性能と価格のバランスが光る快適ゲーミングノート「G-GEAR note N1583J」徹底レビューGTX 970Mを固定利用可能(3/3 ページ)

» 2016年05月19日 11時55分 公開
[鈴木雅暢ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

同世代のモバイル機を圧倒するパフォーマンス

 ベンチマークテストで性能を確認しよう。評価機の基本スペックをまとめると、CPUがCore i7-6700HQ、グラフィックス機能はGeForce GTX 970MとIntel HD Graphics 530(CPU内蔵)のハイブリッド、メモリが8GB、メインデータストレージはM.2 SSD(Crucial MX200)、OSはWindows 10 Home 64bit(TH2)という内容だ。

 基本的にデフォルトの条件だが、一部テストは「グラフィックススイッチング」機能でNVIDIA GPUに固定した条件でも計測した。また、他のノートPCとの違いの目安として、以前にレビューしたSurface Pro 4(Core i5モデル、CR3-00014)を100とした相対スコアも掲載する。

 CINEBENCH R15のCPUスコアは、682とクアッドコアCPUならではのスコアが出ている。Surface Pro 4基準の相対スコアは「220」、つまり2.2倍のスコアである。

CINEBENCH R15のCPUスコア

 PCMark 8は、ハイブリッドグラフィックスの自動設定では内蔵GPUとなり、手動でもNVIDIA GPUが選べないため、「グラフィックスインチング」機能を使い、ハイブリッド(内蔵GPU)と外部GPU固定両方で測定した。HomeとCreativeは明らかに外部GPU固定のほうが良く、特にCreativeでは差が顕著だ。

PCMark 8 Home(左が内蔵GPU、右が外部GPU固定)

PCMark 8 Creative(左が内蔵GPU、右が外部GPU固定)

PCMark 8 Work(左が内蔵GPU、右が外部GPU固定)

 3DMark、FINAL FANTASY XIV:蒼天のイシュガルドベンチマークは、ハイブリッドグラフィックスでも自動でNVIDIA GPUが割り当てられるが、パフォーマンスの違いを見るために両方の設定で実行している。差はそれほどでもないものの、どちらも外部GPU固定利用のほうが良いスコアが出ている。いずれにしても、最新のゲームタイトルをフルHD解像度で楽しむのに十分なスコアが出ている。

3DMark(左がハイブリッドグラフィックス、右が外部GPU固定)

蒼天のイシュガルドベンチマーク。設定はDirectX 9/1280×720/標準ノート(左がハイブリッドグラフィックス、右が外部GPU固定)

蒼天のイシュガルドベンチマーク。設定はDirectX 11/1920×1080/高品質ノート(左がハイブリッドグラフィックス、右が外部GPU固定)

蒼天のイシュガルドベンチマーク。設定はDirectX 11/1920×1080/最高品質(左がハイブリッドグラフィックス、右が外部GPU固定)

Surface Pro 4(Core i5モデル=CR3-00014のスコアを100とした相対値)
製品名 N1583J-710/T(Hybrid) N1583J-710/T(Discrete) Surface Book
CINEBENCH R15 CPU 224 110
CINEBENCH R15 CPU(シングルコア) 130 114
3DMark Cloud Gate 365 362 130
3DMark SkyDiver 541 547 174
3DMark FireStrike 772 784 222
FINAL FANTASY XIV:蒼天のイシュガルドベンチマーク(DX11、ノートPC標準、1280×720) 430 489 241
FINAL FANTASY XIV:蒼天のイシュガルドベンチマーク(DX9、ノートPC標準、1920×1080) 529 583 エラー
FINAL FANTASY XIV:蒼天のイシュガルドベンチマーク(DX11、ノートPC標準、1280×720) 329 365 エラー
PCMark 8 Home Accelerated 3.0 131 147 105
PCMark 8 Creative Accelerated 3.0 125 162 102
PCMark 8 Work Accelerated 2.0 135 130 111
Web XPRT 2015(Edgeブラウザで実行) 103 105 スコアなし

 バッテリー駆動時間は、bbench 1.01(海人氏・作)を使い、無線LANで常時接続し、60秒間隔でのWebサイト訪問、10秒間隔でのテキスト入力を行なう設定で計測した。電源プランは「バランス」で、バッテリー駆動時のディスプレイの輝度は40%で固定した。結果は、バッテリー残量5%になるまで、4時間分動作した。据え置き前提のPCだけにこれくらい動作すれば十分だろう。

