本体の薄さはキーボードに優先する──Lenovo幹部が語る“これからのThinkPad”アジア太平洋州とラテンアメリカのトップがTokyoに(1/2 ページ)

» 2012年09月05日 20時34分 公開
[長浜和也,ITmedia]

LenovoとNECは、それぞれの役割を果たす

 Lenovoは、9月5日にアジア太平洋州とラテンアメリカ(南アメリカ)を担当する同社幹部のグループミーティングを東京で行った。ミーティングに参加したのは、Lenovo NECホールディングス B.V. 会長のロードリック・ラピン氏、レノボ・ジャパン ノートブックビジネスユニット事業部 デザイン・ユーザーエクスペリエンスディレクターの高橋知之氏、Lenovo ワールドワイドコンシューマプロダクトローンチ担当上級ディレクターの ニック・レイノルズ氏、Lenovo アジア太平洋州ラテンアメリカ マーケティングコミュニケーション担当上級副社長のハウィ・ラウ氏、そして、Lenovoアジア太平洋州モバイル・インターネットデジタルホーム ビジネスデベロップディレクターのキース・リウ氏だ。

 ラピン氏は、2011年に始まったレノボ・ジャパンとNECパーソナルコンピュータの協業について説明し、NECが日本市場で確立しているブランド力と知名度のメリットを、ミーティングに参加した海外の関係者に向けて訴求した。ラピン氏が紹介した、レノボ・ジャパンとNECパーソナルコンピュータによる協業体制の構築では、2011年10月から始まったNECによるサポート協業や、2012年6月のコールセンターのNECパーソナルコンピュータへの委託のほか、製品レベルでもSamrtVision Lightを導入したIdeaCenter B540pのリリース、そして、2012年の秋に予定している競合開発による製品のリリース、米沢工場におけるThinkPadシリーズの生産を取り上げている。

Lenovo NECホールディングス B.V. 会長のロードリック・ラピン氏(写真=左)。レノボ・ジャパンとNECパーソナルコンピュータが進める“協業”ロードマップ(写真=中央)。NECの製品については、そのブランド力と知名度を優先して、これからも独自のラインアップを継続していくという(写真=右)

 なお、現在レノボ・ジャパンとNECパーソナルコンピュータで独立して用意しているPCのラインアップについて、ラピン氏は、今後もそれぞれが企画、開発を行っていくとしている。その理由として、日本のコンシューマユーザーは、NECの製品を国民的なブランドとして認識しており、それだけに信頼も高い一方で、レノボの製品は、外資系PCメーカーの製品と認識しているため、それぞれを支持しているユーザーに向けた製品ラインアップを、これからも用意していくべきという考えを示した。ラピン氏は、両社で共同で製品を企画する新しいサブブランドが登場する可能性も否定している。

 また、海外の関係者が強い興味を示した、NECの米沢工場におけるThinkPadシリーズの生産については、2012年秋から開始すると述べているものの、生産する具体的なシリーズ名や生産規模については明確な説明を避けた。また、6月5日にあったNECによるLenovo株売却については、経営における影響はほとんどないと述べている。

ThinkPadとUltrabookのコンセプトは相反しない

レノボ・ジャパン ノートブックビジネスユニット事業部 デザイン・ユーザーエクスペリエンスディレクターの高橋知之氏

 高橋氏は、ThinkPadのデザインとユーザーインタフェースの開発者として、関係者からの質問に対応した。ThinkPad Classicシリーズでは、日本の多くのユーザー、特に経験の長いユーザーほどキーボードの使いやすさを支持している。しかし、ThinkPad X1シリーズ以降、そして、2012年6月に登場した最新モデルでは、ThinkPad Classicシリーズでも、全面的にアイソレーションタイプの6列配置キーボードを採用した。また、ThinkPad X1シリーズでは、ボディの薄型化を実現する一方で、キーストロークが浅くなるなど、ノートPC開発のトレードオフにおいて、キーボード以外の要因を優先するようになっている。

 この状況において、高橋氏は、キーボードの使いやすさは、ThinkPad Classicシリーズの重要な要素と認識しつつも、ボディの薄型化は、ノートPCの大きな流れとなっており、ノートPCのデザインにおいて、キーボードより優先順位が高い状況にあると説明した。ただ、高橋氏は、そういう状況にあっても、キーボードの操作性やキーを押したときの感触は、これまでのThinkPad Classicシリーズに近いものを実現していると訴えている。

 また、レノボ・ジャパンの内藤在正氏は、ThinkPad登場20周年を記念する講演で、「ThinkPadの変わらないコンセプトは、有力なビジネスツールであること」と語っているが、コンシューマーユーザーを意識したUltrabookのコンセプトとビジネスツールであろうとするThinkPad Classicのコンセプトは相容れないのではないかという指摘について、高橋氏は、Ultrabookのコンセプトは、コンシューマーユーザーだけを想定したものではないとした上で、搭載するインタフェースやバッテリーの交換、システムメモリの増設ができないUltrabookをビジネスで利用することに不安を感じるユーザーには、ThinkPad Classicが擁するほかのシリーズがあると語った。

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