結局読まない「あとで読む」 「デジタル積ん読問題」はなぜ起きる?

» 2017年02月14日 06時00分 公開
[増村みかみITmedia]

 ネット時代は、多くの情報とニュース記事であふれかえっています。その全てを読み切るのは実質不可能だとしても、自分が興味関心のあるもの、仕事に関係するものなどについてのニュースは押さえておきたいものです。

 そんな「あとでまとまった時間ができたときに読みたい」というニーズに応えてくれる手段の1つが、「あとで読む」機能です。

 機能の名前は、Webサービスやアプリによってさまざまですが、基本的には「読みたい記事をあとから読めるように保存しておく」機能になっています。

 しかし、この便利な機能を前にして、ある1つの疑問が浮かび上がってきました。それは、「あとで読むは本当にあとで読むのか?」というもの。自らを省みても、保存しておいて結局ずっと読まないままということが珍しくありません。そして、私以外にも「あとで読むは結局あとで読まない」と考えている人たちがいました。

検索サイト (いらすとや)

「あとで読まないから、そもそも使わない」

 実は一番多かったのが、「どうせあとで読まないのが分かっているので、そもそも使わない」という意見。ここには、「前は使っていたけど、あとで読む時間がなくて使わなくなった」という人も含まれます。

 使わなくなった理由については、ためていっても「忙しくて読む暇がなく、後から後からたまっていくのであきらめた」と答えています。そもそも使わない人からは、「見たいニュースやブログはそのとき読みたいのであって、わざわざ後で見ようとは思わない」という声がありました。

 こういった人たちは、「1日にニュースを閲覧する時間は限られているので、自分にとって必要な情報を厳選して読む。その日読めないものは切り捨てて、翌日にも話題になっているようなら読む」という割り切りをしています。

「RSSもTwitterも全部読みたい派」

 一方で、RSSリーダーに登録したサイトの記事や、Twitterのタイムラインなどを全部読みたい派の人もいました。そんな人にとって、「あとで読む」は欠かせない機能の1つです。

 「1日にチェックする記事の数は、タイトルだけのものが1000本ほどで、そのうち読むのが100本ほど」。この内、5本くらいを保存しておいて、電車の中など移動時間に読むそうです。

 その他、TwitterやFacebookで見かけた記事は「Safariで開く」を使い、バックグラウンドで開いておいたり、RSSリーダーで1度読んだ記事を未読状態に戻したりなど、あとで読みやすくするためのちょっとした工夫をしているようです。

「電子書籍やDLしたゲームも積んでしまう」

 ネットニュースに限らず、本やゲームなどデジタル化が進んだコンテンツを「積んでしまう」現象も起きています。

電子書籍 (いらすとや)

 「ワンクリックで気軽に買えてしまうこと」「積んでいることが(物理的に)見えにくくなったこと」「期間限定セールや無料キャンペーンの存在」などにより、「多分あとから読む/遊ぶから、今買っておこう(そして積んでいく)」という状態になってしまうようです。

 しかし、どれだけ魅力的なコンテンツがあっても、体は1つ。「結局1度も読まない/遊ばないままのコンテンツ」が大量に積まれてしまいます。先ほど「RSSリーダーもTwitterも全部読む」と言っていた人も、電子書籍については、「書籍を10冊、マンガを20冊ほど積んでいる」と話しています。

 「早期ダウンロード特典」「期間限定セール」「今だけ無料」など、大量のコンテンツであふれるデジタル時代は、「今買わないと損だと思わせる仕組み」がそこかしこで見られます。

 情報やコンテンツに振り回されないためにも、「無駄なものは買わない」「今消費できるものだけを買う」などの割り切りが必要なのかもしれません。

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