「分離プランのトップランナー」「楽天と“協争”」「au PAY」――KDDI決算説明会で語られたこと(1/2 ページ)

» 2018年11月02日 06時30分 公開
[房野麻子ITmedia]

 KDDIは11月1日、2018年度第2四半期決算を発表。同日に報道関係者向けの決算説明会を開催した。

 2018年上期の連結売上高は2兆4533億円、営業利益は5612億円となり、中期目標の達成に向けて順調な進捗(しんちょく)とした。料金プランの値下げ(auピタットプランとauフラットプランの導入)による減収の影響などによって、au通信ARPA(※1)収入が292億円の減収になったものの、子会社のMVNO(※2)が得た収入や付加価値ARPA収入の増収や、法人・グローバルセグメントの増益が業績をけん引した。

※1 1アカウント(契約者)当たりの平均収入
※2 UQコミュニケーションズとUQモバイル沖縄の「UQ mobile」、ジュピターテレコムの「J:COM MOBILE」、ビッグローブの「BIGLOBEモバイル」など

KDDIの連結増益要因 KDDIの上期における増益要因。auのモバイル通信料は減収となったものの、MVNO収入や付加価値ARPA収入が増えたことで全体として増収を確保した

好調な「ピタットプラン」「フラットプラン」 解約率改善に貢献

高橋誠社長 報道関係者に決算概況を説明する高橋誠社長

 いわゆる「分離プラン」と呼ばれるピタットプランとフラットプランは2017年7月に導入。従来プランからピタットプランに変更した契約者の「平均請求額は約3割低下している」という。ただ、両プランはユーザーには好評で、9月時点で合計の契約数が1000万件を突破。auモバイル通信の解約率低下やモバイルID数(※3)の増加に貢献しているとした。

※3 auの契約者数と子会社MVNOの契約者を合算した数値

分離プランのビフォーアフター ピタットプランの導入により、平均請求額が約3割低下したことを示し、料金の低廉化をアピール
解約率改善 ピタットプランとフラットプランが好調な結果、au解約率は低下。それを受けてモバイルID数が成長していると分析

 両プランの導入や無料会員制プログラム「au STAR」などによる累計ユーザー還元額は、2018年度末までに約3000億円を超える見込み。KDDIの高橋誠社長は「通信料収入の減収は続くが、非通信領域の成長を推進することで持続的成長を果たしていきたい」と語った。

楽天とネットワークや決済サービスで「協争」

 会見では、決算に合わせて報道発表された楽天との提携についても説明された。

 楽天とは「協調と競争を合わせた『協争』という、協力しながら競い合う新しい概念で提携」(高橋社長)し、auの通信ネットワークをローミングで楽天に提供するとともに、楽天が先行している決済・物流ネットワークをKDDIが借りることになる。高橋社長は「双方のアセットを利用しあって(事業)基盤を整備することが重要」と語った。

楽天との提携概要楽天との提携で目指すこと 楽天との提携を発表。auネットワークをローミングを提供する代わりに、楽天からは決済・物流基盤の提供を受ける

 ローミングの提供エリアは東京23区、大阪市、名古屋市、および混雑エリアを“除く”全国エリアで、KDDIグループのUQコミュニケーションズが持つ「WiMAX 2+」のネットワークも含む。質疑応答で高橋社長は楽天との提携に至った経緯を以下のように説明した。

 「今年(2018年)になって楽天さんからローミング提供の申し入れを受け、条件の話で、われわれが対応できる範囲に収まりそうだということで決めた。われわれとしても、楽天さんの持っている120万店舗以上の『楽天ペイ』加盟店や、物流システムに非常に興味があった。5Gでネットワークコストもかかる。東京23区、名古屋、大阪、混雑するエリアを除いて貸すことにしたので、それほど新たな投資がかかるわけではない。競争原理に基づいて、互いに良い結果が得られると考え、ローミング契約を締結することにした」

 また、2019年4月から新たにQR決済サービス「au PAY」を開始するが、楽天の楽天Pay加盟店に相乗りすることで、利用可能店舗を一気に拡大していく。

 「コード決済は手数料率が下がっているので利益が得られないのではないか」という記者からの指摘に対し、高橋社長は「(au WALLETにコード決済機能を付加することで)ポイントとau WALLETのチャージ額を合算した1000億円を使ってもらい、満足度を上げていく」と語った。なお、au PAYの手数料率などについては、11月末にも公表するとしている。

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