今週、アメリカ・サンフランシスコで開催されたグーグルのエンタープライズ向けイベント「Google Cloud Next 18」を取材してきた。
CloudやAI、IoTなどが主役であり、報道された記事もそれらがメインなのだが、実はAndroidやChromeといったデバイスのセッションなども地味ながら行われていた。
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2018年7月28日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円・税込)の申し込みはこちらから。
最終プレビュー版が配信されたばかりのAndroid Pにも、エンタープライズ向けの機能が盛り込まれている。
例えば、社員にスマホで業務をやらせる場合、1台のiPhoneに、仕事用アプリと私物アプリを混在させるのは運用上、厳しいものがある。企業側としては、プライベートのiPhoneとは別に業務用のiPhoneを手渡したほうが手っ取り早いと感じるだろう。
しかし、Androidは、すでに仕事用プロファイルというものが存在し、1台のAndroidスマホのなかに、仕事用のGmailとプライベートのGmailといったように同じ種類のアプリを2つに分けて入れるということが可能だ。仕事用のアプリにはブリーフケースのマークがついている。
ただ、これまでは画面上に仕事用とプライベートのアプリが混在してしまうため、ぱっと見、わかりづらいという難点があった。
Android Pでは、ランチャー画面上にプライベートと仕事用のアプリ一覧を分けて表示し、切り替えることが可能になった。また、夜間や週末は仕事用アプリをくっきりと表示させないボタンもつくようになった。これにより、就業時間外は、仕事用アプリの存在を忘れて、プライベートを充実させることができるわけだ。まさに、スマホの画面にも「働き方改革」が訪れているのだ。
また、Android Pでは、1台の端末を複数人で使うということも可能になった。アカウントを切り替えて使えるので、1台の端末を就業時間や日にちよって、別の人が使えるようになるという。
グーグルでは、この2月から「Android Enterprise Recommended」というプログラムを始めている。法人導入する上で、おすすめの機種を選定しているのだ。
グーグルのPixelはもちろんのこと、ソニー・XperiaやLG、ノキア、モトローラ、ファーウェイなどが名を連ねている。開始当初は20程度のデバイスであったが、6月にはシャープ・AQUOS senseも加わり、いまでは9つのメーカー、42デバイスが認定を受けている。
この認定を受けるには、1回以上のメジャーアップデートを行い、手作業でのデバイス設定を不要とする「zero-touch enrollment」の搭載が必要だという。
ただ、かたやiPhoneは5年近く前のiPhone 5sでも、今秋、リリースされるiOS 12をインストールできる。Androidも法人市場でさらにシェアを伸ばすには、複数回、最新OSにアップデートできる保障をしていく必要がありそうだ。
© DWANGO Co., Ltd.