美咲 私は誰に見られてもいいような投稿しかしませんけど、中にはきわどいストーリーをシェアする人もいるらしいですよ。病みアピール、におわせ、炎上系、いわゆる“イタい”って言われるような。一昔前のTwitterの雰囲気ですよね。
課長 ええっ! Instagramってあんなキラキラしているイメージなのに。
美咲 昔、Twitterで炎上が流行した時期があったじゃないですか。コンビニの冷蔵庫に入るとか。最近そういうニュース減ったと思いません?
課長 言われてみれば確かに……。YouTuberが問題を起こす話は聞くけど、一般人による炎上はあまり見なくなった気がする。
美咲 私の勝手な予想ですけど、問題行動が減ったんじゃなくて見えづらくなっただけなんだと思います。Twitterの鍵付きアカウントか、インスタのストーリーで仲間内で盛り上がっている。法律違反アピールをしてみたり、未成年がわざとタバコの映った動画を載せたり。
課長 仮に炎上案件だったとしても、ストーリーなら24時間で消えてしまうから大きな問題にならないのか。
美咲 だから表で嫌われがちなイタい投稿もしやすい。ストーリーで「もうだめ」って書いた次の日、タイムラインに「昨日は弱音吐いちゃった。#コメントありがとう #みんなに感謝」みたいなキャプションをキラキラ写真とともに載せるっていう流れをたまに見ます。
課長 どんな世界なんだそれは。Instagramの光と闇を見た気がするよ……。
美咲 まあ人間には調子がいいときも悪いときもあるし、誰かにグチや弱音を聞いてほしい日もありますよ。でもそんなネガネガしい投稿って誰だって嫌だし、書いた本人だってそんな自分をずっと残しておきたくないじゃないですか。だから最近はTwitterでも、「シャボン玉ツイート」みたいに、1時間で消えるツイートができるサービスもありますよ。
課長 昔は嫌なことがあったときは、よく日記に書きなぐったものだけど、今はそれがSNSなんだね。これからのSNSは、投稿が自動で消える機能が重要になるのかもしれないなあ。
美咲 そう考えると、早くから「Snapchat」にハマった10代って、やっぱり感覚がみずみずしいというか鋭いですよねー。アラサー世代の私は、面白さが分からなくてハマれなかったですもん。ストーリーでようやく“消える”面白さを知った感じ。
課長 うう、話を聞くたびに時代にどんどん置いていかれる感覚になるなぁ。おじさんはもうストーリーを使いこなす自信なんてないよ。Facebookに桜の写真を投稿するので精いっぱいだ。
美咲 それでいいんじゃないですか。私もストーリーは好きだけどスナチャはハマらなかったし。課長もFacebookが楽しいならFacebookでいいんですよ。
課長 そう言われると勇気づけられるね。自分は自分の心地よい方法でSNSを楽しめばいいか。
美咲 私のミーハーな性格上、こういうトレンド的な話をすると「そんなの当たり前じゃん」「今さら知ったの?」みたいに、自称情報通からマウンティングされることも増えますしね。私は好きで新しいことを見つけているだけなのに。
課長 そういうときはなんて答えるの?
美咲 大人だから笑顔で「さすがですね」って返しますよ。脳内では「今は情報量や情報を得る早さなんて何の優位性もない時代なのに、それに気付くセンスはないんですね☆」ってディスってますけど。だから課長みたいに、素直に反応してくれる方が断然楽しいし好きですよ!
課長 えっ! 好き……!? そ、その気持ちはありがたいけど、仕事上の関係もあるし、何より僕には愛する妻と娘がいてだな……!!
美咲 さっ、このくらい褒めておけば十分か。課長、メインの料理が到着したから、UberEatsで追加のスイーツと飲み物頼んでいいですか? もちろん課長のおごりで!
課長 美咲チャン、前半の心の声が全部漏れているよ!
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.