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» 2011年12月07日 17時00分 UPDATE

「5GHz帯無線LANルータ」導入のススメ:第7回 テレビ・レコーダーで使うと“さらに”効果的──「450Mbps」の安定度を再確認 (1/2)

「最大450Mbps」対応ルータのメリットがより効果的に表れるシーン、それは「家庭用AV機器+ホームネットワーク」だ。AV機器のネットワーク連携機能で、最大450Mbpsの無線LANがどう有効かを検証する。

[坪山博貴,ITmedia]

5GHz帯+450Mbpsの無線LAN──「家庭用AV機器」で特に有効

photo 映像を快適に伝送するWMM対応“TVモード”を備える、NECアクセステクニカ「AtermWR9500N」

 最新の無線LANルータやアクセスポイントには「TV」や「Movie」といったインジケータのある製品が目立つ。これは、テレビを中心とした「AV機器を無線LANで接続する」場合に有効な機能の状態を示している。AV機器の無線LAN化することで生まれるメリットは以前触れたが、今やPCでの利用より、AV機器利用の方が“無線LANに速度を求める場合が多い”ことを反映しているといえるのではないだろうか。

 AV機器の無線LAN化で有効な機能に「WMM」がある。Wi-Fi MultiMediaの略で、メーカーが固有に付加した機能ではなく、無線LANの標準化団体 Wi-Fi Alliance が策定した規格だ。原則として親機と子機のメーカーが異なっても機能する。

 ではWMMとは何か。通信品質に保つための制御手段「QoS(Quality of Service)」の一種である。無線LANは通常、送受信されるデータに優先順位はなく、基本的にベストエフォートとなる。IEEE802.11n以前の無線LAN、例えばIEEE802.11g(最大54Mbps)とIEEE802.11b(最大11Mbps)が混在する環境においても、通信速度の遅いIEEE802.11bに無線LAN全体の速度が足を引っ張られないようにする制御は行っているが、基本は無線LANで通信する機器のデータは均等に扱われている。

 この点、PCの場合はデータ送受信が散発的なことが多く、かつインターネットから動画のストリーミング配信を利用する場合も、(そもそもインターネット自体が通信速度が保証されない世界なので)余裕を持ってデータをバッファリング(一定量のデータをあらかじめ蓄えてから再生を開始)することが一般的だ。このため、無線LANがベストエフォートでも致命的な問題はさほど起こらない。さらに言えば、PCであれば、データ通信量を少なくするために圧縮率の高い(データ容量を抑えられる)フォーマットを用いるといった手段もある程度自由に行えるため、ハイビジョンクラスの動画配信も実はそれほど通信速度を要求しない側面がある。

photo TVモードの接続例

 一方、AV機器はPCほど柔軟ではない(ユーザー自身で工夫できる部分は少ない)。現行のデジタル放送は、BSも地上波も、PCの世界では圧縮率が低い(容量が多い)ため、すでに積極的には使われなくなっているMPEG-2を映像圧縮コーデックに利用している。もっとも、放送はサービス開始時期に現実的なフォーマットしか採用できない面があり、致し方ないと言える部分だ。

 この関係で、BSデジタルは約25Mbps、地上波でも約16Mbpsの帯域が最低でも必要になっている。BSデジタルは、実効速度として20M〜30Mbps程度は出るであろうIEEE802.11a/gですら、放送波をそのまま録画した番組をリアルタイムで一切途切れず送受信する──ことは非常に難しい。この点、最大通信速度が最大150〜450MbpsとなるIEEE802.11nであれば最大値として余裕が出るが、それでもリアルタイムの送受信能力が保証されるわけではない。

 そこでWMMは、データを「音声」「動画」「ベストエフォート」「バックグラウンド」に分け、この並び順に優先順位を設定して無線LAN上でデータ送受信を行う仕組みを採用した(IEEE802.11nでは事実上の標準機能になっている「QoS」の一部として機能する)。送受信しているデータを識別し、上記4つの区分のうち、音声や動画のデータ区分は優先して通信速度を──厳密は、コンテンツが問題なく再生できるだけのデータが送受信できるよう、通信可能な時間を割り振るものだ。

 こうすることで、無線LANを利用する機器の台数などに変化が生じても“動画”区分のデータの送受信においては一定以上の速度が保証されることになる。ちなみに“音声”が最優先なのは、通話に利用される可能性が高く、遅延をもっともNGとするため。動画に比べるとデータサイズが小さく無線LAN通信全体への影響も少ないためだ。


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