操作においてLightroom MobileにはLR5のように「ライブラリ」や「現像」といったモジュールを切り替えるという概念はなく、コレクションからサムネイル、任意の1枚と表示させ、必要があれば画面下部のボタンで色調補正やプリセットの適用、トリミングなどを行う。触った分だけ色や露出が変わるというのは直感的で、分かりやすい。
今回はiOS7をインストールしたiPad 2(第4世代iPad Retinaモデル)で試用したが、RAWファイルについてもスマートプレビューのおかげか閲覧と加工のいずれもスムーズだった。通信速度と使い勝手の関係について詳細まで確認することができなかったが、LTFスマホのテザリングでも利用に際して、ストレスを受けることがなかったことはここに記したい。
Lightroom Mobileがオンラインの状態だと、加工補正の結果はAdobe IDでログインしている状態のLR5にもほどなくして反映される。反映速度は回線状況にも左右されるが、画像1点あたり1〜2分もあれば同期が反映される印象だ。
また、コレクション一覧の状態からアイコンの右下をタップすると、各コレクションの設定を行うことができ、「オフライン編集を有効にする」とすれば、コレクションのスマートプレビューファイルをiPadにダウンロードして編集を行い、オンライン状態になったところで同期させるという使い方もできる。
iPadのカメラロールからLightroom Mobileへの写真取り込みも可能で、取り込んだ写真についてはパソコンのLR5にも「Lr Mobileから」というスマートコレクション名が自動的に生成され、iPad側で作成したコレクション名称も反映される。
つまりiPadで撮影した写真をシームレスに、パソコンのLR5へも取り込むことができるわけで、iPhone版の投入が待ち遠しくなる機能だ。カメラロールに写真があればよいのなら……とCamera Connection kitを使ってiPadへデジカメ画像を読み込んだところ、こちらも問題なく扱えた。
ちなみにオフライン状態でも閲覧はできるが、カメラロールに保存されている写真は除き、iPadに生成されたとキャッシュを読み込んでいるようで、すべての写真を見られるとは限らない。基本的にはオンラインで使うことを前提としてるようだ。
Lightroom Mobileは「Photoshop写真家向けプログラム」などでAdobe CCを契約し、Lightroomを常用しているならばぜひとも試してもらいたい。カラーマネジメントの側面からすると厳密な現像作業には向いていないが、パソコンのLR5とライブラリを共用し、RAWファイルであろうとiPadからささっと見られるのは試してみると予想以上に楽しく、快適だ。
その一方で、同じLightroom 5を使っていてAdobe IDを持っていても、それがパッケージ購入であったり、単体でのサブスクリプション契約ではLightroom Mobileを利用できないというのは、ユーザーからすれば残念といわざるを得ない。Adobe CCの推進、Adobe CC契約者へのボーナス的な存在という位置づけであると考えれば理解できなくもないが、それでもねぇ……という気持ちは残る。
とはいえiPhone版も年内、Android版も開発中とのことなので、利用できる環境を持っているならばぜひとも一度、試してもらいたいアプリと言える。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.