速い!でも! 静か! な「G-Master Hydro-GK」の実力を堪能する静かだろ。でも、動いているんだぜ、爆速で

» 2013年03月22日 15時57分 公開
[長畑利博(撮影:矢野渉),ITmedia]

ハイエンドゲーミングPCにあるまじき静けさ!

 「G-Master Hydro-GK」は、搭載するCPU(評価用機材はCore i7-3770を搭載)とグラフィックスカード(評価用機材はGPUに「GeForce GTX 680」を搭載)の冷却にそれぞれ専用の水冷ユニットを搭載している。水冷ユニットは、冷却媒体に液体を使用することから、ファンを使う空冷方式よりも冷却性能を強化しやすい。また、高負荷時に動作音の最小値と最大値の差が大きくなりがちな空冷方式より動作音の最大値が高くなりにくいというメリットがある。

 今回は、G-Master Hydro-GKが導入する水冷ユニットの性能を探るべく、CPUに対してオーバークロックを設定した状態で高負荷をかけるベンチマークテストを行い、G-Master Hydro-GKの冷却能力と、その結果実現するという高い処理性能を検証してみた。

ゲーミングPCとしてはシンプルなデザインのG-Master Hydro-GKだが(写真=左)、中を開けると、内部に収容する2台の水冷ユニットとフロントのずらりと並ぶシャドウベイに圧倒される(写真=中央)。CPUとGPUのそれぞれに水冷ユニットを用意し、低速回転の大口径ファンと組みあわせて、高負荷動作時でも“静かなPC”を実現した(写真=右)

 G-Master Hydro-GKで採用するマザーボードのASRock「Z77 Extreme 4」には、オーバークロックなどの設定に使える「ASRock Extreme Tuning Utility」が付属する。このユーティリティは、ソフトウェアから簡単にCPUの動作クロックを変更できるオーバークロック機能などを備えている。Core i7-3770は通常BCLK Frequency100MHz×39倍で、Turbo Boost Technology有効時に最大3.9GHzまで動作クロックが向上する。しかし、評価機材が搭載するCore i7-3770とIntel Z77 Express チップセットの組み合わせでは、CPUのクロック倍率を最大43倍、Turbo Boost Techology有効時に最大4.3GHzにまで上げることができる。こうした行為はメーカー保証外だが、基本的にこの程度のオーバークロックであれば、システムメモリ回りや駆動電圧などの変更は必要なしにオーバークロックできる。

CPU-Zで確認したCore i7-3770Kの動作状況。定格動作時で、動作クロックは3.4GHz、Turbo Boost Technology有効時で1コア動作の場合、最大で3.9GHzとなる(写真=左)。オーバークロック設定では、動作倍率を43倍にすることにより、Turbo Boost Technology有効時で1コア動作の場合、最大で4.3GHzにまで向上している(写真=右)

ASRock「Z77 Extreme 4」に付属するASRock Extreme Tuning Utility。動作クロックやシステムの温度、ファンの回転数などを確認できるハードウェアモニタに、ファンコントロール、オーバークロックの設定の管理や保存などを行えるOC DNA、省エネ機能のIntelligent Energy Save機能などを備えている

Hydro-GKは、確かに速い、確かに冷える

 性能評価で使用したベンチマークテストは、総合的なシステム性能を計測するPCMark7、グラフィックス性能を測る3DMark 11、および、3DMark Vanrageだ。PCMark7で測定した定格時の総合スコアで5382。オーバークロック設定時で5635まで向上する。個別のテスト項目も全体的に性能が向上することが分かる。

G-Master Hydro-GKで測定したPCMark 7(写真=左)、3DMark Vantage(写真=中央)、そして、3DMark 11(写真=右)それぞれの測定結果

 今回は標準付属のユーティリティだけでできるCPUのみのオーバークロックを行ったため、グラフィックス性能を評価する3DMark Vanrageと3DMark 11で極端なスコアの差は出ていない。しかし、3Dmark VanrageのCPUスコアでは、定格設定で71451、オーバークロック設定で75142と大きな差が出ている。また、3Dmark 11のExtreme条件で定格設定なら3429、オーバークロック設定なら3434、Performance条件では3Dmarkが定格設定で9482、オーバークロック設定で9588とオーバークロックによる性能の差が出ている。

 水冷ユニットによる冷却性能の検証では、メーカーの製品紹介でも使われているシステム負荷ソフト「OCCT4.4.0」とOpenGLベンチマークソフト「FurMark 1.10.1」の組み合わせて走らせた。この組み合わせは、CPUとグラフィックスカードに長時間の連続負荷をかけることができる。今回は、1時間連続でシステムに負荷をかけて水冷ユニットの温度変化を計測した。

 モニタリングには、CPUとGPUの温度やファンの回転数、動作クロックなどの最大値と最小値が簡単に確認できる「Open Hardware Monitor」を使用した。また、比較対象として、ASUSのP8Z77-V(Intel Z77 Expressチップセット搭載)とCore i7-3770KとCPUに標準で付属する純正のクーラーユニットの組み合わせで測定した温度変化とも比較した。動作環境は異なるが、上位CPUなので水冷ユニットの冷却性能を検証する参考にはなるだろう。

G-Master Hydro-GKが搭載する2基の水冷ユニットとCore i7-3770Kに付属するインテルの空冷リテールユニットで比較したCPUの温度と動作音

 定格設定時のCPU温度は低負荷条件で34度、高負荷条件で68度、オーバークロック設定時のCPU温度は低負荷条件で36度、高負荷条件で73度、参考環境のCPUリテールクーラー搭載の定格設定では、低負荷条件で37度、高負荷条件で79度という結果になった。水冷ユニットの定格動作は参考用のテスト環境の定格動作よりも温度が10度ほど低い。また、オーバークロック設定でも6度ほど低い温度にとどまっている。

 「G-Master Hydro-GK」は、BTOならではの選択肢の多さとあとからの拡張性のことも十分に考慮した製品となっている。機能面でも過不足のない構成となっており、ビジネス要素からゲームまであらゆる分野で使用できるだろう。また水冷クーラーユニットの標準搭載というメーカーPCにない特色も持っている。本記事のようにマザーボード付属のソフトだけでできるオーバークロックの手軽さも魅力の一つだ。本製品の水冷クーラーユニットは、その性能を生かすだけの冷却能力がある。玄人自作ユーザーの作ったPC並みの構成が手軽に入手できる製品といえる。

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