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» 2012年08月07日 15時00分 UPDATE

PC利用による目の疲れは複合要因:ブルーライト対策だけでは不十分?――ナナオが「PC画面と疲れ目の関係」を調査 (1/2)

ナナオは液晶ディスプレイの画面表示と疲れ目の関係について、独自調査の結果を発表した。画面の明るさ、ブルーライト、LEDバックライトのちらつきなど、複合的な要因を考えて疲れ目対策をすることが有効という。

[前橋豪,ITmedia]

ナナオが3つの視点で「PC画面と疲れ目の関係」を調査

 ナナオは、疲れ目抑制に注力した液晶ディスプレイ5機種を発表したことに伴い、報道関係者向けに液晶ディスプレイの技術セミナーを開催した。「パソコン画面と疲れ目の最新事情」と題し、液晶ディスプレイの画面表示と疲れ目の関係について、独自調査の結果をまとめた内容だ。

 今回ナナオが調査したのは以下の3つ。

  • 1. LEDバックライトと疲れ目の関係
  • 2. 画面の明るさと疲れ目の関係
  • 3. 液晶ディスプレイの「ブルーライト」

 これらの解説は同社企画部 商品技術課 課長の森脇浩史氏が行った。

1. LEDバックライトと疲れ目の関係

 まずはLED照明器具やLEDバックライト内蔵テレビ/ディスプレイの普及によって、LEDの光を見ることが増えてきた現状を背景に、PCディスプレイの「LEDバックライトと疲れ目の関係」について語られた。

tm_1208_eizo_01.jpg 照明器具やディスプレイのバックライトに採用されている代表的な2つの調光(明るさの制御)方式

 現在、照明器具やディスプレイのバックライトには代表的な2つの調光(明るさの制御)方式がある。1つは液晶ディスプレイのCCFL/LEDバックライトや減光タイプの蛍光灯に用いられる「PWM調光」、もう1つは従来の白熱電球に用いられる「DC調光」だ。

 PWM調光は発光素子の点滅時間を制御することで、見た目の明るさを制御する。点滅時間の制御は通常、人間が知覚できないように200Hz程度の高い周波数で動作させており、発光素子のオン時間を長くして、オフ時間を短くすると明るく、オン時間を短くして、オン時間を長くすると暗く見える仕組みだ。

 メリットとしては、調光範囲が広いことと、デジタル処理のため設計と制御が容易なことが挙げられる。その一方で、人によっては点滅によるちらつき(フリッカー)を感じるデメリットがある。

tm_1208_eizo_02.jpgtm_1208_eizo_03.jpg PWM調光方式の特徴(写真=左)。PWM調光は発光素子のオンとオフを高速で繰り返し、点滅させて見た目の明るさを調節する(写真=右)

tm_1208_eizo_04.jpgtm_1208_eizo_05.jpgtm_1208_eizo_06.jpg PWM調光による明るさのイメージ。オン時間が短く、オフ時間が長いと暗く見える(写真=左)。オン時間が長くなるにつれて、明るく見えるようになる(写真=中央/右)

 PWM調光のフリッカーが感じられるかどうかは個人差が大きく、多くの人が知覚できないが、ナナオとしては輝度が低くなるほど、PWMの波形が細く(オン時間が短く)なり、連続して点滅しているように見えるからではないか、と分析している。

 また、CCFL(蛍光管)のPWM調光は残光時間が長い(オフにしてもすぐに光が消えない)ため、明るさの時間的な変化が少ないのに対して、LEDのPWM調光は残光時間が短い(オフにするとすぐに光が消える)ため、明るさの時間的な変化が大きいことから、LEDではフリッカーが感じられるのではないか、との考察を述べた。

tm_1208_eizo_07.jpgtm_1208_eizo_08.jpgtm_1208_eizo_09.jpg PWM調光のデメリットであるフリッカーの考察(写真=左)。CCFL(蛍光管)のPWM調光は残光時間が長い(オフにしてもすぐに光が消えない)ため、明るさの時間的な変化が少なく、フリッカーが少ないのではないかという考察(写真=中央)。LEDのPWM調光は残光時間が短い(オフにするとすぐに光が消える)ため、明るさの時間的な変化が大きいことから、フリッカーが感じられるのではないかという考察(写真=右)

