セルフ注文端末にも“キャッシュレス”の波が到来しつつある。リテールテックJAPAN2019の展示コーナーを歩くと、キャッシュレス決済に対応したセルフ注文端末が、そこら中で見られる。主な用途は飲食店やフードコートだが、遊園地や駐車場での利用を想定しているところもある。大型ディスプレイはタッチパネルにも対応しており、直感的な操作で注文できるのもありがたい。
セルフ注文端末のメリットは「省人化」が大きいが、キャッシュレスに対応することで、消費者の利便性も向上する。中国のコード決済や多言語に対応することで、訪日外国人の利用促進にもつながる。
Showcase Gig(ショーケース・ギグ)がJR東日本グループと共同開発した「O:der Kiosk」は、2019年夏に駅ナカ店舗での導入を予定している。同社によると、インターネットサービスとの相互接続を可能にする業界初のセルフ注文端末だという。メニューや注文の情報を、同社の既存モバイルオーダーサービスと一元管理できる。英語、中国語、韓国語にも対応しているため、訪日外国人への接客ツールとしても活躍する。
大江電機が販売する「P2C KIOSK」も、飲食店での利用を想定した端末。ブースでは弁当屋を想定したデモを行っており、ライスとドリンクなど細かな組み合わせで注文しやすいことをアピールしていた。支払いは「LINE Pay」「PayPay」「楽天ペイ」「d払い」「Alipay」「WeChatPay」のコード決済に対応する。また、端末に貼られているQRコードを読み取ると、お店のWebサイトにアクセスでき、スマホから事前に注文できる。端末前に行列ができているときに便利だ。
SBペイメントサービスは、ここで初めて公開するというセルフ券売機を参考出展。テーマパークや駐車場での利用を想定しており、2019年6月の設置を予定しているという。決済はクレジットカード、NFC、QRコードで行える。QRコードは、金額をあらかじめ選んだ上で、券売機のディスプレイに表示されたものをユーザーが読み取るタイプ。
ネットスターのセルフ注文端末は、日高屋やキーコーヒーの一部店舗で導入されている。現金、クレジットカード、コード決済での支払いに対応。日高屋では、ラーメンとのセットメニューを注文しやすいことに加え、正確に注文できることがメリットだと担当者は説明。日高屋は外国人の店員が多いため注文内容を間違えるケースが多く、導入店では重宝しているそうだ。
セルフオーダーやモバイルオーダーのサービスを提供しているセイコーソリューションズも、セルフ注文端末を参考出展。同社が販売する決済端末「CREPiCO」を備え付けており、クレジットカードや電子マネーでの決済が可能。2019年夏〜秋にかけて、フードコートやファストフード店での導入を予定している。
飲食店向けPOSを開発するスペースは、同じく飲食店向けのセルフ注文端末を展示。現在使えるのは現金のみだが、2019年5月にはクレジットカード、9月末には非接触の電子マネーに対応する予定。
シャープはフードコートを対象としたセルフ注文端末を、リンガーハットの一部店舗で導入している。決済手段は非接触の電子マネーのみだが、クレジットカードの導入も予定している。面白いのは、注文した後に呼び出しベルをマシンから受け取れること。
フードコートでは、各店舗のカウンターに行って注文する→呼び出しベルを受け取る→席に戻る→呼び出しベルが鳴ったら料理を受け取りに行く、というステップを踏む必要があるが、この端末を活用すれば、消費者は料理を受け取るまでカウンターに2度行く必要がなくなる。店舗側は、会計処理をする必要がなくなって調理に専念でき、省人化にも貢献する。
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