総務省で5G周波数獲得を目指して4キャリア社長がプレゼン合戦――楽天は4G全国展開を待たずに2020年の5G投入に乗り気:石川温のスマホ業界新聞

» 2018年10月12日 10時00分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 10月3日、総務省で5Gの周波数獲得に向けた公開ヒアリングが開催された。

 会合にはNTTドコモ・吉澤和弘社長、KDDI・高橋誠社長、ソフトバンク・宮内謙社長、楽天モバイルネットワーク・山田善久社長が登壇。5Gに向けた取り組みや実証実験の様子、獲得したい周波数幅などが語られた。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2018年10月6日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円・税込)の申し込みはこちらから。


 興味深かったのは、2019年秋にサービスを開始する楽天モバイルネットワークだ。事業開始に向けた具体的なネットワーク構成やベンダーなどが明らかにされたのだった。

 山田社長によれば、楽天では仮想化技術を導入し、ハードウェアは既製品で構成。ソフトウェア部分は、アップグレードだけで5Gに対応できるとした(ただし、無線設備などは5G対応機器の導入が必要)。

 2019年秋のサービス開始当初から5Gの対応ができているため「2020年から5Gサービスを開始したい」(山田社長)との表明があった。

 2019年秋に4Gサービスを開始し、全国展開もままならないタイミングで2020年から5Gを始めたいとはかなり大胆な発言のように感じた。5Gを始める前に、まずはローミングに頼らずに、全国で自社のネットワークを構築するのが優先ではないのか。

 通信速度としては「28GHz帯で800MHz幅の周波数帯がもらえれば下り10Gbpsのサービスを提供できる」(山田社長)と胸を張った。

 この時、山田社長の発言に明らかに首を振ったのが他キャリアの関係者だった。

 他社の発言では28GHz帯を400MHz、4Gのキャリアアグリゲーションと組み合わせても数Gbps程度しか速度は出ず、仮に2倍の帯域幅であっても10Gbpsの速度は不可能に近いようなのだ。

 他の3社は28GHz帯において「400MHz以上欲しい」という現実的な回答なのに対して、楽天だけは「800MHz欲しい」とかなり空気を読めていない発言が印象的であった。

 新規参入で、3社に比べて周波数幅を持っていないからこそ、800MHz欲しいという発言に繋がった可能性もあるし、3社との差を縮めるために、総務省が大盤振る舞いで楽天に800MHz幅を与えることもありえたりするのだろうか。

 楽天の競争力を上げるという意味でも、優先的に5Gの周波数帯が与えられることも考えられるが、楽天が本当に5Gのネットワークを構築できるかの不安も残る。 ヒアリングでは「これまでは開設計画に人口カバー率を用いていたが、IoT時代にそれは似つかわしくない。違う指標が必要だ」という声が相次いだ。

 果たして、4社が納得できるような周波数の割り当てができるのか。総務省の裁きに注目していきたい。

© DWANGO Co., Ltd.

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