 DC調光は素子に流す電流の増減によって、明るさを制御する。電流が多いと明るく、少ないと暗く見える仕組みだ。

 メリットとしては、LED素子に用いた場合、光の点滅が原理上起こらないため、ちらつきを感じないことが挙げられる。デメリットは、回路構成が複雑になること、回路および素子の性能上、あまり低い輝度に設定できないこと、そして低輝度での色再現性にも難があることだ。

tm_1208_eizo_10.jpgtm_1208_eizo_11.jpgtm_1208_eizo_12.jpg DC調光では原理上、光の点滅が起こらない(写真=左)。DC調光のメリットとデメリット(写真=中央)。PWM調光とDC調光の比較(写真=右)

 実際にPWM調光とDC調光のLEDバックライトで疲れ目にどのような影響の違いがあるのか、北里大学医療衛生学部が10人(10眼)で試験したところ、測定機器によるCFF(フリッカー値)、眼球球面収差、眼屈折度、調節近点、調節微動解析の結果は数値上有意差が見られなかった。ただし、被験者のアンケート結果では、DC調光方式のほうがちらつきが気にならず、疲労を感じにくい傾向にあった。

tm_1208_eizo_13.jpgtm_1208_eizo_14.jpgtm_1208_eizo_15.jpg 北里大学医療衛生学部による調光方式の違いが目に与える影響の評価。評価の方法と対象(写真=左)。評価条件の設定(写真=中央)。評価結果のまとめ(写真=右)

tm_1208_eizo_16.jpgtm_1208_eizo_17.jpg アンケート結果。ちらつきを感じたかどうか(写真=左)。自覚的な疲労度(写真=右)

tm_1208_eizo_18.jpgtm_1208_eizo_19.jpg その他のアンケート結果(写真=左)。評価者である同大学の魚里博教授によるコメント(写真=右)。ちらつき感の限界はおおよそ40〜50Hzといわれているが、PWM調光の高い周波数でもごくまれにちらつきを感じる人がいて、眼球特性や視覚情報処理系の影響が考えられるという。ちらつきや点滅はないほうが望ましいとのこと

tm_1208_eizo_20.jpg ナナオによるPWM調光とDC調光を組み合わせた「EyeCare調光方式」

 それぞれに一長一短があるPWM調光とDC調光だが、ナナオはLEDバックライトのちらつきを抑えるため、2012年8月7日に発表した5機種の液晶ディスプレイにおいて、この2つを組み合わせた独自のハイブリッド調光方式である「EyeCare調光方式」を初めて採用した。

 EyeCare調光方式では、高輝度時にDC調光でフリッカーを抑え、低輝度時にPWM調光で色再現性や表示安定性を維持しつつ、約1カンデラ/平方メートルの低輝度も実現する。2つの調光方式の切り替えは自動で行われ、ユーザーが意識することはない。

 低輝度時のPWM調光では当然点滅によって明るさを制御するが、高輝度時にDC調光を採用したことで、PWM調光でのピークの明るさを下げることができ、従来機種より明滅の輝度差が小さくなっていることから、フリッカーが抑えられていると森脇氏は説明する。

tm_1208_eizo_21.jpg セミナー会場では従来機のPWM調光と、新機種のDC調光によるフリッカーの違いを確認するデモが行われた。とはいえ、LEDバックライトのフリッカーを感じられる人はか少ないため、デモではそれぞれの画面の前に扇風機を設置し、バックライトの点滅に羽根の高速回転を干渉させることで、回転する羽根の形状が通常と違って見えることをフリッカーの例として示した。従来機のPWM調光では点滅によって回転する羽根に明暗差の模様ができて見えるが(左)、新機種のDC調光では羽根の見え方に変化がなく均一に背後の画面が透けて見える(右)

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