“裏方”のJENESISがなぜ「aiwa」ブランドのスマホを出すのか 日本市場での勝算は?石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)

» 2022年07月02日 08時00分 公開
[石野純也ITmedia]

40代以上の知名度が高かったaiwaブランド、将来はオーディオでの差別化も

 では、なぜaiwaで行くと決めたのか。藤岡氏は、aiwaを「少年の夢を裏切らないブランド」だと評する。自身も「小学生、中学生のころ、お年玉をためて現金を握りしめ、家電量販店にカセットプレイヤーやオーディオコンポを買いに行ったど真ん中の世代」。筆者も藤岡氏とほぼ同世代だが、そのブランドイメージは共有している。品質は確かだが、頑張れば子どもでも買えるブランド。今風に言えば、コストパフォーマンスが高い製品が多かったといえる。

 実際、JENESISの調査でも、「40代以上の認知が、検討していた他社よりも高かった」という。グローバル展開していたブランドのため、海外でも知名度がある。「中近東や東南アジアはサムスンやOPPO、vivoといったブランドが強く、日本が入り込めていない。そこでもアイワは強かった」。まずは日本での展開に注力するというが、「アイワインターナショナルという台湾にある国際部門会社と連携を取りながら、海外進出も進めていく計画」があるという。

 もともとコストパフォーマンスが高かったブランドイメージを生かし、第1弾として販売するスマートフォンやタブレットの「メインストリームは1万円台、2万円台だと考えている」という。「ここをボリュームゾーンと捉え、まずはECや法人向けに展開し、足場を固めていく」のがJENESISの戦略だ。藤岡氏は「日本では、フィーチャーフォンからの置き換え需要や、2台目、3台目需要もある。中学生や、もっと言えば小学生が初めてのスマホとして選べる価格帯にしようと考えた」と語る。

aiwa スマートフォンは2万円前後。まずは手に取りやすい価格の端末を投入し、足場を固める方針だ

 こうした価格帯のローエンドモデルは、主にネットで数多く販売されているが、「Amazonなどで海外からノーブランド品が入ってきているが、われわれが買って調査すると、コールセンターもなければ問い合わせ先のメールアドレスも書いていない」。対するaiwaの端末は、「国産ではないが日本の会社が日本の中で展開するため、ITリテラシーの低い学生や高齢の方に、電話でしっかりサポートする」といい、サポートやそれに伴う安心感を売りにしていく構えだ。

 また、「われわれはODMなので、何でも作ることができる」のはJENESISの売りの1つ。「特定販路向けということで、量販店や流通がこういう製品をやりたいという要望があればカスタム製造ができる」という。日本のニーズに合わせてカスタマイズをしていくことで、「インターナショナルモデルを若干カスタマイズする中国メーカーとの差別化になる」というわけだ。

 ただ、アイワ製品はもともとAV機器が中心。スマートフォンやタブレットなどとは重なる部分もある一方で、ジャンルは異なる。こうした点については、どう考えているのか。藤岡氏は、「アイワができなかったことにあえてチャレンジする」としながら、次のように語る。

 「例えばスマートフォンにしてもタブレットにしても、リモートミーティングに使われたり、テレビの置き換えとして映画を見たりするのに使われたりしている。今後、動画コンテンツがテレビからスマートデバイスに移っていく中、国内のオーディオ専門メーカーの技術指導をあおぎ、音声のチューニングや機構の設計でコンサルティングをしていただくことを考えている。

 aiwaだとステレオの臨場感がいい、人の声が前に出やすい、本体は薄いが音圧がある――将来的には、そういう取り組みをやろうと思っている。何となくアイワを知っているからロゴを付けたのではなく、アイワらしさを出していきたい」

aiwa
aiwa ラインアップには、タブレットやPCも用意されている。将来的には、aiwaブランドを生かし、オーディオ・ビジュアル的な味付けで差別化を図っていく計画もあるという

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