10月19日の予約開始に向けて、ソフトバンクがiPhone XRの価格を発表。それを見て驚いた。
64GBが10万6560円。アップルの直販価格が9万1584円だから1万5000円も高いのだ。他の容量も概ね1万5000円程度、高い値付けだ。
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2018年10月13日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円・税込)の申し込みはこちらから。
かつて孫社長は「SIMロックを解除された高い端末をあえて欲しいというユーザーがそんなにいると思えない」と言い切ったことがある。2014年当時の発言ではあるが、まさか4年で、SIMフリー端末よりもSIMロックのかかった端末のほうが高くなるとは思いもしなかった。300年先を読む孫社長でも、このような事態は予想できなかったはずだ。
アップルで購入したほうが、キャリアで買うよりも安くなるというのがちょっと理解に苦しむ。ひょっとして何が裏があるのではないかと穿った見方をしたくなる。
そこで、ひとつ考えられるのが通信料金に適用されるキャンペーンの存在だ。
ソフトバンクでは、機種変更あるいは新規契約し、新料金プランを契約したユーザーに対して「1年おトク割」が適用され、1年間、毎月1000円が割引される。
さらに、11月末まで「ギガ使い放題キャンペーン+」として、2019年4月の請求分まで毎月1000円が引かれるというものも存在する。
ギガ使い放題キャンペーン+は9月14日に発表されたが、おそらく、13日にKDDIが発表した「iPhoneギガトクキャンペーン」に対抗したものと思われる。
料金プランの競争上、1000円でも安く見せたいために、このようなキャンペーンを展開するのは理解できるし、ユーザーとしては大歓迎だ。
しかし、キャンペーンに釣られて契約したものの、実際は端末代金が他のところよりも高く、結局、支払う総額は他社と変わらない、あるいは他社よりも高かったというのでは、結果として消費者はどう思うのか。
ここ最近、政府や総務省、消費者庁、公正取引委員会が「携帯電話料金がわかりづらい」とイチャモンをつけ、何とか自分たちの手柄をあげようと躍起になりつつある。
こんな時期にこのようなキャンペーンと端末価格の組み合わせをやってしまっては、消費者庁の思う壺ではないのか。
各社で分離プランが本格化したのはいいが、「通信料金をいかに安く見せるか」に腐心し、短期間で終わるキャンペーンを乱発するのも理解できなくはないが、それで目立ちにくい端末価格をしれっと上げているようでは、また業界が批判の的にさらされてしまう。
政府や総務省、消費者庁、公取委が目を光らせているタイミングだけに、キャリアには襟を正して、もっと消費者に対して正直でわかりやすい値付け、施策を展開してほしいものだ。
© DWANGO Co., Ltd.