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» 2016年09月07日 16時00分 UPDATE

とりあえず分解:爆速ゲーミングノートが手の届く価格に――分解写真で見る「GS63VR Stealth Pro」

おまえもバラバラにしてやろうか。

[後藤治,ITmedia]

 NVIDIAからPascal世代のモバイル向け新GPUが登場し、PCメーカー各社がGeForce GTX 10シリーズを搭載するゲーミングノートPCを投入した。

MSIの新型ゲーミングノート「GS63VR Stealth Pro」をゲット。よし、分解しよう

 最大の注目は、これまでモバイルプラットフォーム向けGPUに付加してきた“M”の文字を取り払い、(同一型番であれば)デスクトップ向けGPUとほぼ同等のパフォーマンスを発揮できるとしている点。例えば、前世代のGTX 980(デスクトップ向け)とGTX 980M(モバイル向け)を比較するとその性能にはかなり開きがあるが、GTX 10シリーズでその差が大きく縮まることになる。

 仮にNVIDIAの主張通りとするならば、今回登場したGTX 1060搭載ノートPCは、GTX 980搭載ノートと同等クラスの性能を発揮する。後者(つまりデスクトップ版GTX 980を搭載したノート)は、G-Tuneの「NEXTGEAR-NOTE i71000」やMSIの「GT72S 6QF Dominator Pro G Dragon Edition」など、フラッグシップの中でも30万円オーバークラスの特別モデル。これがGPU性能だけでみればミドルレンジの価格帯で手に入ることになるわけだ。爆速ゲーミングノートが欲しいけど価格的にちょっと手が出ないと考えていたPCゲーマーには朗報だろう。

 ここではMSIが投入したGTX 10シリーズ搭載ゲーミングノートPCから、すでに販売が始まった「GS63VR Stealth Pro」を取り上げ、分解写真とともに見ていく。

早速分解!

 GS63VR Stealth Proは、CPUにCore i7-6700HQ(2.6GHz/最大3.5GHz)、GPUにGeForce GTX 1060(GDDR5 6GB)を搭載した15.6型ゲーミングノートPCだ。ボディーデザインを一新したほか、厚さが約17.7mmと従来モデルから2.2mmほど薄型化。ヘアライン加工を施したメタル外装の天板は、旧モデルに比べてぐっと引き締まった印象を受ける。

 一方、この薄いボディーにデスクトップ並のGPUを搭載したことで心配になるのが排熱処理だろう。中身がどうなっているのか分解によって確認するために、MSI公認サポート店でもあるパソコンSHOPアークの浦田氏に依頼して、分解作業を担当してもらった。

パソコンSHOPアークを運営するタワーヒルの浦田氏。これまで数々のMSI製ノートPCを分解してきた。GS60シリーズをメインマシンとして使っている。

 まずは外観のチェックから。旧モデルと比べると、ボディーが薄型化しているのは前述の通りだが、フットプリントも小さくなっている。これは電源ボタンの位置が右側面手前側に移動し、液晶ベゼルが狭くなっているためと思われる。これにあわせて液晶ディスプレイのヒンジの形状も改良された。

これまでキーボード奥側にあった電源ボタンが右側面手前に移動している。カバンの中で勝手に電源ボタンが押されてしまいそうな気もする

旧ボディー(左)との比較。電源ボタンがキーボード奥になくなったことでボディー全体の奥行きがかなり小さくなっているのが分かる。また、液晶ディスプレイのベゼルも狭くなり、ヒンジが左右両端の延長線上に配置されている

ディスプレイを水平に倒せるようになったのも改良点の1つ

 細かく見ていくと、底面の吸気スリットが以前に比べて増え、底面全体にフェルトのような毛羽だったシートが張り付けられていることに気づく。台湾MSIのプロダクトマネージャー、ワン・ウィニー氏によれば「コストはかかるけど、ヒザの上で使う場合を想定して改良した」とのことだが、裏を返せばこれがなければヒザの上に置けないほど熱くなるのかもしれない。ちなみに天板側の素材はアルミだが、底面側はマグネシウム合金のようだ。