 動作音も静粛な部類に入る。アイドル時や低負荷時は静かな部屋で意識すれば動作音が分かるという程度。高負荷時をかけ続ければそれなりには上昇するが、上がり方はマイルドだ。外部GPUに固定しても、結局は高負荷時にはほぼ同じ負荷がかかるため特に変化はなかった。

 発熱は本体底面の奥側が中心で、左側面の奥と背面にある排気口からは熱風が出てくるが、通常利用時にそのあたりに手を置くことはないだろう。キーボードはそれなりに暖かくなるが、長く手が触れているパームレスト部分にはほとんど熱が伝わってこない。

キーボード: 左36.5度/右38度
パームレスト: 左27度/右26.5度
本体底面: 左47度/右38度

現実主義のバランス感覚が光る快適ゲームマシン

 本機のスペックを改めてみると、Core i7-6700HQにGeForce GTX 970M(3GB)、SSD+HDDのデュアル搭載により快適レスポンスと大容量を両立したストレージ、ONKYOスピーカーとSoundBlasterによる高音質サウンドなど、最新のゲームを快適に楽しめる水準をしっかり満たしている。

 一方で、CPU、GPUともに最速というわけではなく、SSDのインタフェースもSerial ATA 6Gb/sであるなど、やや地味な部分もある。もっとも、これ以上高性能なCPUやGPUを搭載するとなるとボディの大型化、ACアダプタの巨大化などを視野に入れる必要がある。SSDにしても、PCI Express SSDのシーケンシャルリード性能などは分かりやすく突出しているが、実際のゲームプレイでSerial ATA SSDとの差がはっきり体感できるかと言われると、コスト差ほどのユーザー体験の差はないと感じるのが多数派だろう。

 つまりは、リアルにゲームを快適に楽しみたいユーザーの立場で、良質なユーザー体験と運用の扱いやすさ、コストを考慮した現実的なバランス感覚を感じる構成になっているのだ。NVIDIA GPUを固定利用できるグラフィックススイッチング機能を導入している点も、やはりユーザー体験、運用の快適さを支える要素といえ、ゲームが目的でゲーミングPCの導入を考えているユーザーには心強い。

 直販価格は、Windows 10 Home(64bit)搭載モデルで18万144円(送料手数料込、税込)となっている。すべてを極めたスペックを備える製品も魅力だが、ゲームマシンの購入を検討しているユーザーにとっては、こうしたバランスの良さが光る選択肢もまた大いに魅力だろう。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年05月11日 更新
  1. 新型「iPad Pro」がM3チップをスキップした理由 現地でM4チップ搭載モデルと「iPad Air」に触れて驚いたこと (2024年05月09日)
  2. 「M4チップ」と「第10世代iPad」こそがAppleスペシャルイベントの真のスターかもしれない (2024年05月10日)
  3. 個人が「Excel」や「Word」でCopilotを活用する方法は? (2024年05月08日)
  4. Minisforum、Intel N100を搭載したスティック型ミニPC「Minisforum S100」の国内販売を開始 (2024年05月10日)
  5. “NEXT GIGA”に向けた各社の取り組みやいかに?──日本最大の教育関連展示会「EDIX 東京」に出展していたPCメーカーのブースレポート (2024年05月09日)
  6. NECプラットフォームズ、Wi-Fi 6E対応のホーム無線LANルーター「Aterm WX5400T6」 (2024年05月09日)
  7. ASRock、容量約2Lの小型ボディーを採用したSocket AM5対応ミニベアボーンPCキット (2024年05月10日)
  8. SSDの“引っ越し”プラスαの価値がある! 税込み1万円前後のセンチュリー「M.2 NVMe SSDクローンBOX」を使ってみる【前編】 (2024年05月06日)
  9. Core Ultra 9を搭載した4型ディスプレイ&Webカメラ付きミニPC「AtomMan X7 Ti」がMinisforumから登場 (2024年05月08日)
  10. これは“iPad SE”なのか? 新型iPadを試して分かった「無印は基準機」という位置付けとシリーズの新たな幕開け (2022年10月24日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー