成人した娘とその父が、(娘が)思春期だったころを回想しつつ本音で語り合う連載「育児の答え合わせ」。脳内で考えてはいたけどいえなかったあんなこと、つい口を滑らせて誤解された余計なひとこと、恥ずかしくていえなかった言葉を、少し照れながらも赤裸々に語り尽くします。
インタビュー当日、待ち合わせ場所に現れた鈴木親子は表情がかなりこわばっていました。モデレーター(中山)を交えて、何年間も喋っていない相手とデリケートな話をするわけなので、緊張しないほうが無理というもの。
会話は弾むのか、重苦しい沈黙に包まれるのか、大げんかに発展してしまわないか、あるいは想像だにしない結末が待っているのか……われわれ3人は一抹の不安を抱えながら答え合わせを開始しました。まずは”幼少期の答え合わせ”からスタートです。
宇都宮在住で都内に勤務する実直な公務員。勤続42年で3週間後に定年退職を迎える。娘とは高校生のころからほぼ会話がない。
都内のIT系企業で働く社会人3年目のビジネスウーマン。高校3年時のある事件をキッカケに、父と会話が途絶えて今に至る。
父 31歳で結婚して、ずっと子供はほしかった。でも、なかなか子供ができずに4年がすぎてしまって……知らないかもしれないけど、母さんは流産したこともあるんだよ。
娘 じゃあ、私は待望の第一子だったってこと?
父 そう。できれば二人目も欲しかったんだけど、翌年には弟も生まれたし、結果的に「一姫二太郎」って最高の結果になったよ。
娘 一人目は「男のほうが良かった」とか、「できれば女がほしい」とか考えてた?
父 いや、なにも。普通に健康に育ってくれればそれでよかったよ。
娘 私、元気でやんちゃすぎた子供だったかもしれないな……。パパは私をどんな女の子に育てたかった?
父 ……普通、かな。
娘 普通ってなによ、もっと具体的に。
父 道を外れずに生きる……。しっかりした人間になってほしい。それだけ。
娘 たしか、私って小さい頃から公文に行かされなかったっけ?
父 お前が3歳のとき、母さんの希望で公文に通わせ始めたよ。
娘 3歳かー。かなり早い段階でやってたんだね。教育熱心かと思いきや、頭ごなしに命令することはなかったよね。パパから「勉強しろ」って命令された記憶はないし。
父 そうだな。
娘 ただ、礼儀作法はしっかり教えてくれた。パパにとって、しつけはどれくらい大事なことなの?
父 バカとかアホって汚い言葉を発してはいけないってキツく伝えた記憶はあるかな。人様を罵るなとかね。あと、食卓に乗っかるようなマナー違反はダメだとも。それ以外は特にないよ。
娘 そういえば保育園のころ、私は同世代の子たちよりもやたら落ち着きがあったらしいってとママが話してたことがあったよ。きっと、そういうしつけが影響していたんじゃないかな。
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