Band 1/3への対応によって、新プランでは通信のエリアや品質はある程度改善するでしょう。しかし、au 4G LTEのエリアは、先述の通りBand 18/26がメインで、地方や山間部を中心に両周波数帯でのみ整備されているエリアもあります。
真の意味でより広いエリアで使いたい場合は、WiMAX 2+ルーターと同様に有料オプション「プラスエリアモード」を使えばBand 18/26のエリアでも利用できます。このオプションは事前の申し込みは不要で、利用した月のみ月額1100円(税込み)が加算されます。
WiMAX 2+ルーター向けプランの「ハイスピードプラスエリアモード」では、同モードでの通信に月間7GB(※1)の容量制限があり、これを超過するとハイスピード(WiMAX 2+単独)モードの通信を含めて、通信速度が月末まで上下最大128kbpsに制限されます。エリアを広げるオプションを使うと、月間容量無制限のモードまで「もらい事故」を受ける状況でした。
(※1)auでは、一定の条件を満たす契約は月間30GBとなります
auで契約した場合、この制限を「データチャージ」の購入、または「エクストラオプション」の契約で解除することができます。しかし、UQコミュニケーションズと同社のMVNOではデータチャージやエクストラオプションが存在しないため、制限に掛かったら月末まで解除を待たざるを得ません。
一方、新プランではプラスエリアモードでの月間容量制限が7GBから15GBに緩和されました。この容量を超過した場合、上下最大128kbpsの通信速度制限が掛かることには変わりありませんが、スタンダードモードは制限の対象外となりました。つまり、プラスエリアモードで制限に抵触してしまったとしても、スタンダードモードに戻せば「もらい事故」を回避できるのです。
しきい値のアップと、スタンダードモードの制限対象からの除外によって使い勝手は向上しています。できれば、この制限そのものを完全撤廃してほしかった所ですが……。
ちなみに、WiMAX 2+ルーター向けプランと同様に、auの新プランではデータチャージ/エクストラオプションを使って速度制限を解除できます。プラスエリアモードを使う頻度が高い人は、auで契約するのも“アリ”でしょう。
WiMAX 2+ルーターは、月間容量無制限が特徴……なのですが、通信モードを問わず直近3日間のデータ通信容量が10GBを超えると、超えた翌日の夜間(18時頃から翌日2時頃まで)に上下最大1Mbps程度の通信速度制限が掛かります。
夜になると満足に速度が出なくなり、ストリーミング動画サービスなどを楽しめない――特に自宅の固定インターネット回線の代用として使う場合、この「3日で10GB制限」が“足かせ”になることがあります。
残念ながら、今回の新プランでも直近3日間のデータ通信量に応じた通信速度制限は存置されてしまいました。ただし、しきい値は直近3日間で15GBに緩和されています。速度を制限するのは「ネットワーク混雑時間帯」と若干曖昧な表現になっていますが、イメージとしては従前と同じ時間帯で制限が掛かるようです。
プラスエリアモードと同じく、制限の完全撤廃とまでは行かなかったのは固定インターネット回線の代用として使う上で懸念が残ります。NTTドコモが8月下旬からサービスを開始する予定の「home 5G」では、速度制限をする“ことがある”としているのと比べると、制限に抵触すると必ず制限が掛かるというのは、どうしても心理的な不安要素となってしまいます。
その理由は理解できるのですが、固定回線代わりに使うことも考慮に入れている一方で、しきい値は徐々に緩和されているとは言え、制限時の速度は2015年6月から据え置きになっているのは、もう一声頑張ってほしいところです。
特に在宅勤務や在宅時間が増えた今だからこそ、もう少し制限を緩和できないものでしょうか……?
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