データ容量が足りなかったら足せばいい、整理したければPCで適当にできる──PCを普通に使える人は、その経験により機器の使い方はもちろん、その応用方法も思いつき、たいていは自分で対処できる。でも、そうでない人もいる。いや、そうでない人のほうが多い。
そういった層に対し、PC周辺機器メーカー大手のバッファローは、ブロードバンドルータやHDD、NAS(ネットワーク接続型HDD)といった既存製品のコンセプトに加え、具体的にユーザーのライフスタイルに訴求する製品により、これまで訴求できていなかった層への取り込みを強化する。
同社は11月15日、テレビに接続するHDD内蔵メディアプレーヤー/デジタルフォトストレージの新製品「おもいでばこ」を発表。既存のストレージ製品・NASキット群と機能そのものは似通うが、“とりあえずこれに入れておけば大丈夫です”──と容易さを訴求するコンセプトと機能の工夫を取り入れ、PCには詳しくないファミリー・シニア層に向けて提案する。
おもいでばこシリーズは2011年11月に第1弾を投入、今回の新モデルはストレージ容量の強化と無線LAN標準対応(USB子機を標準添付)、プリント(エプソン製Epson iPrint対応プリンタ対応)、フォト蔵連携機能(写真共有SNS型クラウドストレージ)などを新設し、より手軽さ、身近さを訴求するモデルに仕立てた。
「デジタルカメラは手軽・手軽にたくさん撮れ、その場ですぐ見られる。一方、撮る写真が大量になるので、撮ったらそのまま。結局は整理されず、“せっかくの思い出を振り返れない”──見たい写真が見つらない。そんな実情がある。おもいでばこは、ボタン1つで写真を取り込め、写真の整理も自動で行う“おまかせ”機能を搭載する。本機にさえ入れておけば、写真データの保存、自動整理、再生、加工、配布、共有といった、デジカメ写真に関連する項目をひとまとめできる手軽さ・簡単さを特に注力して開発した」(バッファロー取締役事業統括本部の渡邊泰治本部長)
写真データの取り込みは、デジタルカメラや携帯ゲーム機+SDメモリーカードスロット/USB端子経由のほか、スマートフォンにも対応。無線LANとスマートフォンアプリで転送できるようにした。iOS版、Android版ともに無償の連携アプリ「おもいでばこ」を用意し、取り込み、再生、書き出しなどの連携操作、さらに本機の操作用リモコンとしても活用できる。
スマートフォン・タブレットの普及とともに、見る、聞くといったコンテンツ表示のみを主とするファミリ−・シニア層におけるIT機器においては、PCよりスマートデバイスに置き換えられはじめている。「“何をやっていいのか分からない”となる層に対しては、何でもできる/フル機能──では受け入れられない。利用シーンを具体的に示し、機能をそれにフォーカスしたものが必要。ともあれ、とにかく手間がかかる写真整理は“おもいでばこ”に任せて、その空いた時間は家族のコミュニケーションに有効に使ってもらいたい。そんな気持ちも込めている」(渡邊本部長)という。
コモディティ(日用品)化が進むPC機器において、これまでの資産を生かしつつ、これまでのユーザー層以外の層を開拓したいPC周辺機器メーカーならではの施策といえる。
「こんなことはこれでなくても適当にああすればできるぞ」──そう思うPCやスマホに詳しい人は多いかもしれない。実は、そんな人にも向いている。家族や両親へのプレゼント用としてである。想像してほしい。……いろいろかなりラクそうではないか。
本シリーズのコンセプトは「ユーザーのライフスタイルにフォーカスした製品」だが、PCに詳しい人にとっても意外とその通りといえそうである。
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