ThinkPad X1は“パワフルなイケメン”なのか見た目で評価してはいけない(2/3 ページ)

» 2011年05月18日 10時00分 公開
[長浜和也(撮影:矢野渉),ITmedia]

側面搭載インタフェースを使うにはコツがいる

 本体に用意されたインタフェースは、USB 3.0、HDMI、Mini DisplayPortと充実している。ただ、その多くは背面に用意され、通常の利用でアクセスしやすい側面には、左側面にUSB 2.0とヘッドセット端子、右側面に4-in-1メディアカードリーダーと限られている。左側面のインタフェースはゴム製のカバーがかけられていて普段は目立たない。

 USB接続機器を使うときは、このカバーを外して接続することになるが、下を向いた斜面にあるカバーを外そうとすると、PCを置いてある机面と指が干渉して意外と外しにくいのと、上からPCを見下ろすとインタフェースが直接見えないため、かなり下まで視線を下げないと差しにくい。さらに、側面で使えるUSBが左側面だけの1基というのも少ないように思えた。

正面から見ると上に向かって開くように斜めになった左右側面の状況がよく分かる(写真=左)。本体搭載の主なインタフェースは背面に集中する。有線LAN、USB 3.0、HDMI、Mini DisplayPort、eSATA(USB 2.0兼用)を備える。また、国内向けモデルではまだ用意されないが、ワイヤレスWANモデルで使うSIMカードスロットも背面に用意される予定だ(写真=右)

左側面のインタフェースはカバーに覆われたヘッドセット端子とUSB 2.0のみ(写真=左)。右側面は無線接続のオン/オフスイッチと4-in-1メディアカードリーダーのみと種類が限られている。なお、データストレージベイには右側面からアクセス可能だ(写真=右)

バッテリーは取り外しできないが急速充電で対応

 バッテリーは本体に“完全内蔵”されていて取り出すことができない。予備のバッテリーをもって、屋外運用で交換して使いたいユーザーや、バッテリーが経年変化で消耗したいのに交換できないという場合に不安を感じるかもしれない。

 レノボ・ジャパンは、30分で容量の80%まで充電できる急速充電性能をThinkPad X1では実現しており、休憩時間の充電でほとんどのビジネス利用で十分対応できると説明する。また、経年変化による消耗については、サポートセンターに送ることで交換に応じるとしている(具体的なサポートメニューについては後日明らかにするという)。

 なお、評価用機材による参考測定値ながら、BBench 1.01(海人氏・作)でバッテリー駆動時間を測定条件「60秒間隔でのWeb巡回」「10秒間隔でのキーストローク」「電源プランはバランス」「液晶ディスプレイ輝度は15レベル中6レベル」で測定したところ、バッテリー残量5%まで5時間13分という結果だった。

ThinkPad X1はバッテリーを“完全内蔵”としていて、取り出すことができない。ACアダプタはThinkPad T420sやThinkPad X220の付属品より大きく、実測で約125(幅)×48(奥行き)×30(厚さ)ミリ、コードを含めた重さは約407グラムであった(写真=左)。キーボードを外すとシステムボードとメモリスロットにアクセスできる。メモリスロットの下から左側面に伸びる銅製のパーツがクーラーユニットだ(写真=右)

薄いボディにTDP35ワットCPUを搭載するために開発された第5世代フクロウ羽

 史上最薄という側面が強調されがちなThinkPad X1だが、ビジネス利用でも不足のない高いパフォーマンスを発揮するために、TDP35ワットの“Sandy Bridge”世代CPUを搭載する。標準構成ではCore i5-2520Mを採用するが、定格動作2.5GHz、Turbo Boost Technology有効時で3.2GHzという高クロック動作となる。このCPUが発する熱を薄いボディで処理するのかが、ThinkPad X1の開発で大きな課題の1つであったと、レノボ・ジャパンの開発担当者は述べている。

 このため、ThinkPad X1では、クーラーユニットに搭載するファンのブレード形状を開発し、“第5世代のフクロウ羽”として完成させた。このブレードを導入したクーラーファンも“ThinkPad史上最薄”で従来と同程度の風量を確保するとともに、発熱体であるCPUとチップセットから放熱用のフィンまで熱を誘導するヒートパイプの形状も、伝熱効率と薄いボディに搭載するのほかの部材と干渉しないように場所によって厚さを変えるなどの工夫をすることで、TDP35ワットのCPUを搭載可能にした。

 クーラーユニットは静音性能も考慮したとレノボ・ジャパンは説明しているが、それでも、ベンチマークテストなど、負荷のかかる処理を長い時間行っていると、回転数が上がってファンの音が聞こえてくる。ただし、評価に用いたのが試作機であるので、ファンコントロールソフトウェアのチューニングが最適化されていない可能性もある。とりあえず評価中に撮影した動画(住宅地で平日の午前中に撮影)を参考資料として紹介しておく。

 ThinkPad X1の内部は、手前のパームレスト部分はバッテリーが内蔵され、システムボードはキーボードの下になる。チップセットとCPUは中央から左寄りに配置され、左側面のクーラーユニットにヒートパイプで誘導されて排出する。チップが表側に実装されているので、負荷の高い処理を行っているとキーボードの左側が熱くなるかと思ったが、ベンチマークテストの処理中でも体感で熱の変化を認識することはなかった。

 その一方で、充電中にバッテリーが熱を発して、パームレストとボディ底面前側が熱くなるのが確認された。熱を測定していないので客観的なデータを示すことはできないが、こちらは体感でもはっきりと分かるほどだ。ただ、こちらも試作機ゆえ、充電制御のチューニングが最適化されていない可能性がある。

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