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» 2012年04月05日 18時00分 UPDATE

IntelやPLEXTORのライバル機と比較:日本で本格展開を開始した「Samsung SSD830」の実力に迫る (1/4)

大手メーカー製PCに幅広く採用されているSamsung SSDだが、PCパーツとしては並行輸入品が出回る程度で、いまひとつ盛り上がりに欠けていた感がある。しかし、2012年3月に日本の正規代理店ができたことで、今後は存在感が増していくかもしれない。

[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]

Samsung製SSDに国内正規リテール版が登場

tm_1204ssd830_01.jpg ITGマーケティングが国内の正規代理店として取り扱うようになった「Samsung SSD830」

 アイ・オー・データ機器とトーメンデバイスは、合弁会社「ITGマーケティング」を2012年3月に設立した。出資比率はアイ・オーが61.11%、トーメンデバイスが38.89%となる。アイ・オーはいわずとしれた総合周辺機器メーカー、トーメンデバイスはSamsungの電子製品を扱う専門商社だ。新会社のITGマーケティングはSamsung製SSDの代理店として、量販店やPCショップで全国的に拡販していくという。

 SamsungのSSDといえば、OEMではメジャーな存在だ。SSDというパーツが一般に認知される以前の黎明(れいめい)期から、ソニーやアップルなどのモバイルノートPCなどに多く採用され続けており、性能のよさ、信頼性の高さともに定評がある。

 これまでに秋葉原などのPCショップでは、独自のルートで仕入れた並行輸入品が店頭に並ぶこともあったが、その場合はショップ保証のみとなり、保証期間も1カ月程度(ショップによって異なる)と短いことが多い。ITGマーケティングの設立により、従来より幅広いショップで正規代理店取り扱いのSamsung製SSDが入手でき、3年間の長期保証と国内サポートが受けられるようになるのは朗報だ。

 今回はSamsungの現行モデル「SSD830シリーズ」のリテールパッケージを入手できたので、性能を検証していこう。テストしたのは「ベーシックキット」(後述)の256Gバイトモデル「MZ-7PC256B/IT」(実売価格は3万0800前後の見込み)だ。

独自のトリプルコントローラを採用した高性能SSD

 SSD830シリーズは、自社製のトリプルコアコントローラ「MCX」と、自社製のNAND型フラッシュメモリを搭載したSamsungならではの製品だ。2.5インチ、厚さ7ミリのスリムなフォームファクタを採用している。最近は7ミリ厚のSSDしか搭載できない薄型ノートPCもいくつか出てきており、そういったノートPCにも使えるのはありがたい。

 一方、9ミリ厚のSSD/HDDを搭載する前提で設計されたノートPCにキッチリ固定するにはスペーサーが必要になるわけだが、間に緩衝材などを挟んでもいいし、後述の「ノートパソコン(ラップトップ)用キット」にはスペーサーも付属する。

tm_1204ssd830_02.jpgtm_1204ssd830_03.jpg 内蔵型SSDながら、非常に凝ったデザインを採用。表面にはヘアライン加工のアルミを使用しており、SAMSUNGのロゴや容量のロゴも美しい仕上がりだ(写真=左)。背面はネジ穴だけがあるシンプルなデザインだ(写真=右)

tm_1204ssd830_04.jpgtm_1204ssd830_05.jpg ARM9ベースのトリプルコアによる自社製コントローラ「MCX」と、20ナノメートルプロセスルールで製造されたトグルDDR NANDフラッシュチップ、キャッシュはDDR2で256Mバイトメモリを搭載する(写真=左)。基板は片面実装で、裏面にチップなどはない(写真=右)

tm_1204ssd830_06.jpgtm_1204ssd830_07.jpgtm_1204ssd830_08.jpg サイズは69.85(幅)×100(奥行き)×7(高さ)ミリ、重量は約62.5グラム。7ミリ厚と薄いボディを採用する(写真=左)。インタフェースはSerial ATA 6Gbpsだ(写真=中央)。カバーはネジではなく、ツメでガッシリ固定されていた(写真=右)

 詳細なスペックは表にまとめた。今回評価する256Gバイトモデルについては、「Intel 520」(240Gバイトモデル)、「PLEXTOR M3P」(256バイトモデル)との比較表も掲載した。

 Intel 520などが搭載するSandForceコントローラ(SF-2281)はデータを圧縮して記録する仕組みを採用しているため、圧縮データ(コントローラで圧縮が可能なデータ)と非圧縮データ(コントローラで圧縮ができないデータ)で転送速度に大きな差がある。一方、SSD830のSamsung製コントローラはそのような仕組みではないため、データの種類を問わず高速な転送が可能だ。

 スペックはあくまでも公称値だが、非圧縮データに関しては、シーケンシャル読み出しで520Mバイト/秒、シーケンシャル書き込みで400Mバイト/秒(250Gバイトモデル以上)と、現行の最速クラスといっていい。ランダムのIOPS(1秒あたりに処理できるリード/ライトのアクセス数)では、読み出しは最も高速だが、3台の中では書き込みが劣る。

 なお、保証期間は3年間と3台の中では短いが、IntelやPLEXTORの製品もこの前世代までは3年だった。正規代理店扱いのSSDとして、水準以上の信頼性を満たしているといえる。

Samsung SSD830シリーズのスペック
容量 64Gバイト 128Gバイト 256Gバイト 512Gバイト
インタフェース Serial ATA 6Gbps
シーケンシャル読み出し最大 520Mバイト/秒
シーケンシャル書き込み最大 160Mバイト/秒 320Mバイト/秒 400Mバイト/秒
4Kバイトランダム読み出しIOPS最大 75000IOPS 80000IOPS
4Kバイトランダム書き込みIOPS最大 16000IOPS 30000IOPS 36000IOPS
質量 61グラム 62.5グラム
外形寸法 69.85(幅)×100(奥行き)×7(高さ)ミリ
平均故障間隔(MTBF) 150万時間
動作時消費電力 0.127ワット
アイドル時消費電力 0.078ワット
保証期間 3年間

Intel 520、PLEXTOR M3Pとの比較
製品名 Samsung SSD830(MZ-7PC256B/IT) PLEXTOR M3P(PX-256M3P) Intel 520(SSDSC2CW240A3)
容量 256Gバイト 256Gバイト 240Gバイト
インタフェース Serial ATA 6Gbps
シーケンシャル読み出し最大(圧縮有効) 550Mバイト/秒
シーケンシャル書き込み最大(圧縮有効) 550Mバイト/秒
シーケンシャル読み出し最大(非圧縮) 520Mバイト/秒 540Mバイト/秒 550Mバイト/秒
シーケンシャル書き込み最大(非圧縮) 400Mバイト/秒 420Mバイト/秒 235Mバイト/秒
4Kバイトランダム読み出しIOPS最大 80000IOPS 75000IOPS 50000IOPS
4Kバイトランダム書き込みIOPS最大 36000IOPS 68000IOPS 60000IOPS
平均故障間隔(MTBF) 150万時間 150万時間 120万時間
動作時消費電力 0.127ワット 2.8ワット 0.85ワット
アイドル時消費電力 0.078ワット 0.7ワット 0.6ワット
保証期間 3年間 5年間 5年間

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