インテルが語る、タブレット時代のクロスプラットフォームベンチマークテスト事情「ビジネスマンだってゲームするよね」

» 2014年12月09日 17時02分 公開
[長浜和也,ITmedia]

あのBAPCOもクロスプラットフォーム対応ベンチマークを投入

 米Intelは、12月9日(日本時間)にクロスプラットフォームにおけるベンチマークテストの現状を紹介する説明会を日本の関係者向けに行った。電話会議システムを使って説明したのは、米Intel ワールドワイドクライアントベンチマークマネージャーのマット・ダンフォード氏だ。

 ダンフォード氏は、OSは異なるプラットフォームでも測定したスコアを比較できるベンチマークテストとして、BAPCOの「TableMark v3」とPrincipled Technologiesの「WebXPRT 2013」を取り上げている。

 TableMarkは従来のバージョンでWindowsのみの対応だったが、v3からは、Windows 8.1に加えて、Android 4.3以上とiOS 7以上のバージョンも用意した。また、処理能力の評価だけでなく、モバイルデバイスで重要なバッテリー駆動時間を測定する機能も加えている。

TableMark v3では、「Web and E-mail」「Photo and Video Sharing」「Video Playback」の測定モードを用意。加えて、バッテリー駆動時間の測定機能も導入した

 TableMark v3では、ユーザーの利用場面を想定した「Web and E-mail」「Photo and Video Sharing」「Video Playback」の測定モードを用意している。基本的には「コンテンツ消費系」(ダンフォード氏)のシナリオをそろえたという。なお、それぞれの測定モードでバッテリー駆動時間測定を有効にすると、ベンチマークテストをバッテリーがなくなるまで繰り返し実行するようになる。

 TabletMark v3はWindows StoreとGoogle Playから無料でダウンロードできる。なお、iOS版もAppStoreに申請中で、まもなく配布を開始する見通しという。ただし、こちらも、BAPCOのWebサイトからダウンロードが可能だ。

 TabletMark v3では、3つの利用場面を想定しているが、現在、それ以外の利用場面についても実装を検討している。ダンフォード氏は、インテルとして、ゲーミングユーザーを想定したシナリオを追加したい意向があることを明らかにした。ただ、BAPCOは、ビジネスユーザーを重視しているため、ゲームシナリオの実装には慎重になっているらしい。「ビジネスマンだって、ゲームするのにね」(ダンフォード氏)

 また、Androidデバイスでは異なるアーキテクチャを採用するデバイスが混在していたり、OSによって異なるAPIをサポートしていたりするが、ダンフォード氏は、異なるアーキテクチャでもスコアを比較することは可能で、異なるAPIについては、想定場面に合わせた機能を利用する標準的なAPIを利用することで違いを吸収するようにしていると説明した。

現在、Windows StoreとGoogle Playから無料でダウンロードできる。AppStoreでも地近日中に配布を開始する予定だ

 WebXPRT2013は、Webブラウザベースのベンチマークテストで、Windows 8.1、Android、iOSに加えてChrome OSでも利用できる。WebXPRT 2013でも、「Photo Effect」「Face Delect」(顔認識処理)、「Stocks Dashboard」、「Office Note」(オフラインドキュメント作成作業)といった利用場面を想定した測定モードを用意している。すべて、HTML5をベースに作成している。

 ただ、ダンフォード氏の経験によると、同じOSでも使うWebブラウザによってスコアが異なってくるという。WindowsではInternet Explorerが、iOSでは、Safariが、そして、AndroidではGoogle Chromeが、それぞれ最も高いスコアを示すそうだ。

WebブラウザベースのWebXPRT 2013は、4つのシナリオを用意してそれぞれで処理能力を評価する。ただし、OSとWebブラウザの組み合わせによってそのスコアに影響があるという

 WebXPRT 2013を開発したPrincipled Technologiesは、現在Chrome OS向けのベンチマークテストとして「CrXPRT」を開発している。これまでも、Chrome OS向けベンチマークテストはあったが、WebXPRTのようにWebブラウザベースがほとんどだった。

 CrXPRTは、Chrome OSそのものの動作を検証するベンチマークテストで、現在クローズメンバーによるβテストを行っている段階だ。正式版は一般に配布する予定で、その時期は2015年の早い段階になる見込みだという。

 CrXPRTでは、「Photo Effect」「Face Detection JS」「Office Note」「Stock Dashboard」「DNA Sequence Analysis」「3D Sharpes」「Photo Collage」のシナリオを用意して、それぞれの利用場面で、Canvasによる画像加工処理や暗号復号処理、WebGLによる演算処理などを実行する。

 また、バッテリー駆動時間測定も追加して、Webアプリケーション(HTML5とJavaScript使用)、フォトコラージュアプリ、インタラクティブ3D(WebGL使用)、ビデオ再生(VP8対応1080p動画)、オーディオ再生(mp3)、そして、オリジナルのゲーム(HTML5対応)を繰り返し動作してバッテリーがなくなる時間を測定する。

CrXPRTは、2015年の早い打開に正式版を配布する予定で開発を進めているChrome OS向けベンチマークテストだ。ベンチマークテストのイメージはダウンロードしてローカルで動作する

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