KDDIに続き、ソフトバンクも分離プランでiPhoneを販売――iPhoneの高騰化により、月々の支払いは結局、高くなっていないか石川温のスマホ業界新聞

» 2018年09月21日 10時00分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 9月21日のiPhone XS、iPhone XS Max発売に向けて、各キャリアのキャンペーンや端末価格が出そろった。

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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2018年9月15日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円・税込)の申し込みはこちらから。


 ソフトバンクが他社に先駆けて8月29日に「ウルトラギガモンスター+」を発表していたのに対抗し、KDDIが「iPhoneギガトクキャンペーン」を投入。そこにソフトバンクが「ギガ使い放題キャンペーン+」をぶつけてきた。

 ソフトバンクとKDDIが強いのは、すでに端末代金と通信料金の分離プランを導入したことで、一見、安価に見える値付けを大々的にアピールできる点にある。当然、iPhone XS Maxの512GBモデルは端末価格で17万円を超える製品となるだけに、分割払いとなれば、それだけ毎月、支払う料金は上がることになるのだが、そのあたりを一切、無視してアピールしている点が興味深い。

 しかも、端末価格は公正取引委員会から目をつけられている4年間の割賦販売での価格を提示。2年使用後に下取りに出す前提での「実質価格」で記載しているのが何ともいやらしい。

 その点、NTTドコモは、従来通りの「月々サポート」で端末価格に毎月、割引を適用した価格表示となっている。

 どちらかといえば、NTTドコモこそ、端末の割引販売を辞めたがっていたはずが、いつの間にか、NTTドコモだけがiPhoneの端末に割引を適用する会社になってしまった。

 NTTドコモも「docomo with」で、月額1500円を割り引くサービスを提供しているが、「4万円以下の端末に適用する」(吉澤和弘社長)という条件になっているだけに、そろそろ、しれっと4万円以上にも適用してもいいのではないか。

 なんとか通信料金を値下げしようとキャリアにプレッシャーをかけてきた総務省であるが、彼らが長年、望んでいたのが「通信料金と端末代金の分離」だった。図らずも、総務省の望む状況が整ったなか、これからまた検討会を立ち上げようとしている。すでに分離プランが一般的になるなか、総務省はいったい何をキャリアに求めていくのか。

 また、総務省が望む分離プランが導入されたにも関わらず、国民が支払う通信料金が下がることなく、上がっていく傾向が見える中、分離プランの導入が本当に国民にとって良かったのか。むしろ、分離プランがなかったほうが、国民のためになったのではないか、という視点で、総務省には議論を進めてもらいたい。

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