURAIシリーズでもプレミアムバリュープランが始まった

 これは、簡単にいえば、持ち帰り価格を「0円」にする販売方式。大手3キャリアが行っている割賦販売に近い仕組みだが、端末と通信料、保証サービスが一体となっているところに特徴がある。先に挙げた容量別の「定額プラン」によって、料金は異なるが、MNPを利用した場合、REIでの価格は月2990円から。この「プランXS」の場合、1GBのデータ容量に、無料通話が15分つく。もちろん、REIは無料で持ち帰ることが可能だ。MNPを利用しない場合は、3790円となる。

 MNP利用時で、データ3GB、無料通話30分の「プランS」は3390円、データ5GB、無料通話60分の「プランM」は3990円、データ10GB、無料通話60分の「プランL」は4940円、データ20GB、無料通話60分の「プランXL」は7340円だ。通常契約だと、それぞれ4190円、4790円、5740円、8140円となる。

FREETEL REIプレミアムバリュープランの一覧。MNP利用時と通常契約時で価格が異なる

 プレミアムバリュープランの利点は、やはり初期費用を抑え、気軽に端末を購入できるところにある。大手キャリアの販売方式に慣れていると、SIMロックフリー端末の“素の価格”はどうしても割高に見える。MNP利用時のみ、1年間の条件はつくが、2990円という価格設定はY!mobileの「スマホプランS」に近い。増田氏は記者会見で、「われわれの方は端末も付いてこの値段」と述べていたが、厳密にいえば、これは間違いだ。Y!mobileも、機種を選ばなければ“実質0円”が実現するため、端末代込みで2980円で済んでしまう。

FREETEL FREETELの発表会でも、Y!mobileのプランは強く意識されていた

 こうした価格設定がユーザーに伝わりやすいのは、既にワイモバイルが「伸び盛り」(ソフトバンクグループ 孫正義社長)であることが証明している。「端末込み、データ通信は1GBまでで無料通話付きで2990円」と一言で表すことができ、毎月のコストがいくらになるのかを計算する必要もない。

 もちろん、Y!mobileが好調な理由はこれだけではない。MVNOにはない販売網や、価格以上に満足できるネットワーク品質なども、ユーザーを増やしている要因と言えるだろう。FREETELが店舗を大幅に増やし、通信速度にこだわっているのも、そこが競争領域になっているからだ。

FREETEL
FREETEL 店舗の数や通信速度でも、対抗していく構えだ

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