「iPhone XR」が「シングルカメラなのにポートレートモードを持ってて背景をボカせる!(ただし人物のみ)」って話題になったじゃないですか。
じゃあ、デュアルカメラの「iPhone XS」とはどう違うの?
もしかして、XRがあればXSは不要?
気になるよねえ。他の人は知らないけれど、少なくともわたしは気になったのである。
具体的にいえば、iPhone XSのポートレートモードで撮った写真と、iPhone XRのポートレートモードで撮った写真の「深度情報」(つまり奥行きの情報)は同じなのか違うのか、である。
そこで、同じシチュエーションで、両機種で撮った2枚を比べてみることにした。
今回撮り比べに使うアプリは、以前に一度、この連載で紹介した「Focos(フォコス)」。
「Focus(フォーカス)」って間違って書かれている記事を散見するけれども、「Focos」が正しい。紛らわしい名前なのだけれど、そういうアプリ名なのでしょうがない。まあ、「Focus」をもじったんでしょうな。
このアプリを使ってポートレートモードで撮った写真を開いてみる。
プレビューの段階でも、よく見るとどれがXRで撮ったものでどれがXSで撮ったものか分かる。レンズの画角が違うから。
似たような写真が大量にある中から、まずはiPhone XSで撮ったものを開く。
iPhone XSで撮ったポートレートをFocosを使ってF1.4相当まで大きくぼかしてみた。ストローの先っぽが平たくなっているのが、まあいわゆる「ストロー問題」ですな。
Focosを「エフェクト」モードにすると、深度情報を立体的に視覚化してみせてくれる。
正面が「0度」でこれを左右に動かすと違う角度から奥行きごと見せてくれるというわけだ。
面白いので動画でどうぞ。
では分かりやすいところで止めたモノを。
ちゃんと右手が顔より手前にあることが認識されているし、赤いストローが上手く認識されていないこともなんとなく分かる。
次に、同じ位置からiPhone XRで撮ったものを。
iPhone XS(などのデュアルカメラiPhone)は、ポートレート時に望遠カメラの画像を使うが、iPhone XRは広角カメラを使うのでちょっと感じは変わるけれど。
これをさっきと同じ要領で立体的にチェックしてみると……。
同じような角度で見てみると、XSで撮ったものとiPhone XRで撮ったものの違いが分かる。右手がさっきほど明確に手前に来ていないのが一目瞭然なのだ。
iPhone XSは2つのカメラが捉えた画像の視差(といっても、2つのカメラはすごく近い位置にあるのであまり細かい差は分からない→ゆえにストローのような細いものはうまく処理できない)を元に、恐らくは画像の解析も加味して深度情報を得ているが、iPhone XRはカメラが1つしかないため画像の解析のみで前後関係を推測しているので細かい立体感を得づらいのだ。
実際にどんな処理をしているのか、特にディープラーニングが絡んでくるとよくわからないんだけれども、まあ、そういうことなんじゃないかと。
ともあれ、iPhone XSはデュアルカメラ故に被写体の前後の位置をそれなりに正確に捉えられる、ってのが分かるかと思う。
同じポートレートモードでも違いはあったわけですな。
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