何がゆえのHybrid──大和が語る「ThinkPad X1 Hybrid」の必然性IdeaPad U1 Hybridがこうなりました(1/3 ページ)

» 2012年02月08日 03時14分 公開
[長浜和也,ITmedia]

6年にわたるHybrid開発で実現したR&Tの成果

 ThinkPad X1 Hybridは、2011年5月に登場したThinkPad X1に、“Sandy Bridge”世代のCoreプロセッサーファミリーとWindows 7 Professionalが動作する通常のノートPCモード、そして、クアルコムのARMベースデュアルコアCPUとLinuxベースのカスタマイズOSが有効になる「Instant Media Mode」(IMM)を動作中に切り替える機能を実装したノートPCだ。2012年1月に製品を発表、2012 International CESで実機を公開している。

日本では初めて公の場に登場したThinkPad X1 Hybrid(写真=左)。IMMに切り替えるスイッチマネージャーも日本語されている(写真=右)

 ThinkPad X1 Hybridの開発は、Lenovoの基礎研究・先端技術(R&T)部門が担当している。同部門主管研究員の河野誠一氏によると、R&T部門は、ThinkPadといった特定の製品を担当するのではなく、ThinkPadやIdeaPad、スマートフォンなどLenovoが扱う製品全般にかかわる独立した組織だ。その任務には「将来に向かっての研究」「イノベーション・新規の技術開発」「お客様への新たな価値の作成」「開発部隊にも経験のない技術の実現」を掲げていて、2009年に公開したIdeaPad U1 HybridもR&T部門が開発を行っている。

 R&T部門は、日本の大和研究所と米国のモーリスビル、中国の北京を拠点にして活動しているが、大和研究所の成果としては、HDDのユーザーデータ保護を目的とした「APS」(Active Protection System)、静音性を高めるために独自形状の羽根を開発した「フクロウFAN」、BIOSやHDDのパスワードをサーバで集中管理する「HPM」(Hardware Password Manager)、Windows 7の起動シークエンスとモジュールのスタートタイミングを改善してPCの起動時間を短縮した「Lenovo Enhanced Experience 2.0」などがある。

 ThinkPad X1 Hybridの開発では、大和研究所のみならず、モーリスビル、北京のR&T、そして、深セン、台湾のチームも参加している。河野氏は、異なる文化と言語、開発プロセスを超えて製品化を進める作業が予想外、かつ、最も大変だった部分と述べている。

Lenovoの基礎研究・先端技術部門は製品全般にかかわる最新技術を開発する独立組織だ(写真=左)。R&T部門の拠点は、日本の大和研究所、中国の北京、米国のモーリスビルにある。大和研究所でもThinkPadなどで採用した技術が生まれている(写真=中央)。ThinkPad X1 Hybridでも世界中のR&T部門が連携して開発に携わった(写真=右)

オフィスの進化が求めるHybridなThinkPad

 レノボ・ジャパン 製品事業部 プロダクトマネージャー ThinkPad 製品担当の土居憲太郎氏は、Windowsとx86系のCPUで動作するモードとLinuxとARMが動作するIMMをThinkPad X1に実装した理由を説明した。

 土居氏は、IMMで動作するThinkPad X1 Hybridの特徴として、消費電力がWindowsとx86系CPUが動作している状態から50%も削減され、その結果、バッテリー駆動時間がThinkPad X1の約2倍となる10時間に伸びることを挙げ、外に出て作業する機会が増えたオフィス環境の変化にあわせて、長時間のバッテリー駆動と速い起動が求められる外の作業ではIMMを選択し、オフィスでは作業効率の高いWindowsとx86系CPUを利用する“Hybrid”なPCが有効であると訴える。

内から外に指向する現代のオフィス環境で(写真=左)、一台でタブレットデバイスのバッテリー駆動時間と起動の速さ、そして、ノートPCの生産性を実現するThinkPad X1 Hybridが必要とされる(写真=右)

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