一方、PCと同時に使われることの多いオフィスIT機器、例えばプリンタやスキャナ、FAXなどについては、業務に応じてケースバイケースで対応することになる。もし「停電中も書類のプリントアウトが必須」ということであれば、接続対象に含める必要があるが、ニーズが高いとはいえない。あくまでも「業務に応じて」ということになる。
オフィスIT機器には、UPSにつないではいけない製品もある。例えばレーザープリンタがそれで、ピーク時の消費電力がインクジェットプリンタなどと比べて桁違いに高く、電気ポットやドライヤー並みの1000ワットを超える場合も珍しくないうえ、断続的に大電流が流れることでUPSの故障に繋がる可能性があるとして、UPSメーカーの多くは接続NGリストに入れている。また、コピー機や冷蔵庫、電気ヒーターなども同様の理由でリストに掲載されている。ざっと目を通しておいたほうがよいだろう。
このほかFAXについては、外部との通信を行うにあたって接続したいというニーズはあるだろうが、災害などで通信回線そのものが途絶していれば、FAXだけ動作可能な状態にあっても意味がない。一方で、オフィスが入居しているビルが工事で停電になるといったケースに備えてUPSを導入するのであれば、接続しておく価値はある。
IT系以外の機器では、テレビやレコーダーは問題なく対応するが、エアコンや扇風機などには(UPSの方式にもよるが)基本的には対応しない。無理に接続すると機器はもちろんUPSの側も故障につながる可能性があるので、問題ないとされる機器のみを接続するよう心がけたい。
以上、ざっと紹介したが、まとめると以下の表のようになる。環境によって異なる場合もあるだろうが、参考にしていただきたい。なお接続不可としている製品は、給電方式によっては対応する場合がある。給電方法の違いについては、実際にUPSを選定する際の手順とともに、次回詳しく紹介する。
NASに接続可能な機器の例 | ||
---|---|---|
接続可否 | 優先順位 | 接続機器 |
可能 | 高 | デスクトップPC、HDD、NAS |
中 | ハブ、ルータ、ディスプレイ | |
低 | インクジェットプリンタ、スキャナ | |
その他 | 液晶テレビ、レコーダー、ラジオ | |
不可※ | レーザープリンタ、コピー機、冷蔵庫、エアコン、電気ヒーター、掃除機、ドライヤー | |
※給電方式によっても異なる |
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.