OUYAは米OUYAが開発・発売した据え置き型ゲーム機だ。クラウドファンディングサイトの大手「Kickstarter」で資金調達を行い、初日で目標額95万ドルの2倍を達成、最終的に約860万ドルを集めるなど、発売前から非常に注目を集めていた。
とは言うものの、OUYAはいわゆる「次世代機」と言われる先進的なハードウェアではなく、NVIDIAの統合プロセッサ「Tegra 3」を搭載したAndroid端末だ。テレビに出力するためのHDMIやワイヤレスコントローラー用のBluetooth、802.11b/g/nの無線LANおよび有線LANといった機能は、タブレットやスマートフォンで実装しているモデルもある。
これらと大きく異なる点は据え置き型、つまり、AC駆動であること。本来、Tegra 3は省電力が求められるモバイル端末をターゲットとしたSoCだが、OUYAではファンを搭載してまでパフォーマンスを追求した構成となっている。
Android端末としては“標準的”と言ってもよいOUYAが注目されている要因の1つに、これまでのゲームコンソールとは異なったビジネスモデルが挙げられる。
通常、普及しているプラットフォームであれば大きな市場が見込めるため、多くのゲーム開発企業が参入してゲームのラインアップが充実する。ゲームのラインアップが充実していればそれを目当てとしてプラットフォームがより普及する。
ゲームコンソールベンダーは、例え本体の販売で赤字が出ても、ソフト販売に際してライセンス料を徴収することで(プラットフォームが普及してしまえば)十分回収できる。スタートダッシュでシェアを獲得した後はコストダウンした改良版の本体を発売し、さらなる普及を目論む――そういった正のスパイラルに乗って覇権を握ったゲームコンソールもあれば、開発がしづらい、コストが膨れ上がる、ライセンス料の負担が大きい、というような理由でソフトベンダーが居着かず、普及しなかったゲームコンソールもある。
しかし、最近ではこのような「売り切り」の形態ではなく、ソーシャルゲームやダウンロードコンテンツなどに見られる新しい課金形態も広まっている。初期にかかる費用は無料から通常のフルプライスまでさまざまだが、共通しているのは「ゲームを体験し、その費用に見合うかどうかを判断してから(さらなる)購買を行える」という点だ。
雑誌などのごく限られた情報で商品の質を判断していた時代から、インターネットで口コミなどの「生の」評価に触れられる時代を経て、「ステマ」や理不尽な酷評など、口コミすらも手放しに信じることが難しい時代に突入した今、自分自身の「目」で判断できる仕組みが求められるようになったのかもしれない。
OUYAでは、ソフトは独自のマーケットプレイスでオンライン販売されるが、「Free to Play」(無料プレイ)をサポートすることが義務付けられてる。その内容はさまざまだが、プレイヤーが「自身の目で課金するかどうかを判断できる程度の無料プレイ」が可能であることが条件だ。つまり、OUYAを入手すれば、そのマーケットプレイスにあるすべてのゲームがある程度は無料で遊べる、というわけだ。
そしてOUYAのマーケットプレイスはオープンで、Google Playなどと同様に個人レベルでも参入できる。OUYAには開発環境が同梱される、というニュアンスで伝えたメディアも多いようだが、実際には「OUYAはAndroid端末なのだから、アプリの開発もAndroidアプリ開発と同じ」という至極もっともな話に過ぎない。
OUYAのボディはルービックキューブサイズと称される。ほぼ立方体だが、底面は円形で、ファンの吸気口となっている。電源は100〜240ボルト入力、12ボルト/1.5A出力のACアダプタから供給する。筆者が購入したものはヨーロッパで広く利用されているCタイプのプラグが付属していたが、日本のAタイプが届いた人もいるようだ。
コントローラーの形状はプレイステーション3に近いが、ボタンやスティックの配置はXoox 360に近い。ボタンは下から時計回りにO/U/Y/Aと並ぶ。これはPSシリーズでは×/□/△/○、Xbox 360ではA/X/Y/Bに、スーファミではB/Y/X/Aに、OpenPandoraではX/A/Y/Bに相当する配列だ。ゲームやアプリケーションによって若干の違いはあるが、基本操作はXbox 360と同じで決定がO、キャンセルはAになっている。
また、コントローラー中央の黒い部分は実はタッチパッドになっている。ここに指を触れると画面にマウスカーソルが出現する。言われなければ分からないほどデザインに馴染んでいるので注意してほしい。
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