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» 2007年03月15日 08時00分 UPDATE

山谷剛史の「アジアン・アイティー」:中国で見つけたWindows Vista“Professional 2007”ってなに? (2/2)

[山谷剛史,ITmedia]
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9つの海賊版Editionの素敵なオチ

 次に「Windows Vista Professional 2007」を起動してみると……、先ほど紹介した「Windows Vista Ultimate 2007」と同じメニュー画面が表示された。ファイルサイズを調べてみると完全に一致する。「Windows Vista Professional 2007」も「Windows Vista Ultimate 2007」もパッケージやラベルのデザインが異なるだけで中身はまったく同じだったか。調べてみると「世紀之星数碼科技有限公司」のリリースするすべてのEditionを確認すると見事に「収録されているデータファイルの容量」は一緒であった。

 中国人の知人に聞いてみるとみな同じように「そんなことも知らないのか。メーカーが同じでソフトのプロダクトキーが同じ(その時点で“終わっている”と思います)なら、たいてい中身も同じというオチが多いんだよ」と突っ込まれてしまった。「それ常識だよ」とは、ある知人の言葉である。

 ほかの街にある電脳街を訪れると、まったく異なるデザインの「Windows Vista 海賊版」のパッケージばかりとなる。ずいぶん前の話になるが、香港で海賊版CDの工場を摘発するニュースがあった。そのニュースによると、工場ではCDメディア、パッケージ、ラベル、とすべてを自前で生産していたと記憶している。一貫生産をして街ごとに異なるパッケージが並ぶ海賊版CD産業は、その土地に根付いている「地場産業」となっているようだ。

 パッケージに堂々と過去のOSを網羅している「Windows大家族2007」も、起動画面で過去のOSがリストされている「世紀之星数碼科技有限公司」パッケージもWindows Vista以外はインストールできない。いずれもインストール用のイメージファイルすらなかったのである。違法な海賊版ソフトに誠意を求めるというのが筋違いかもしれないが、こうなってくると「盗っ人の風上にもおけねぇ」と義憤に駆られてしまう。

 「世紀之星数碼科技有限公司」の海賊版も「Windows大家族2007」も、インストールメディアを起動してみたらMSDN版であった。筆者のポリシーとして、海賊版をインストールはできないので、調査はここまでが限界となるのでご了承のほど。もちろん、海賊版を日本に持ち帰ることもしない。今回使ったWindows Vistaは、この調査終了後に廃棄処分としている。

 余談になるが、Linuxの海賊版もあるにはあるが、Red HatならRed Hatの、中国産の紅旗なら紅旗の各ディストリビューションについて1種類しか存在しないようだ。MAC OSの海賊版に至っては、筆者が活動している地方の都市で見たことがない。余談を重ねてしまうが、今回の調査で海賊版の販売現場を改めて確認してみると、キングソフト(中国名:金山軟件)が出荷している“無料パッケージ”の海賊版が販売されていた。なぜ? 

 この連載でもキングソフトを取材しているが、そのときに同社CEOの雷軍氏が「無料の製品をわざわざCDに焼いて販売する業者もいないだろう」と語っていたが、無料のものですら海賊版になって「販売」されている。中国もでもネットワークインフラがブロードバンドに移行しているので簡単に無料の正規版ソフトがダウンロードできるはずなのに「な、なぜ??」 そこは、昔からある「お店で買える海賊版」に馴染んでいるPCユーザーが少なくないとという事情が見え隠れしている。

正規版Windows Vista簡体字中国版の販売本数は244本?

 ところで中国で最大の正規版取り扱い店舗チェーン「連邦」がある。正規版ソフトの販売イベントが頻繁に「連邦」で行われて中国メディアでもその状況が紹介される。Windows Vistaの正式出荷開始日にも北京の電脳街「中関村」にある「連邦」におけるWindows Vistaの販売事情がリポートされた。連邦は2月7日付けのプレスリリースで「Windows Vistaの販売は当社が(中国出荷量の)9割を販売した」とアピールしている。

 そんな連邦のオンラインショッピングサイト「8844連邦軟件商城」におけるWindows Vistaの販売本数をIT関連ニュースサイトの「中関村在線」が発表した。それによると1月19日から2月2日までの半月の間に「244本のWindows Vistaが販売された」という(原文では何も書いていないが、1月19日にWindows Vistaが中国で先行発売された形跡はないので、これは予約開始日を指していると思われる)。この「244本」という数字を中関村在線の記者は「多い」と評価しているように読める。

 Editon別の内訳では、Ultimateが最も多く50%強で、以下、Home Premiumが20%強、Businessが20%弱、Home Basicが10%弱と続く。中国でもUltimateが一番人気であるようだ。ちなみに、リサーチ会社の易観国際が調べた最新のPC出荷量調査では2006年第4四半期のメーカー製PC出荷台数を、デスクトップPCで394万1000台、ノートPCで138万4000台と発表している。

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