MeMO Pad 8の本体サイズは約212.8(幅)×127.4(高さ)×9.9(厚さ)ミリ、重量は評価機実重量で351グラムとなる。7型モデルのMeMO Pad HD7は約196.8(幅)×120.6(高さ)×10.8(厚さ)ミリ/約302グラムだったので、幅と高さで約1センチほど大きくなった程度、逆に厚さは約1ミリ薄くなっている。持ちやすさが7型サイズと変わらないと感じるのは、この薄型化したボディがかなり寄与していると思われる。
一方、重量は約50グラムほど数値としてはクッと上がるが……いや、8型サイズのタブレットとして考えると、実重量351グラムはかなり軽量だ。同じ8型Androidの「YOGA TABLET 8」は約401グラム、現時点8型Windows 8.1タブレットで最軽量の「Miix 2 8」は344グラム、若干重い「dynabook Tab VT484」は433グラムである。
サイズ感はほぼ同じということで、7型に対する8型ディスプレイのメリットは、同じ内容であれば「相対的に大きく表示できる」ことだろうか。
こちらは7型、8型といってもディスプレイ解像度、液晶配向方式、液晶パネルの部材、発色傾向、明るさの設定などによっても見た目の印象は変わるだろうし、内容が小さくて見えなければジェスチャー操作でその部分を拡大するのも容易ではあるが、サイズ感がほぼ同じであれば、そのままで少しでも大きく見えた方がうれしいと思う人は多いはずだ。
また、GPSを内蔵するのもポイントが高い。ナビアプリや適当な車載マウンタを用意して車載タブレットとして導入するのもよさそうだ。
MeMO Pad 8は、プロセッサにCortex-A9互換のクアッドコアRockchip RK101で動作周波数は1.6GHz。グラフィックスはMali-400 MPを採用する。メインメモリは1Gバイト(DDR3L)、内蔵ストレージは16GバイトeMMCを搭載する。評価機はSanDisk「SEM16G」を実装していた。
今回は、兄弟機と言える7型の「MeMO Pad HD7」、同じ8型Androidの「YOGA TABLET 8」、7型Androidタブレットの標準機「Nexus 7(2013)」のベンチマークスコアと並べた。
MeMO Pad HD7はプロセッサにクアッドコア/1.2GHz動作のMediaTek MTK8125、グラフィックスにPowerVR SGX 544を用いる仕様。仕様は異なるが同じクアッドコアながら1.6GHz動作のMeMO Pad 8は、AnTuTu 安兎兎ベンチマーク、3DMark Android Edition/Ice Stormテストで相応に高めのスコアを記録した。3D描画性能についてはSnapdragon S4 Pro APQ8064+Adreno 320仕様のNexus 7(2013)と比べるとパフォーマンスはやや劣るが、ちょっとしたAndroidゲームアプリもそこそこ普通に楽しめる性能がある。もちろん実動作においても、タッチ/スワイプ操作の正確な追従性やレスポンス、アプリの起動速度、Webサイトのスクロールや拡大/縮小表示、レンダリング速度など、普段の操作で困ることはなく、極めて普通にスッスッと動作する。
バッテリーテスト(最大輝度でYouTube動画を連続再生)の結果は約9時間5分。こちらはカタログ値とほぼ同等の結果だが、普段は輝度をもう少し落として使うだろうから、実際の外出時においてはもう少し長時間の連続動作が期待できる。参考として輝度50%ほどに落として測定したところ、約10時間14分動作した。普段使いでこれだけ動作するなら上々だ。
※バッテリー駆動時間テストでは、ディスプレイの輝度を100%、Wi-Fiオン、音量50%に設定し、満充電からバッテリーがなくなるまでの時間を測定
MeMO Pad 8は、クアッドコアプロセッサ+Android 4.2.2を採用するタブレットとして、価格帯、パフォーマンス、サイズ感ともにAndroidタブレットとしてバランスのよい仕様を実現している。
正直……7型のMeMO Pad HD7と何が違うのかな、と思わなくはない。ただ、タブレットにおいても仕様や形状、サイズ、価格帯、導入シーン、そしてニーズは想像以上に細かく分かれてきている。「7型では小さい。ちょっとだけ大きな画面サイズのこんなAndroidタブレットが欲しかったのだ」と合致する人もいるはずだ。どんなユーザーニーズがあるかおそらくメーカー側も手探り状態でもある現在、ユーザーの選択肢を制限しないようラインアップを積極的に拡充するASUSの取り組みは高く評価したい。
同じ8型タブレットでも、Bay Trail-T仕様のWindows 8.1タブレットにおぉ! と思う層にはおそらく向かないが、8型サイズのタブレットとして、薄型軽量で手にしやすく、机上など本体からやや離れて使うにも7型より画面が見やすいポイントは、移動中、寝ながら、コタツで、キッチンで、クルマでなど、いろいろなプライベート/趣味でのビュワー用途に適する資質がある。価格も実売2万円台前半(2013年12月20日現在)とそこそこ手ごろ、そしていわゆるIT機器然とした取っつきにくさを感じにくいあざやかなカラーリングを用意することから、自分用としてはもちろん、自分のフトコロをあまり痛めずに家族に贈るタブレットとしても喜ばれそうな1台である。
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