中国最大のPCイベントらしい「中関村電脳節」にいってきた山谷剛史の「アジアン・アイティー」

» 2006年09月19日 17時00分 公開
[山谷剛史,ITmedia]

そもそも中関村電脳節ってなに?

 と、イベントの説明をするまえに、この連載でも以前紹介した「中関村」をもう一度復習しておこう。よく「中関村は中国の秋葉原」と言われるが、こでは正確な例えではない。俗に秋葉原と認識されているエリアと比較にならないほど面積が広いの中関村には、レノボやファウンダー(方正)、百度(バイドゥ)などのハイテク系企業の本社やR&Dセンターだけでなく、北京大学や清華大学などの中国の頂点に立つ大学や中国科学院といった学術研究施設などが集まっている。

 確かに、電脳ビルが建ち並ぶ中国最大級の電脳街もあるが、それは中関村の一角を占めているのに過ぎない(といっても中関村の電脳街を初めて見て回るなら半日はゆうに費やすはずだ)。このように産学トップレベルの本社や施設が多いあたり、関東圏でいうなら「秋葉原」というよりは「つくば」といったほうがイメージは近い。

中関村でひときわ目立つeの文字
中関村のメインストリートは地下鉄建設中。開通すれば観光客でも気楽にいけるようになる

中関村の電脳ビルのひとつ「中関村e世界」
こちらも中関村の電脳ビルのひとつ「中関村科貿電子城」

 そんな中関村で行われる中関村電脳節は、中国最大のIT系イベントとして知られている。このイベントの内容は大きく3つのカテゴリーに分けられる。第1は主催者側が中関村電脳節のメインイベントと考えている「産学官提携でのカンファレンス」で第2が展示会会場内で最新製品を一般向けにIT関連企業や組織が展示する「展示ブース」になる。そして、第3のカテゴリーとなるのが電脳街の各ショップで行われる「指定商品に限りちょっと安く買える」というイベントだ。趣向の異なる3つのイベントが、それぞれ中関村の別々の場所で開かれる。そのため、各イベントをくまなく巡ろうとすると移動だけでも骨の折れる作業となる。

 産学官提携でのカンファレンスでは、政府関係者による「技術大国を目指して」「政府の新政策を読み、企業の活力とする」「知的財産権を保護し、自主開発能力を促進する」などのマクロ的なスピーチが多い。そういうお偉方の「ビジネス誌」的な退屈なスピーチを紹介しても、遊び心一杯のPC USER読者には何も面白くないだろう。ちなみに産学官提携でのカンファレンスを経て、中関村のある北京市海淀区政府が約50のハイテク系プロジェクトにゴーサインを出し、投資企業や創業発展基金から392億元の融資が決定したと中国メディアは報じている。また、電脳街のイベントは、見た目も中身も「秋葉原電器まつり」と同様で、日本にいるユーザーにはとくに目新しいものではない。そこで最も興味深い一般向けの展示会を中心に中関村電脳節の内容を紹介しよう。

「小粒でもピリリと辛い」展示ブース

 新製品の展示会場は中関村の海淀公園内にある海淀展示館にある。そこがどれほどマイナーは会場であるかは、乗ったタクシーの運転手が道中地元の人に行き方を尋ねまくったことでも十分にうかがえる。

 タクシーの運転手も分からない建物にある展示会場は閑散としていて、同じ中国で行われたイベント「ChinaJoy」とこうも異なるのかと驚くほどだ。しかし、会場のブースを見渡すと、閑散としているわけが少し分かってくる。中国を代表するようなIT企業、例えばレノボとか百度とかが出展していないのだ。人出が少なくじっくりと見、じっくりと説明を聞けた展示ブースで「おおぉっ!」と思ったいくつかを紹介していこう。

ようやくたどり着いた展示会場の海淀展示館。中国最大のPCショーのはずなのにレノボ、百度といったメジャーが出展していない

愛国者ブースでは、デジカメや腕時計型のポータブルプレーヤー(写真左)やUSBメモリー、USB接続のWebカメラユニット(写真右)などを展示

その中でもとくに注目したいのが愛国者が誇る1000画素デジカメ「V1000」だ。参考までに、このカメラで撮影した会場写真も並べておこう(ただし、3648×2739ドットを640×480ドットに縮小している)

レノボ、ファウンダーに続く中国第3のPCメーカー「清華同方」のブース。同社はIntel、AMD、VIAのプラットフォームのPCをリリースしているが、ブースではAMDのCPUを搭載したPCのみを展示していた。AopenのPandraを使用したデスクトップPC「i mini」(写真右)も姿を見せている

聯合信源は中国が独自に開発した映像の高能率符号化方式である「AVS」を紹介。ブース内ではデコードチップ「GRAND VIEW」を載せたサンプル機とPCIバスを利用したサンプルボードを利用したデモンストレーション用のPCを展示し、実際にそれらを使ってサンプルの動画を再生していた

中国でiPodを越える人気を誇るNewman(紐曼)のブース。やはり展示の中心はmp3やmp4などポータブルプレーヤーだ
中国ではまだ広く利用されていないQRコードの普及を目的とした企業「銀河伝媒」のブースは全体がQRコードだらけ
EVDに関わる主要企業のひとつ「時代今典」が展示していたのは学校やホテル、病院など企業団体向けのデジタルシアターシステムだ。その主要システムは中国独自の技術で固めてある。1万元(約15万円)で100の映画コンテンツがインターネットを利用して見放題になる

中関村の各企業の活動を紹介ブースも設けられていた。その中の1つである「北京数碼視訊科技」コーナーでは独自技術を車載マルチメディアターミナルを展示
電脳ビルを各地に展開する、チェーン店ならぬチェーン電脳ビルのBuyNowのブースでは、富士通、Apple、レノボ、ThinkPadなどの専門店を出展。ただし会場内が閑散としているので、こちらも訪れる人は少ない

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