ベンチマークテストで性能を確認しよう。評価機の基本スペックをまとめると、CPUがCore i7-6700HQ、グラフィックス機能はGeForce GTX 970MとIntel HD Graphics 530(CPU内蔵)のハイブリッド、メモリが8GB、メインデータストレージはM.2 SSD(Crucial MX200)、OSはWindows 10 Home 64bit(TH2)という内容だ。
基本的にデフォルトの条件だが、一部テストは「グラフィックススイッチング」機能でNVIDIA GPUに固定した条件でも計測した。また、他のノートPCとの違いの目安として、以前にレビューしたSurface Pro 4(Core i5モデル、CR3-00014)を100とした相対スコアも掲載する。
CINEBENCH R15のCPUスコアは、682とクアッドコアCPUならではのスコアが出ている。Surface Pro 4基準の相対スコアは「220」、つまり2.2倍のスコアである。
PCMark 8は、ハイブリッドグラフィックスの自動設定では内蔵GPUとなり、手動でもNVIDIA GPUが選べないため、「グラフィックスインチング」機能を使い、ハイブリッド(内蔵GPU)と外部GPU固定両方で測定した。HomeとCreativeは明らかに外部GPU固定のほうが良く、特にCreativeでは差が顕著だ。
3DMark、FINAL FANTASY XIV:蒼天のイシュガルドベンチマークは、ハイブリッドグラフィックスでも自動でNVIDIA GPUが割り当てられるが、パフォーマンスの違いを見るために両方の設定で実行している。差はそれほどでもないものの、どちらも外部GPU固定利用のほうが良いスコアが出ている。いずれにしても、最新のゲームタイトルをフルHD解像度で楽しむのに十分なスコアが出ている。
Surface Pro 4(Core i5モデル=CR3-00014のスコアを100とした相対値) | |||
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製品名 | N1583J-710/T(Hybrid) | N1583J-710/T(Discrete) | Surface Book |
CINEBENCH R15 CPU | 224 | − | 110 |
CINEBENCH R15 CPU(シングルコア) | 130 | − | 114 |
3DMark Cloud Gate | 365 | 362 | 130 |
3DMark SkyDiver | 541 | 547 | 174 |
3DMark FireStrike | 772 | 784 | 222 |
FINAL FANTASY XIV:蒼天のイシュガルドベンチマーク(DX11、ノートPC標準、1280×720) | 430 | 489 | 241 |
FINAL FANTASY XIV:蒼天のイシュガルドベンチマーク(DX9、ノートPC標準、1920×1080) | 529 | 583 | エラー |
FINAL FANTASY XIV:蒼天のイシュガルドベンチマーク(DX11、ノートPC標準、1280×720) | 329 | 365 | エラー |
PCMark 8 Home Accelerated 3.0 | 131 | 147 | 105 |
PCMark 8 Creative Accelerated 3.0 | 125 | 162 | 102 |
PCMark 8 Work Accelerated 2.0 | 135 | 130 | 111 |
Web XPRT 2015(Edgeブラウザで実行) | 103 | 105 | スコアなし |
バッテリー駆動時間は、bbench 1.01(海人氏・作)を使い、無線LANで常時接続し、60秒間隔でのWebサイト訪問、10秒間隔でのテキスト入力を行なう設定で計測した。電源プランは「バランス」で、バッテリー駆動時のディスプレイの輝度は40%で固定した。結果は、バッテリー残量5%になるまで、4時間分動作した。据え置き前提のPCだけにこれくらい動作すれば十分だろう。
動作音も静粛な部類に入る。アイドル時や低負荷時は静かな部屋で意識すれば動作音が分かるという程度。高負荷時をかけ続ければそれなりには上昇するが、上がり方はマイルドだ。外部GPUに固定しても、結局は高負荷時にはほぼ同じ負荷がかかるため特に変化はなかった。
発熱は本体底面の奥側が中心で、左側面の奥と背面にある排気口からは熱風が出てくるが、通常利用時にそのあたりに手を置くことはないだろう。キーボードはそれなりに暖かくなるが、長く手が触れているパームレスト部分にはほとんど熱が伝わってこない。
キーボード: | 左36.5度/右38度 |
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パームレスト: | 左27度/右26.5度 |
本体底面: | 左47度/右38度 |
本機のスペックを改めてみると、Core i7-6700HQにGeForce GTX 970M(3GB)、SSD+HDDのデュアル搭載により快適レスポンスと大容量を両立したストレージ、ONKYOスピーカーとSoundBlasterによる高音質サウンドなど、最新のゲームを快適に楽しめる水準をしっかり満たしている。
一方で、CPU、GPUともに最速というわけではなく、SSDのインタフェースもSerial ATA 6Gb/sであるなど、やや地味な部分もある。もっとも、これ以上高性能なCPUやGPUを搭載するとなるとボディの大型化、ACアダプタの巨大化などを視野に入れる必要がある。SSDにしても、PCI Express SSDのシーケンシャルリード性能などは分かりやすく突出しているが、実際のゲームプレイでSerial ATA SSDとの差がはっきり体感できるかと言われると、コスト差ほどのユーザー体験の差はないと感じるのが多数派だろう。
つまりは、リアルにゲームを快適に楽しみたいユーザーの立場で、良質なユーザー体験と運用の扱いやすさ、コストを考慮した現実的なバランス感覚を感じる構成になっているのだ。NVIDIA GPUを固定利用できるグラフィックススイッチング機能を導入している点も、やはりユーザー体験、運用の快適さを支える要素といえ、ゲームが目的でゲーミングPCの導入を考えているユーザーには心強い。
直販価格は、Windows 10 Home(64bit)搭載モデルで18万144円(送料手数料込、税込)となっている。すべてを極めたスペックを備える製品も魅力だが、ゲームマシンの購入を検討しているユーザーにとっては、こうしたバランスの良さが光る選択肢もまた大いに魅力だろう。
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