「iPhone XS」「iPhone XS Max」が9月21日に発売される。この2機種は、iPhone Xの直接的な後継機で、プロセッサに機械学習の処理能力を大幅に強化した「A12 Bionic」を採用。このパフォーマンスやISP(イメージ・シグナル・プロセッサ)が強化されたことを生かし、従来以上にクオリティーの高いボケ味のある写真撮影や、逆光などの明暗さの激しい場所でも撮影できる「スマートHDR」に対応した。
デザインはほぼiPhone Xを踏襲しているが、iPhone XS Maxでディスプレイサイズが広がったのも大きなポイントといえる。サイズは6.5型で、iPhoneとしては過去最大。8までのiPhoneとは異なり、ホームボタンを廃したデザインでベゼルも狭いため、全体としてのサイズ感はほぼ“Plusサイズ”のiPhoneと同じに仕上がっている。ラインアップとしてディスプレイサイズの選択肢が増えたというわけだ。
筆者は、この2機種を発売に先立ってAppleから借り、短い期間だが実機を使うことができた。ここでは、そのレビューをお届けしたい。
まずは外観だが、iPhone XS、XS Maxともに、iPhone Xを踏襲している。背面はガラス素材が採用されており、フレームがステンレススチールという点も同じだ。その意味では、1年たって今や見慣れたデザインといえるだろう。ただし、iPhone XS、XSともに、ゴールドという名称の新色が追加されている。
ゴールドの色合いは背面がiPhone 8、8 Plusに近く、ややベージュに近くて落ち着きがある。角度によっては金に見えることもあるが、上品な仕上がりといっていい。一方でフレームはステンレススチールになっているため、光沢感がある。背面ガラスとの相性もよく、高級感の高いカラーリングといえる。
非常に細かな違いだが、端末下部にはアンテナのスリットが追加されている。iPhone Xのときにはなかったものだが、対応バンドが増加したり、通信速度が上がったりした結果、アンテナへの要求がシビアになったのかもしれない。
シンプルさを是とする観点からはマイナスではあるが、下部ということもありあまり気にならないというのが本音だ。また、ほぼ同じ見えるiPhone XとXSだが、カメラの位置にはわずかな差があり、カメラレンズ用の穴をギリギリまで狭めたケースは使い回せない点には注意したい。
次に、iPhone XS Maxのサイズ感を見ていきたい。まず手に取ったときに感じたのは、「意外と持ちやすい」ということ。ディスプレイが縦に長くなっているため、厳密な比較はできないが、ホームボタンがなくなっているため、PlusサイズのiPhoneと比べても片手でタッチできるディスプレイの範囲が広がっている印象だ。
筆者はこれまで、PlusサイズのiPhoneがどうも苦手だった。サイズが大きいのは確かに魅力なのだが、ホームボタンやベゼルの面積が広く、それゆえに画面上部に指が届きにくかったからだ。しかも、ユーザーインタフェースも画面サイズに最適化されている印象がなかった。そんな筆者だが、iPhone XS Maxは思った以上に持ちやすく、操作もしやすいと感じている。
ここまでサイズが大きいと、アプリのアイコンを下の方から並べたくなってくるが、残念ながらそれはできない。一方で、「簡易アクセス」が利用でき、画面の下部にあるドック辺りを下方向にスワイプするだけでよいので、簡単に呼び出せる。個人的には、ホームボタンを2回触れる操作よりも自然に利用できた。
また、iPhone XS Maxでも本体を横にすると、一部のアプリが2ペインで表示される。カレンダーの月表示で日付とタップした日の予定を同時に表示できたり、設定画面で最上位のレイヤーとその中を同時に表示できたりするため、操作をする際に、画面を1つの前に戻る必要がなくなる。PlusサイズのiPhoneにはもともとあった機能だが、Xシリーズでは初の機能となるため、ここで改めて取り上げておきたい。
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