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Microsoftは純正スマホ「Lumia」をやめてしまうのか?鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(1/2 ページ)

» 2016年05月24日 06時00分 公開

 米Microsoftは5月18日(現地時間)、フィーチャーフォン事業を売却して事業撤退する旨を発表した。これがスマートフォン事業にも少なからず影響を与えるのではないかと臆測を呼んでいる。

 同社はWindows 10 Mobileや同OS搭載デバイスのサポートを継続していくことを強調しているが、一方で純正スマートフォン「Lumia」をはじめとしたハードウェアの製造から手を引き始めているのではないかという意見もあり、次の一手に注目が集まる。

Microsoftが携帯端末事業で売却したもの、しなかったもの

 Microsoftの発表によれば、同社のエントリーモデルにあたるフィーチャーフォン事業に関わる資産を台湾のFIH MobileとフィンランドのHMD globalに3億5000万米ドルで売却し、同事業から撤退する見込みだ。

 FIH MobileはiPhoneの製造やシャープの買収で有名なHon Hai/Foxconn Technology Group傘下企業の1社で、最近Nokiaから発売されたAndroidタブレット「Nokia N1」の製造なども担当している。一方のHMD globalは2015年に設立されたばかりの企業で、同社CEOはもともとNokiaの端末チームに在籍していたメンバーだ。

Nokia N1 Microsoftへの資産売却で携帯デバイス事業から撤退していたNokiaがリリースした「Nokia N1」タブレット。OSはAndroidを採用する

 なお、携帯端末事業をMicrosoftに売却していたNokiaは、HMD globalにNokiaブランドと知的財産(IP)のライセンスを付与する旨の合意が行われたと発表した。つまり、旧Nokiaで携帯端末を作っていたメンバーがMicrosoftの資産売却の受け手となった会社に再集結し、Nokiaブランドを(フィーチャーフォン分野を中心に)復活させるという構図だ。

 FIH Mobileは同時にMicrosoft Mobile Vietnamも買収するという。ベトナムのハノイを拠点とした製造会社とのことだが、恐らくMicrosoftの携帯端末でもローエンドに近いLumia製品のほか、非Windows Mobile OS搭載の「Asha」や「S40」といった製品の製造を担当していたものと思われる。

 Microsoft内でフィーチャーフォン事業に従事していた4500名の従業員は、そのままFIH MobileまたはHMD globalに転籍となる見込みで、最終的に2016年後半での譲渡完了を予定している。

 HMD globalによれば、Android OSをベースとした端末を今後開発していくとのことで、今回買収したフィーチャーフォンだけでなく、スマートフォンやタブレットも含めた「Nokiaブランド」のモバイル端末事業に参入していくとみられ、完全にMicrosoftと袂(たもと)を分かった形での再出発となりそうだ。

 ここで気になるのが、Microsoft側に残った旧Nokia端末部門の行方だ。同件が報じられた直後、Windows関係の最新情報をいち早く発信することで知られるポール・サーロット氏は、「No More Lumias?(もうLumia端末は登場しない?)」というコラムを掲載した。

 同氏はMicrosoftのニュースリリース中にある下記の表記に触れ、「MicrosoftはLumia端末の開発を継続するとは一言も述べていない」とコメントしている。確かに、「Windows 10 Mobileの開発と、Lumiaを含むサードパーティー端末のサポートは継続する」と述べているだけだ。

Microsoft will continue to develop Windows 10 Mobile and support Lumia phones such as the Lumia 650, Lumia 950 and Lumia 950 XL, and phones from OEM partners like Acer, Alcatel, HP, Trinity and VAIO.

 実際にMicrosoftは「Lumia 950」「Lumia 950XL」「Lumia 650」をリリースして以降、新端末の投入にコミットしていない。むしろ「HP Elite x3」のような最新プロセッサを搭載したサードパーティー製端末をプッシュしている状態であり、皆の不安がこの表記で顕在化するのも無理はない話だ。

HP Elite x3 Snapdragon 820を搭載したハイエンドのWindows 10 Mobile端末「HP Elite x3」

 Microsoftの戦略として、Windows 10のエコシステムと協調できない旧Nokiaのフィーチャーフォン部門はあまり内部に抱えている意義がなく、特に2015年夏に発表した端末部門の大幅な事業改革の影響で、ラインアップを極限まで絞る方向性を打ち出している。

 ハイエンドやボリュームゾーン、ビジネス向けの3つのカテゴリごとに年間1〜2台程度の端末を投入すると2015年時点では予告していたが、サードパーティー製品が拡充されつつある今、あえてMicrosoftがスマートフォン市場にも積極的に端末を投入する意義は薄れつつあり、サーロット氏の指摘は当たらずとも遠からずの可能性が高い。

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