第5回 複合機8モデルの画質を横並びで検証する複合機06年モデル徹底攻略ガイド(1/3 ページ)

» 2006年12月01日 17時00分 公開
[林利明(リアクション),ITmedia]

 何年もの時間をかけて、各メーカーがプリントエンジンやインクカートリッジ、純正写真用紙などを進化させてきたため、昨今ではエントリークラスの複合機でも十分な品質で写真印刷が行える。しかし、使用するインクの種類や色数、プリントエンジンの仕様、ドライバのチューニング、純正用紙が異なる以上、メーカー間で画質の傾向は異なる。また、同じインクシステムを採用しても、ラインアップの上位と下位では画作りを変えている場合も少なくない。もちろん、画質の違いはカラーコピーやスキャンにも存在する。スペック表では分からない製品間の画質差を知ることは、複合機を選ぶうえで有益だろう。

 そこで最終回は、この冬注目の複合機を8モデル集め、同一環境で写真プリント、普通紙カラーコピー、反射原稿/フィルムスキャンの画質を比較した。使用したモデルは以下の通りで、予算5万円/ハイエンドクラス、予算4万円/ミドルハイクラス、予算3万円/ミドルレンジクラスの3つに大別できる。各製品の概要は第2回、搭載する機能の比較は第3回、プリント/コピー/スキャン速度の比較は第4回を参照してほしい。

本特集で検証する複合機
モデル名 メーカー インク構成 スキャナ 量販店での実売価格
予算5万円/ハイエンドクラス
Colorio PM-A970 エプソン 染料6色 4800dpi CCD 5万円前後
PIXUS MP960 キヤノン 染料6色+顔料Bk 4800dpi CCD 4万5000円前後
予算4万円/ミドルハイクラス
Colorio PM-A920 エプソン 染料6色 3200dpi CCD 3万8000円前後
PIXUS MP810 キヤノン 染料4色+顔料Bk 4800dpi CCD 3万7000円前後
HP Photosmart C7180 All-in-One 日本HP 染料6色 4800dpi CCD 3万5000円前後
予算3万円/ミドルレンジクラス
Colorio PM-A820 エプソン 染料6色 1200dpi CCD 2万8000円前後
PIXUS MP600 キヤノン 染料4色+顔料Bk 2400dpi CCD 2万8000円前後
HP Photosmart C5180 All-in-One 日本HP 染料6色 2400dpi CCD 2万5000円前後

 各テストについては、PC環境のプリンタドライバとスキャナドライバ、PCを接続しないダイレクト印刷とスタンドアロンコピーのいずれも色に関する設定をすべてデフォルトに設定した。そのほかの環境については、各項目で説明する。

 以下に各モデルで印刷したサンプルを掲載しているが、これらは印刷したサンプルをスキャナで取り込みPNGファイルに変換したものだ。カラースペースがsRGBの環境で見た目の傾向が最も近くなるが、表示される画像は実際の印刷サンプルよりも色域が狭くなっている(実際の印刷サンプルはより鮮やかな発色になる)ため、色再現は正確ではない点に注意してほしい。また、表示するPC環境の違いによって画像の見た目が大きく変化することからも、掲載した印刷サンプル画像はあくまで各モデルの傾向の違いを見るための参考であり、評価はキャプションを確認してほしい。実際の印刷品質は、店頭でチェックすることをおすすめする。

L判写真印刷(メーカー純正写真用紙/最高品質設定)

 まずは家庭での写真印刷で最も多く利用されている、光沢紙のL判印刷を比較した。印刷サンプルに用いた用紙は、すべてメーカー純正の最高品質メディアだ。エプソンのPM-A970とPM-A920は「写真用紙クリスピア」、キヤノンのMP960とMP810、MP600は「プロフェッショナルフォトペーパー」、日本HPのC7180とC5180は「アドバンスフォト用紙」を使用している。

 C7180とC5180のプリントエンジンはアドバンスフォト用紙に最適化されているが、日本HPの純正写真用紙には色域が広く対光性100年以上をうたう「プレミアムプラスフォト用紙」も用意されている。プレミアムプラスフォト用紙は速乾性でアドバンスフォト用紙に劣り、使用時は印刷速度が低下するものの、印刷時の発色などが異なるため、参考までに掲載した。テスト画像はPC環境のAdobe Photoshop CS2で開き、各プリンタドライバの最高品質設定で出力している。

 以下は印刷サンプル(印刷サイズは幅56×高さ85ミリ)を1200dpiでスキャンした画像の縮小表示だ。各画像をクリックすると、1200dpiでスキャンした画像データの一部が実寸表示される。各画像サイズは1280×1024ドットと大きいので注意してほしい。実際は虫眼鏡を使っても、これほど大きく見えることはないが、細部の描写の違いが分かるため掲載した。誤解のないように断っておくが、印刷サンプルを実寸でみた場合、もちろんドットがこのように目立つことはまったくない。