底面。吸気スリットが増え、熱が直接伝わりづらい毛羽だったシートが貼ってある。ゴム足の形状も変更された

旧機種は排気口の周辺のみ、発熱対策のシートが貼られている

 外観のチェックが終わったところで、浦田氏は常に持ち歩いていると言われる「マイドライバー」を片手に分解作業に取りかかった。内部へのアクセスは底面14カ所のネジを外すところから始まる。底面カバーを取り去ると基板が見えるが、メモリスロットは見当たらず裏面にあることが分かる。ユーザーがメモリの増設をするのはかなり厳しそうだ。

 薄型のボディーに3基の冷却ファンがあり、左右両端のファンは41枚羽、真ん中のファンは37枚羽の構成。ファンは赤く塗られている。「従来機に比べるとフレキケーブルのコネクタがさらに薄くなっているようですね。(コネクタが)折れやすいので注意が必要です。メモリを交換するだけでもマザーを完全に外さないとダメなので個人での交換は難しいかも」と浦田氏。ちなみに、ユーザー自身の手でパーツ交換を行うとその時点で標準2年保証の対象外になってしまうが、MSI公式認定サポート店のパソコンSHOPアークなら、保証を継続したままパーツのアップグレードや交換が可能なので、そうした際は同店を頼るほうがいいだろう。

作業を始める浦田氏。「分解大好きオーラ」がほとばしる

メモリスロットはマザーボードの反対側。底面カバーを外しただけではアクセスできない位置にある

取り外したマザーボードを裏返すと、2基のメモリスロットと、M.2スロット、ワイヤレスLANモジュールが確認できた。5本のヒートパイプがCPU、GPU、チップセットにそれぞれ伸びている。

SSDはMVMe対応の定番高速SSD「SM951」シリーズ

メモリはKingston製だったが「アークなら好みのメモリにBTOできます」(浦田氏)とのこと

無線LANモジュールはゲーミングノートらしくKiller製(Killer1535)。きちんとKillerシールドも見える

続いてファンとヒートパイプをマザーから取り外す

ヒートスプレッダの下にGPUとCPU。両方ともBGAで直接ボード上に実装されている。NVIDIAの公式資料ではモバイル向けGTX 10シリーズはMXM接続で提供されるとあったが、薄型ボディーを実現するためにBGAを選択したようだ

GPUにN17E-G1-A1(GeForce GTX 1060)の文字を確認した

 ここまで分解するのに要した時間は40分ほど。普段からMSIノートを分解している浦田氏にとっては「初見でもVortexに比べればそれほど難易度は高くない」(同氏)と話すが、やはりユーザーが自分でパーツのアップグレードを行うのはかなり難しいという印象を受けた。

 すでにGS60シリーズをメインマシンとして使っている浦田氏だったが、「ボディーが薄くなった分、ファンを2基から3基に増やして十分な風量を確保しているし、これだけパワフルなシステムを詰め込んだのは正直すごいと思います。(従来機より)かなりコンパクトになっているので、自分自身、買ってしまおうか悩みますね。ただ、電源ボタンのレイアウトが好みじゃないんだよなぁ……」と購入を迷っている様子だった。

ちなみに3DMark(Fire Strike)の結果は9184。1万の大台には届かなかったが、ゲーミングデスクトップPCに肩を並べる3D性能を証明した

 Pascal世代のGeForce GTX 10シリーズによって、ノートPCとデスクトップPCの性能差は大きく縮まり、常に高い性能が求められるPCゲームというカテゴリにおいても、ノートPCは現実的かつ魅力的な選択肢になりつつある。MSIの最新ゲーミングノートに興味のある方は、メモリやストレージの増設だけでなく、バッテリー交換や英語キーボードの換装にも保証付きで対応してくれるパソコンSHOPアークに相談してみてはいかがだろうか。

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