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» 2011年05月18日 10時00分 UPDATE

見た目で評価してはいけない:ThinkPad X1は“パワフルなイケメン”なのか (1/3)

見た目重視で光沢パネルとアイソレーション6列配列キーボードを採用した一方で、高クロック動作のCPUを搭載したという“X1”の「本当の姿」を確かめてみた。

[長浜和也(撮影:矢野渉),ITmedia]

見た目を大事にする新しいThinkPadユーザーのために

 ThinkPad X1の「ThinkPad史上最薄」というコンセプトは、ThinkPad X300シリーズの後継であることを示している。その上でThinkPad X300シリーズでは実現できなかった「高い性能」を持たせることを目指したという。さらに、サブブランド“Edge”の登場で多様化しつつあるThinkPadラインアップにおいて、従来のIBMから脈々と続くThinkPadの系譜を受け継ぐ“ThinkPad Classic”の一員にThinkPad X1を加えるという。その意図はどこまで成功しているだろうか。

 ThinkPad X1で、レノボジャパンが最も強く訴求するのが“外観”だ。彼らの言葉を借りると「ThinkPad史上最薄」を実現したのが、ThinkPad X1で最も重要なポイントになるという。最薄部が16.5ミリになるというそのボディをThinkPad T420sと並べてみると、ThinkPad X1の液晶ディスプレイを閉じた状態の厚さがThinkPad T420sの本体側の厚さとほぼ一致する。

 このように、薄いThinkPad X1だが、そのボディラインで、側面を垂直ではなく上に向かって広がるような斜めにすることで、視覚的にも薄さを強調する効果を施している。ヒンジの部分も従来のシルバーでなく黒に塗装し、左側面に搭載したインタフェースにはカバーを設けて目立たなくするなど、「見た目」に対する配慮が行き届いている。

 なお、同じ薄型ボディを訴求したThinkPad X300シリーズでは、アンテナ部を収納した天板の前縁部とそのほかの部分でパネル素材の違いによる境目ができないように、ハイブリッドカーボン繊維強化プラスチック(ハイブリッドCFRP)を採用したが、ThinkPad X1では、カーボン繊維の代わりにマグネシウム合金を使った上で、アンテナ収納部との境目ができない“ハイブリッドマグネシウム合金パネル”なるものを導入した。CFRPではなく、マグネシウム合金を採用した理由として、レノボ・ジャパンは「堅牢性を確保するため天板にドームのような丸みを持たせているが、この丸みの成形がCFRPでは不可能だったため」と説明している。

kn_x1review_01.jpgkn_x1review_02.jpg 最薄部で16.5ミリのボディを採用したThinkPad X1は、“斜め側面”を導入して視覚的にも薄さを強調する(写真=左)。ThinkPad Classicと同様にマットなブラックカラーだが、よくみると、“ラメ”の輝きが確認できる(写真=右)

液晶パネルは光沢に、キーボードは6列に

kn_x1review_03.jpg 13.3型ワイドの液晶ディスプレイはベゼルも含めた全面をゴリラガラスで覆い、光沢タイプとなった

 この、“薄いThinkPad Classic”と見せる演出が、ThinkPad X1のキーポイントになるが、液晶ディスプレイを開くと、その雰囲気が変わってくる。搭載する液晶ディスプレイは13.3型ワイドで、これは、往年の“超薄型ThinkPad”として2008年に登場したThinkPad X300シリーズと同じだ。なお、ThinkPad X1の解像度は1366×768ドットで、これは、ThinkPad X300シリーズで最高だった1440×900ドットより抑えられている。

 しかし、ThinkPad X1で重要なのは解像度でなく、おそらく、ThinkPad Classicで最初と思われる”光沢パネル”の採用だろう。ThinkPad X1では、液晶ディスプレイとその周辺のベゼルを含む全面をコーニング社のゴリラガラスで覆っている。レノボ・ジャパンは、傷が付きにくくクリアな表示が維持できるというデザイン的な理由で採用したと説明しているが、資料では、ボディ側で導入したマグネシウム製のThinkPad Rollcageとゴリラガラスで液晶パネルをはさむことで、液晶ディスプレイと天板における堅牢性を確保したとある。

 ThinkPad X1はラッチレス構造なので、液晶ディスプレイを開くときは、手をかけたところからボディ構造に強い力がかかるが、実際に試してみると、天板がややしなるものの、その程度はほかのThinkPadシリーズと同程度で、ほかのPCメーカー製の薄型ノートPCより明らかに少ない。

 ただ、ゴリラガラスの採用は、ThinkPad X1の重さに大きな影響を与えている。ThinkPad X1本体の重さは約1.69キロで、これは、ThinkPad X300シリーズの約1.4キロから300グラム近く重く、ThinkPad T420sに近い。この重量増の主な原因の1つがゴリラガラスの採用にあるとレノボ・ジャパンの開発者は認めている(ほかにも、新開発のクーラーユニットが影響しているという)。

 また、光沢パネルについても、液晶ディスプレイだけでなく、その回りのベゼルを含む全面におよんでいるため、「背景や外光の映り込みが気になってしょうがない」というユーザーは、ノングレア効果のある保護シートを自分で貼るか、液晶ディスプレイの輝度をバッテリー事情の許す限り上げて、かつ、白などの明るい色を主体としたデザインにすることが必要になる。

kn_x1review_04.jpg 評価機はASCII配列の試作機なので参考程度に。ただ、アイソレーションタイプと6列配列はJIS配列でも変わらない。キーピッチの公称値は19.5ミリ、キーストロークは2ミリとなっている

 液晶ディスプレイとともに、従来のThinkPad Classicと趣を変えているのがキーボードだ。アイソレーション(レノボ・ジャパンは、アイランドタイプと呼ぶ)タイプのキーボードを採用しただけでなく、レイアウトもThinkPad Edgeなどで使われる「6段配列」となる。アイソレーションタイプのキーボードは、ピッチが実測で横方向が約20ミリ(キートップサイズ約16ミリ、キー間隔が約4ミリ)、縦方向が約19ミリ(キートップサイズ約15ミリ、キー間隔が約4ミリ)で、ストロークも2ミリほど確保されているので、打ちやすい。

 ただ、多くのベテランThinkPadユーザーにとって、「7段配列キーボード」はThinkPadの重要な仕様と評価されている。その支持されている配列を6段配列に変更することに、これまでのThinkPadユーザーは疑問を呈するかもしれない。その一方で、レノボ・ジャパンの関係者によると、ワールドワイドで調査した場合、7段配列への思い入れはそれほど強くないという。

 これまでThinkPadを使っていないユーザーを取り入れるという、ThinkPad X1の役割を考えると、7段配列キーボードに固執する必然性というのは、これまでのThinkPad Classicと比べてそれほど重要ではなく、ユーザーにとっても、影響力は低くなっているのかもしれない。

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