PM-A970:コントラストと彩度が若干低めだが、シャドー寄りの階調をうまく表現している。フルーツや食器の描写にリアリティがあり、派手さはないが、素直で生真面目な発色と言える
MP960:ディスプレイで見る元画像の色にかなり近く色鮮やかだ。シャドー側のトーンを少し持ち上げているようだが、階調は保たれている。シャープネスが強めでやや硬質な雰囲気だ

PM-A920:PM-A970よりわずかにハイコントラストになったぶん、階調にもメリハリが出た。色鉛筆が鮮やかで好ましい。フルーツと食器の発色はPM-A970に近いが、もう少し鮮やかでもよかった
MP810:並べて見比べてもMP960の6色印刷とMP810の4色印刷の違いは判別が困難。カラーグラデーションの明部やワインボトルの下部で、わずかにドットのばらつきが感じられる程度だ
C7180(アドバンスフォト用紙):コントラストと彩度、濃度が高く、若干の重たさを感じながらもメリハリがある。目を近づけると、ワインボトルやフルーツなどでドットが散見される

PM-A820:印刷サンプルはPM-A920とほとんど同じに見える。全体的な傾向としては、PM-A970やPM-A920より微妙に高彩度になる場合が多いようだ。これは高彩度な色が多い画像で感じやすい
MP600:MP960やMP810よりもコントラストと彩度が少し高い。シャドーはしっかり沈んでおり、階調も破綻していない。見栄えを重視したミドルレンジのモデルらしい絵作りと言えるだろう
C5180(アドバンスフォト用紙):画質はC7180とほぼ同等と考えてよい。今回はC5180の粒状性がわずかに少なく感じたが、印刷ごとのちょっとしたブレと思われる

C7180(プレミアムプラスフォト用紙):アドバンストフォト用紙と比較すると、色域が広く出ているのが分かる。黒に締まりがあり、全体的な彩度が高い
5180(プレミアムプラスフォト用紙):C7180と同様、アドバンストフォト用紙より色鮮やかな出力となった。推奨用紙ではないが、こちらの発色を好むユーザーもいるだろう

A4カラーコピー(普通紙/デフォルト設定)

 各モデルの普通紙カラーコピーにおける画質を比較した。カラーコピーの原稿は、PM-A970の最高品質設定で写真用紙クリスピアに出力したもの。各モデルの画質設定は、最も利用頻度が高いと思われるデフォルトの状態だ。以下はカラーコピーの印刷サンプル(印刷サイズは幅56×高さ85ミリ)を600dpiでスキャンした画像の縮小表示となる。各画像をクリックすると、600dpiでスキャンした画像の一部が1280×1024ドットで実寸表示される仕組みだ。L判写真のサンプルと同様、印刷サンプルを実寸でみた場合、ドットがこのように目立つことはない。

PM-A970:顔料Bkインクを採用していないため、黒が浮き気味だ。全体的にシャープネスが落ち、かなりぼんやりしてしまったが、階調と発色は優秀。粒状性も比較的小さくなっており、自然な雰囲気に仕上がっている
MP960:原稿の再現性という点では満点に近い。顔料Bkのおかげで黒が締まり、細かな文字まで再現できている。色鉛筆の彩度とシャープネスが落ち、1本1本の境界が見にくい点と、粒状性が大きい点が残念だ

PM-A920:PM-A970の結果に極めて近い。細かいところだが、ワインボトルの文字、色鉛筆ケースの文字、トランプの絵柄などは、PM-A970のほうがはっきり出ている
MP810:4色印刷ゆえの粒状性が目立つ部分もあるが、MP960とほとんど同じ品質。コントラストはMP810がわずかに高い。顔料Bkのおかげで、文字や罫線はシャープ
C7180:全6色染料なので、黒が浮き気味で文字の黒濃度も低いが、にじみが少ない点は高く評価できる。階調はうまく表現され、ドットも目立たない滑らかな品質だ

PM-A820:黒浮きや解像力はPM-970やPM-A920と同レベル。発色は赤みが強くなり、原稿との色の違いが大きい。CISセンサに合わせたチューニングが1つの理由だろう
MP600:全体的なクオリティはMP810とほぼ同等だ。コントラストが高いため、ワインボトルの下部で黒のつぶれが大きい以外は、品質が目立って劣るところはない。文字や罫線の品質が高い
C5180:プリントエンジンはC7180と同じだが、色あせたような赤っぽい発色になってしまった。イメージセンサの違い(C7180はCCD、C5180はCIS)などが原因として考えられる

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