「フルMVNO」だからこそできること IIJ大内氏が技術面から徹底解説:IIJmio meeting 19(1/3 ページ)

» 2018年04月22日 08時38分 公開
[房野麻子,ITmedia]

 インターネットイニシアティブ(IIJ)は、2018年3月からフルMVNOのインフラを利用したサービスを開始した。4月14日に開催されたファンミーティング「IIJmio meeting 19」では、エンジニアの大内宗徳氏が、フルMVNOで可能になった新たな機能の技術的な側面を紹介した。

フルMVNO 大内宗徳氏。フルMVNOについて「佐々木にそそのかされてから4年くらいかかった、思い入れの強いサービスになった」とコメント

 大内氏はフルMVNO構想の初期段階から参画し、SIMやインフラの企画、国内や海外の通信キャリアとの接触、設計、開発、検証と、フルMVNOのあらゆる分野に渡って技術面を担当。ここ1年以上はIIJmio meetingでも登壇せず、フルMVNOの開発に専念していたという。

 フルMVNO実現の道のりは、ネットワーク本部 技術企画室 担当課長である佐々木太志氏から2014年5月にフルMVNOサービス検討の話を持ちかけられたところから始まった。ドコモと協議を始めたが、最初の1〜2年はビジネス的な合意を得ることが難しく、なかなか話が進まなかったという。しかし、2016年にはIIJのトップからフルMVNOへの取り組みが了承され、本格的な検討を開始。

 ドコモとの協議も2016年2月頃から急に加速し、4月に同意を得ることができた。2016年8月ごろにIIJの取締役会から費用などを含めてゴーサインが出て、記者会見も開催。設備の設計検討などに着手し始め、IMSI(44003)やIIN(898103)といったネットワークの識別子を取得したり、HLR/HSSラボを構築したりした。それと並行してSIMの開発を進め、1年以上たった2018年3月にサービス開始となった。

フルMVNO IIJのフルMVNO実現までの過程

IIJのフルMVNOでできるサービス領域

 IIJが既存のライトMVNOで提供している主要サービスは、個人向けのデータ通信と音声サービス、いわゆる格安SIMと呼ばれる分野だ。また、法人向けのデータ通信、IoT/M2M向けのデータ通信もある。しかし、この分野だけでは今後のビジネスの成長が見込めないため、それ以外の領域を強化する考え。

 現在提供しているサービスも強化していく。例えば個人向けのIoT/M2Mデータ通信や、Japan Travel SIM(JTS)がカバーしている訪日旅行者向けのデータ通信サービスだ。個人向けの海外データ通信として、IIJでは「海外トラベルSIM」を提供しているが、「やりにくい部分がある」(大内氏)。法人向けのデータ通信も、国内向けのデータ通信に比べて提供パターンが限られてしまっている。モバイルサービスのさらなる成長に向けて、こういった部分をフルMVNOで拡大していく。

フルMVNO 黒い線で囲った部分が既存ライトMVNOでのサービス領域。フルMVNOでは、その外側の領域を強化していく

 ライトMVNOでは、基地局周りとSIMをドコモから借り、IIJはP-GW(Packet Data Network Gateway)やGGSN(Gateway GPRS Support Node)、PCRF(Policy and Charging Rules Function)、OCS(Online Charging System)など、パケットのクーポンを制御するノードを持ち、それでデータ通信サービスのバリエーションを作って提供しているという状況だ。これがいわゆるL2接続といわれる状態だ。

フルMVNO IIJのライトMVNOのインフラ構成

 フルMVNOになると、IIJが独自にSIMを作り、直接ユーザーに提供できる。それに加え、SIMカードを認証するためのノード、HLR/HSSを持つ。また、ドコモと接続するノード、HLR/HSSに加入者の情報を登録する「BSS」と呼ばれるものが追加される。

フルMVNO フルMVNOのインフラ構成

 HLR/HSSは、加入者情報を管理するシステム。IMSI(International Mobile Subscriber Identity)やKi(鍵識別子)など、SIM認証に必要な情報を管理する。さらに、このユーザーがデータ通信やSMS、音声通信を利用できるかといった、加入者に提供するサービス情報、ユーザーがドコモのどこの交換機を経由して認証してきているかという情報も持っている。

フルMVNO HLR/HSSの役割

 具体的に、フルMVNOで何かできるようになったのか。大内氏は、以下の5つを挙げ、その仕組みを解説した。

  • SIMライフサイクル管理/アタッチトリガー開通機能
  • APN自動設定機能(仮)
  • NTTドコモ網をHome PLMNとして接続する機能
  • キャリア名変更機能
  • OTAによるSIM書き換え機能
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