こうした戦略に沿う形で、UQコミュニケーションズは、初心者向けをうたう「おてがるスマホ01」をUQ mobileのラインアップに加えた。このモデルは、アイコンがパネル状に並んだホーム画面を採用しており、コールセンターにもワンタップでつながる。通知も画面上部から引き出すのではなく、画面上のアイコンをタップして見られるようにした。
おてがるスマホ01を春モデルとしてラインアップに加えたのは、「家族を考えたとき、シニア向けの端末がないのは明確だった」ためだ。フィーチャーフォンを使うユーザーを取り込んでいくためには、一般的なスマートフォンに搭載されるアイコンや文字が多くなるモードでは足りず、「ガラケー時代のイメージで使えるものが必要」になるという。
UQ mobileの主力となっているメーカーは「AppleとHuawei、シャープで、この3つが定番」だというが、ユーザー数が増え、年代層にも広がりが出ると、やはり3メーカーの端末だけでは全てのニーズに応えきれない。おてがるスマホ01とは逆に、2018年1月にはトレンドやコストに敏感な層に向けた、OPPOの「R17 Neo」を導入したが、これも「評判がよく、出始めの雰囲気で分かるがいい線にきている」という。
徐々にシェアを拡大し、UQ WiMAXでも新たなニーズを掘り起こしつつあるUQコミュニケーションズだが、auのサブブランドとして見られることもあり、総務省の有識者会議などでは、他のMVNOからの風当たりも強い。UQ mobileの通信速度が混雑しがちなお昼時でも速いこともやり玉にあがり、親会社からの「ミルク補給があるのでは」との疑惑もかけられた。
こうした声に対し、野坂氏は「ちゃんとL2接続の料金は払っている。安かろう悪かろうではよくないので、品質は落とさないというのは最初から言い続けていること」と反論する。ただ、今の有識者会議の論調を見る限り、第二種電気通信事業者に指定される恐れもあり、規制は強化される方向にある。
端末の販売方法も、変更を余儀なくされそうだ。総務省の緊急提言で導入が確実視される分離プランについては、「何かあれば動く」姿勢だ。「お客さまにとって何がいいのかは、政府も含めてもっと議論すべきだが、そこで分離プランがいいとなれば分離でやっていく」といい、Y!mobileと同様、回線契約にひもづく端末値引きをやめ、料金そのものを値下げする可能性は高い。端末販売はユーザー獲得のフックになるだけに、ユーザー数の伸びが緩やかになるリスクもありそうだ。
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