ITmedia Mobile編集部で発掘された、思い出のケータイを振り返る連載。今回紹介するのは、ボーダフォンのシャープ製ケータイ「905SH」です。
905SHは、ワンセグの視聴に適した、ディスプレイ部が横に90度回転する「サイクロイド型」が印象的なケータイです。2006年5月にボーダフォンブランドで発売されましたが、同年にソフトバンクがボーダフォンを買収し、10月からソフトバンクブランドに変更となったため、ボーダフォン版とソフトバンク版の2種類が存在します。中身は同じですが、本体に印字されたロゴが異なりました。ちなみに、ここで紹介するのはボーダフォン版です。
2.6型(400×240ピクセル)のモバイルASV液晶を備え、ディスプレイ部を横向きにするとアスペクト比16対9のワイド放送を画面いっぱいに表示してテレビを視聴できます。画面を動かした時のカシャッという音が心地よかったのを覚えています。テレビの連続視聴時間はイヤフォン使用時で約4時間で、当時のワンセグケータイでは最長でした。
ちなみに、ボーダフォン版が発売された当初は、サイクロイド機構から「90°ninety」というペットネームが付けられていましたが、箱にも印字されたこの名前が突如「なかったこと」にされ、箱に「AQUOSケータイ」のシールが貼られていた時期があります。ソフトバンクの孫正義社長(当時)は、この905SHのことを「シャープのAQUOSケータイだ」と呼んでいて、途中から「AQUOSケータイ」の名称が使われるようになりました。恐らく孫社長の要望で、急きょ名前が変更されたのだと思われます。
また、当時のソフトバンクのキャッチコピーである「予想外」と連動させ、画面が90度回転するのが「予想外の動き」だとして、ソフトバンクのCMでも905SHが登場しました。
サイクロイド型のAQUOSケータイは、2010年に発売された「AQUOSケータイ 943SH」が最後となり、現在のAQUOSケータイは、AndroidベースのOSにケータイの機能を融合させた「ガラホ」となりました。孫社長にとっても、AQUOSケータイがこのような変遷を遂げるとは、予想外だったかもしれませんね。
905SHは、ボーダフォンからソフトバンクへの過渡期に登場した、時代を代表するケータイの1つだといえます。
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