第5回 複合機8モデルの画質を横並びで検証する複合機06年モデル徹底攻略ガイド(3/3 ページ)

» 2006年12月01日 17時00分 公開
[林利明(リアクション),ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

検証を終えて――複合機2006年モデルはどれを買えばいい?

 各メーカーが複合機を重視する流れは今年も変わらない。印刷品質や速度は昨年の段階で高止まりに近づきつつあり、たとえば6色印刷と4色印刷の画質差は、モデルの選択を決定付けるほどではなくなった。昨年は上位と下位のモデルによって、写真印刷で色調のブレが大きかったエプソンとキヤノンも、今年は改善が見られる。日本HPは相変わらず安定した画作りだ。選択にあたっては、画質の傾向を踏まえつつ、予算と機能の十分な検討が求められる。第2回の製品ミニレビューで分類した、ハイエンド、ミドルハイ、ミドルレンジというカテゴリ別に、各モデルを総括してまとめとしよう。

ハイエンドクラスのモデルは機能の差が分かれ目

 予算が5万円以内のハイエンドクラスに属するのは、PM-A970とMP960だ。両者の性能は甲乙付け難く、画質の差も好みの問題と言えるレベルなので、やはり機能面が選択のよりどころとなる。PM-A970の優位点は、CD-RW/DVD-ROMコンボドライブ、デジカメRAWデータのダイレクト印刷、標準設定のダイレクト印刷速度、広色域で抜群の画質を誇る4.0インチ液晶モニタなどだ。一方のMP960は、顔料Bkインクの搭載、自動両面印刷、コピー品質、フィルムスキャンの最大連続読み取り枚数といったところ。

 したがって、PCを接続しないスタンドアロンでの多機能さを重視するならPM-A970、普通紙印刷やコピーの品質、自動両面印刷が欲しいならMP960という図式が浮かぶ。これらの違いを考慮して、利用シーンに合致したほうを選べば間違いないだろう。

PM-A970:CD-RW/DVD-ROMコンボドライブの搭載が異彩を放つ。スタンドアロンでの機能を重視するなら有力な選択肢となるだろう

MP960:自動両面印刷に対応した十分な給紙機構、顔料Bkインクによる文字印刷の品質、フィルムスキャンの連続読み取り枚数が強みだ

ミドルハイクラスのモデルは実力が拮抗、FAXや無線LANで選ぶ?

 ミドルハイクラスの予算は3〜4万円で、PM-A920、MP810、C7180が登場する。フィルムスキャン機能が必要なら、このクラス以上のモデルから選択することになるだろう。この中ではPM-A920とMP810が似通っており、いろいろな面で差が小さい。1つのポイントはインク構成で、PM-A920は染料6色、MP810は染料4色+顔料Bkだ。微妙な違いではあるが、写真印刷の品質と標準設定のダイレクト印刷速度はPM-A920が有利で、普通紙印刷/コピーの品質とPCの印刷速度はMP810が勝る。また、自動両面印刷はPM-A920がオプション対応、MP810は標準装備だ。これらの違いが選択の分かれ目になるだろう。

 一方、C7180は日本HPらしい実用主義の多機能な複合機で、FAXと有線/無線LANインタフェースの標準装備、iPodダイレクト印刷などが特徴だ。CD/DVDレーベル印刷に非対応だったり、スキャナの性能と使い勝手といったハンディがあるので、やはりFAXとネットワーク機能が最大の選択動機ではないだろうか。

PM-A920:上位モデルと同じ染料6色インクによる高画質な写真印刷を実現。給紙機構はエプソン機で最も充実している

MP810:染料4色+顔料Bkの5色インクを採用。普通紙印刷やコピーの品質がよい。ホイールによる直感的な操作性もよい

C7180:染料6色インクと独自のSPTプリントエンジンを採用。FAX、有線/無線LAN、iPodダイレクト印刷などが魅力となる

激戦区のミドルレンジクラスは、MP600がトータルバランスでリード

 3万円以下のミドルレンジは今年も激戦区だ。今回は、PM-A820、MP600、C5180という3モデルを取り上げた。どれもフィルムスキャンには非対応だが、このクラスを狙うユーザー層でフィルムスキャンが必要な人は少数派だろう。

 M-A820は上位モデルと変わらぬ染料6色インクとAdvanced-MSDTのプリントエンジンによる、高画質な写真印刷が最大のアピールポイントだ。機能面では上位モデルほどの華やかさはなく、スタンダードな内容と言える。C5180は、写真印刷の品質や機能面ではPM-A820とMP600に及ばないものの、染料6色のSPTプリントエンジンや小型の本体、有線LANインタフェースの搭載が目を引く。乱暴に言えば、CD/DVDレーベル印刷を諦めて、ネットワーク対応を重視する選択肢だ。最後にMP600だが、このクラスでは最も幅広いユーザーにおすすめできる。カラー印刷が染料4色とはいえ、画質は十分に高く、顔料Bkインクの搭載も利点だ。加えて、2系統給紙と自動両面印刷の標準装備が大きい。画質よし、ハンドリングよしと、トータルバランスで一歩リードする存在だ。

PM-A820:上位モデルと変わらぬ染料6色インクとAdvanced-MSDTのプリントエンジンを持つ。写真画質に優れた中堅機だ

MP600:コンパクトボディに、2系統給紙と自動両面印刷を標準装備。染料4色+顔料Bkインクでさまざまな印刷に対応する

C5180:有線LANを搭載した小型の複合機。染料6色のSPTプリントエンジンはC7180と同様。コストパフォーマンスは高い

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

最新トピックスPR

過去記事カレンダー