6月初旬のアキバは、新CPUの登場に沸いた。まずはインテルから、Core i7シリーズの最上位モデル「Core i7-975 Extreme Edition」と、Core i7-940の後継となる「Core i7-950」が6月3日にデビューした。旧ラインアップの「Core i7-965 Extreme Edition」および「Core i7-940」と入れ替わる位置付けで、Core i7-975 Extreme Editionは3.33GHz、Core i7-950は3.06GHzで動作する。価格はそれぞれ10万円前後と6万円前後だ。なお、下位のCore i7-920はD0ステッピングに切り替わり、継続販売されている。
このうちCore i7-975 Extreme Editionは、高価なCPUながら発売当初から好調に売れており、ショップによっては価格表に売り切れの札がかかることもあった。ただし、旧ラインアップのCore i7-965 Extreme Editionを在庫しているショップが多く、「旧モデルは安定動作を求める人に売れればうれしいなと思っています。とにかく、赤字になっても店舗レベルで値下げしないと大変な損失になるので、厳しいのは確かですね」(某ショップ)と、ヒットモデルの登場にも複雑な思いを込めたコメントが多く聞かれた。
一方のAMDは、6月5日にSocket AM3対応のマルチコアCPUを4モデル投入。特に注目を集めたのは、Phenom IIとしては初の低消費電力CPU(TDP 65ワット版)「Phenom II X4 905e」と「Phenom II X3 705e」だ。Phenom II X4 905eは2.5GHzで動作するクアッドコアタイプで、価格は2万円強。Phenom II X3 705eもトリプルコアながら2.5GHzで動作し、1万3000円前後で販売されている。
これらのモデルは発売当初からヒットを予想する店舗が多かった。ソフマップ秋葉原本館は「まずまずの性能と低価格を実現しているのがPhenom IIのよいところです。そのうえ消費電力の低さも加わったら、バランスを重視するユーザーにヒットは間違いないでしょう。特に905eはPhenom II X4初の省電力版ということもあって好調に売れそうです」と話していた。
CPUとともに新旧の入れ替えを感じさせたのは、Windows 7へのアップグレード権がついたWindows Vistaの登場だ。6月26日から販売開始となり、複数のバージョンが通常版と比べて3000円から6000円前後高い値段で併売されている。対象となるVistaはパッケージ版とDSP版の2種類があり、UltimateとBusiness、Home Premiumには、対応するWindows 7各エディションのアップグレード権が付く。加えて、Windows Vista Home Basicも含めて、上位エディションの7へアップグレードできる「ステップアップグレード権」も出回っている。
T-ZONE.PC DIY SHOPやツクモ各店、クレバリー各店などは、アップグレード権付きWindows Vistaにショップ独自の特典を用意して、新OSへの関心を高めていたが、現時点では大きなヒットの波は起きていない様子だ。フェイス本店は「Windows 7は起動が速く、細かい便利な機能もちりばめられています。製品版直前のRC版でも悪いウワサは聞かないので、Vistaを超えるヒットとなるのは確実でしょうね。ただ、現時点ではまだ7が手に入るわけではないので、静観している人が多いようです」と語る。
なお、アップグレード権付きVistaが登場した6月後半でも、売れ筋のOSにWindows XPを挙げる店舗がいくつかあった。クレバリー1号店は「すでに販売終了しているショップも多いですね。ウチは比較的在庫が多かったのでまだそろっていますよ。今のところはダントツの売れ行き。とはいえ、XPから7への以降は少し手間が増えるようなので、あまりオススメはできません。Windows 7の発売日が近づくにつれて、XP購入を悩む人も増えてくると思います」と話していた。
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